記録と証拠 / 手順

パワハラによる体調の変化を記録する:通院・服薬・欠勤の残し方

この記事のもくじ
  1. 体調の記録がなぜ要るのか:手続で見られる点
  2. 症状の日誌:毎日2分で書ける形にする
  3. 通院と薬の記録:初診日と「伝えたこと」を残す
  4. 欠勤・遅刻・早退の記録:有給か欠勤かを分ける
  5. 領収書・明細書の保管と、記録を残しておく期間

パワーハラスメント(パワハラ)で体調を崩したら、出来事の記録と並べて、**①症状の日誌、②通院の記録、③薬の記録、④欠勤・遅刻・早退の記録、⑤お金の記録(領収書・明細書・交通費)**の5つを残しておくと、後から経過を説明できます。心身の変化は、時間がたつといつ始まったのか自分でも思い出しにくくなります。労災の認定では発病の時期とその前の出来事が見られ、傷病手当金では仕事に就けなかった日が問われるので、日付つきの記録がそのまま手続の材料になります。眠れない・食べられない状態が続いてつらいときは、記録より先に仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。

体調の記録がなぜ要るのか:手続で見られる点

体調の記録は「つらかったことを分かってもらうため」だけのものではありません。手続ごとに、見られる点がはっきりしています。

手続・場面 見られる点 役立つ記録
労災(精神障害) 対象の病気を発病しているか、発病の時期、発病前おおむね6か月の間の業務による出来事 初診日、症状が出始めた日、出来事との前後関係
傷病手当金(健康保険) 業務外の病気で仕事に就けなかったか、連続3日の待期を含めて4日以上休んだか、給与が出ていないか 休んだ日、有給か欠勤か、医師の意見
会社への相談・休職 業務に支障が出ているか、配慮が必要か 欠勤・遅刻の日数、症状の経過
損害の説明 治療にかかった費用や休んだ期間 領収書、明細書、欠勤の日数

精神障害の労災認定基準では、発病の有無や疾患名は、主治医の意見書や診療の記録、本人や関係者から聴いた内容などをもとに医学的に判断されるとされています。いじめのように繰り返される出来事は、発病の6か月より前に始まっていても、6か月の間に続いていれば、始まったときからの行為が評価の対象になります。症状の始まりと出来事の始まりを、同じ時間軸で並べておくことが大切です。損害の説明で何が問題になるかは個別の判断になるので、ここでは費用と期間を残しておくところまでにします。

症状の日誌:毎日2分で書ける形にする

症状は、その日のうちに短く書くのが一番正確です。長い文章にすると続かないので、項目を決めて数字や短い言葉で埋めます。

体調の記録表の型(1日1行)
日付 睡眠 食事 体の症状 気分 出社 その日の出来事
例:10/6 3時間・2回目覚め 朝食べられず 出社前に吐き気 不安が強い 出社 朝礼で名指しの叱責
例:10/7 4時間 昼のみ 頭痛 落ち込む 午後早退 頭痛で13時に早退
例:10/8 2時間 ほぼ食べず 動悸 涙が出る 欠勤 心療内科を初診

書き方のコツは3つです。

  1. 出来事の欄は、その日あったことを1行だけ。 詳しい内容は出来事の記録の方に書き、ここでは「朝礼で名指しの叱責」のように見出しだけにします。出来事の記録の付け方はパワハラの記録の書き方で扱っています。
  2. 数字で書けるものは数字で。 「よく眠れない」より「3時間」の方が、後で変化が読み取れます。
  3. 何もなかった日も書く。 休日に症状が軽くなる、といった違いも経過の一部です。

症状のどれが受診の目安になるかを知りたいときは、パワハラによる体調不良のチェック:体に出るサインと受診先を先に読んでください。死にたい気持ちが出てきたときは、記録を止めて、冒頭で挙げた相談先に電話かLINEで連絡してください。

通院と薬の記録:初診日と「伝えたこと」を残す

通院の記録で一番大事なのは初診日です。最初にどの医療機関を、いつ、どんな症状で受診したかは、後で発病の時期を考えるときの手がかりになります。

通院のたびに、次の項目を残します。

  • 受診日、医療機関名、診療科、医師の名前
  • 医師に伝えたこと(症状と、職場で起きた出来事のうち話したもの)
  • 医師から言われたこと(病名、休養の必要、次回の予約)
  • 処方された薬と、検査を受けたならその内容

医師に職場のことを話したかどうかは、後で振り返るときに意味を持ちます。話した日には「上司の叱責が続いていることを伝えた」と一言残しておきます。受診で何を伝えればよいかはパワハラで診断書をもらうには:受診で伝えることと証拠としての使い方にまとめています。

薬の記録は、薬局で渡される説明書やお薬手帳をそのまま保管するのが確実です。自分の表には、薬の名前と量、飲み始めた日、量が変わった日だけを書き写します。飲み忘れや、副作用と思われる変化があった日も書いておくと、次の診察で医師に伝えやすくなります。

欠勤・遅刻・早退の記録:有給か欠勤かを分ける

仕事への影響は、休んだ日の記録で示せます。ここで分けておきたいのが、その日が有給休暇か、欠勤(無給)か、早退かです。

記録する項目 書き方の例 理由
日付と区分 10/8 欠勤(無給)/10/9 有給 給付で見られるのは「給与が出ていない日」
理由として会社に伝えた内容 「体調不良」と課長にメール 後で会社の記録と照らし合わせる
連絡の方法と時刻 8:05 メール 連絡した事実の控え
医師の指示の有無 医師から1週間の休養を指示 休んだ根拠

協会けんぽの説明では、傷病手当金の待期となる連続3日には有給休暇や土日・祝日も含まれますが、2日休んで3日目に出勤すると待期は成立しません。また、休んだ期間に給与が出ていれば、傷病手当金はその分が調整されます。こうした判断は休んだ日の区分で変わるので、有給と欠勤を混ぜずに書いておきます。

会社に休む連絡を入れたメールやメッセージは、送った画面を保存しておきます。給与明細の欠勤控除の欄も、休んだ日数の控えになります。休む連絡の文面に迷うときは体調不良で仕事を休む連絡の例文を使ってください。

領収書・明細書の保管と、記録を残しておく期間

通院や薬にかかったお金は、領収書と明細書を受診日ごとにまとめて保管します。通院の交通費も、日付・区間・金額を表に書いておきます。後で労災の手続をする場合や、相談先に損害の内容を説明する場合に、領収書がそろっていると説明が早く進みます。

保管の方法は、紙の封筒に月ごとに入れる、スマホで撮影して日付順に並べる、のどちらでも構いません。体調の記録表と同じ場所にまとめ、会社の端末や会社のクラウドではなく、自分の持ち物に置きます。置き場所の選び方はパワハラの記録の保管方法で詳しく扱います。

どのくらいの期間残すかの目安として、労災保険の療養や休業の給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効によって消滅します(労働者災害補償保険法第42条)。健康保険の傷病手当金を受ける権利も2年です(健康保険法第193条)。給付の請求が済むまでは、そして少なくともこの期間が過ぎるまでは、記録と領収書を捨てずに持っておきます。証拠ごとの期限の考え方はパワハラの証拠に期限はある?にまとめています。

体調の記録がそろったら、次は記録しにくい行為そのものの残し方です。無視や仲間外れのように形に残りにくい行為は無視のパワハラを証拠に残すには:記録しにくい行為の書き方で扱います。労災と傷病手当金のどちらで手続するかを考えるときは、パワハラの休職は傷病手当金と労災のどちら?違いと切り替えが役立ちます。

よくある質問

Q. 症状を毎日書くのがつらいときは、どうすればいいですか?

毎日きちんと書こうとせず、「眠れた時間」「出社できたか」の2項目だけを丸や数字で付ける形に減らしてかまいません。書けなかった日は空けたままにし、後で思い出して埋めるときは、埋めた日付を添えておきます。記録より休むことを優先してよい日もあります。

Q. 心療内科ではなく内科に通っています。内科の通院も記録しますか?

記録します。頭痛、胃の不調、動悸などで内科を受診した日も、日付・受診先・症状・言われたことを同じ表に残します。体の症状から始まり、後で心療内科を勧められる流れもあるため、最初の受診日が分かるようにしておくと経過を説明しやすくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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