退職代行 / Q&A

契約社員・派遣社員が退職代行を使うとき:契約期間中の退職の考え方

この記事のもくじ
  1. 契約期間の途中で辞める4つの道
  2. 契約満了まで待つか、途中で辞めるか
  3. 派遣社員:辞意は派遣元に伝える
  4. 退職代行に頼む前の確認と、運営形態の選び方

契約社員や派遣社員が契約期間の途中で辞めるときは、期間の定めのない正社員の「2週間で雇用が終わる」仕組み(民法第627条1項)がそのまま当てはまりません。有期契約には民法第628条の「やむを得ない事由」という要件があり、退職代行を使う前に、自分の契約がどの道に当たるかを確かめる必要があります。派遣社員の場合は、辞意を伝える相手が派遣先ではなく派遣元になる点も、見落としやすい確認点です。

契約期間の途中で辞める4つの道

契約書や労働条件通知書の「契約期間」の欄を開き、次の表のどれに当たるかを見ます。

早見表:有期契約の途中で辞める4つの道
道 根拠 向く場面 注意
会社と合意して辞める 合意退職 会社が了承する見込みがある 合意できれば628条の要件は問題にならない。日付と条件を書面かメールに残す
やむを得ない事由で解除する 民法第628条 心身の不調、ハラスメント、賃金不払いなど 当たるかは事情ごとの判断。診断書・記録が判断材料になる
契約の初日から1年たっている 労働基準法附則第137条 1年を超える契約期間の人 1年以下の契約には使えない
聞いていた条件と事実が違う 労働基準法第15条2項 賃金・時間・業務が通知書と違う 明示された条件との相違が要件。パワハラそのものは通常当たらない

民法第628条は、期間を定めた場合でも「やむを得ない事由」があるときは直ちに契約を解除できる、とします。その事由が一方の過失で生じたときは、その者が相手方に損害賠償の責任を負います。パワハラや心身の不調が事由の候補になりますが、当たるかどうかは個別の事情で判断が分かれ、ここでは見通しを示しません。

附則第137条は、1年を超える期間の契約を結んだ人が、契約の初日から1年を過ぎた後は申し出ていつでも退職できる、という例外です(一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約と、高度の専門的知識をもつ人・満60歳以上の人の契約は対象外です。第14条1項)。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、1年を過ぎた後の退職で損害賠償を請求されることはなく、1年を過ぎる前でも当然に請求されるわけではない、と説明しています。「6か月契約を何度か更新した」という人は、今の契約の初日から数えるため、この条文では辞められません。

損害賠償については、労働基準法第16条が、あらかじめ違約金の額を決めておく契約を禁じています。「途中で辞めたら罰金」と書かれていても、そのまま払う義務が生じるとは限りません。実際に請求が来たら、支払う前に弁護士会や法テラスの無料相談へ書面を持っていきます。

契約満了まで待つか、途中で辞めるか

契約の残り期間が短いなら、途中で辞めるより、満了日で終わらせるほうが話が簡単です。残りが長いか短いかで、次のように分けて考えます。

  • 残り1〜2か月:更新しない意思を、契約書にある更新の手続きの期限までに書面かメールで伝える。出社が難しいなら、その間の扱いを会社に問い合わせる
  • 残り3〜6か月:体調と職場の状況で判断する。満了まで耐えられない事情(パワハラ、心身の不調)があれば、診断書と記録をそろえて628条の道を検討する
  • 残り半年を超える:附則第137条に当たらないか、契約書の中途解約の条項(「30日前に申し出れば解約できる」など)がないかを先に確かめる

契約書に中途解約の条項があれば、その条項に沿って申し出るのが、最も争いにならない方法です。心身の不調が強い場合は、うつ病・適応障害で退職代行を使うときで、先に確かめる給付と手続きを見られます。

派遣社員:辞意は派遣元に伝える

労働者派遣法第2条1号は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定めています。つまり雇用しているのは派遣元で、指揮命令を受けるのが派遣先です。契約も二つに分かれています。

  • 労働契約:あなたと派遣元の間
  • 労働者派遣契約:派遣元と派遣先の間

退職の意思表示は、労働契約の相手方である派遣元に出します。派遣先の担当者に「辞めます」と言っても、派遣元との契約は続いています。実際には、派遣元の営業担当やコーディネーターに連絡し、派遣先への連絡と引継ぎの段取りを派遣元が組む形になります。派遣先の就業場所での貸与物(入館証、PC)は、派遣元を通じて返却する方法を確かめます。

派遣先でパワハラを受けている場合、同法第47条の4により、派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなされて、パワハラ防止の措置義務を負う規定があります。派遣社員のハラスメントの相談先は派遣社員のパワハラ相談先:派遣元・派遣先それぞれの責任に整理しています。

退職代行に頼む前の確認と、運営形態の選び方

有期契約や派遣で退職代行を使うときは、申込み前に運営者へ次の3点を聞いておきます。

  1. 有期契約の途中退職、または派遣社員の退職に対応しているか
  2. 派遣の場合、連絡先を派遣元にしてくれるか。派遣先へ直接連絡しないか
  3. 会社が628条の事由を認めず、辞めることに難色を示したとき、誰が対応するか

3の場面が現実的に起こりうるのが、有期契約の特徴です。退職日の交渉や、「やむを得ない事由があるか」の意見の食い違いは、法律事務に近くなります。民間企業の退職代行では、本人の意思を伝える範囲を超えられません。争いになりそうなら、弁護士運営の退職代行か、弁護士会の相談を選択肢にします。運営形態の違いは退職代行の弁護士・労働組合・民間企業の違いで比べられます。パワハラが理由で、慰謝料も考えるときの選び方はパワハラで退職代行を使うときに書いています。

試用期間中や入社直後の場合は、新卒・入社直後に退職代行を使うときの確認点が参考になります。

期間の定めのない雇用で、2週間の仕組みを使えるなら、退職は2週間で成立する?の考え方で足ります。契約の種類が分からないときは、まず契約書か労働条件通知書の写しを用意してください。

よくある質問

Q. 契約期間が残り3か月ですが、退職代行を使って途中で辞められますか?

辞める道はありますが、期間の定めのない正社員と同じ「2週間で終わる」仕組みではありません。民法第628条の「やむを得ない事由」があるか、会社が合意するかが分かれ目です。事由に当たるかは事情ごとの判断なので、診断書や記録を手元にそろえ、争いになりそうなら弁護士運営の退職代行か弁護士会の相談を選びます。

Q. 契約を更新しないでほしいと伝えるだけの場合も、退職代行を使いますか?

更新しない意思を伝えるだけなら、契約が満了する日に雇用は終わります。会社に伝えにくいときに限り、第三者に連絡を任せる意味があります。更新の時期や契約書の「更新の有無」の欄を先に見て、満了まで待てるなら、退職代行を使わず自分で伝える方法も比べます。

Q. 派遣先の担当者に直接「辞めます」と言えば足りますか?

足りません。雇用主は派遣元なので、退職の意思は派遣元に伝えます。派遣先には、派遣元から連絡する形が通常です。派遣先に直接伝えただけでは、派遣元との雇用契約は続いたままになります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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