記録と証拠 / 手順

パワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つき

この記事のもくじ
  1. パワハラの記録の書き方:7つの項目と記入例
  2. 気持ちと事実を分けて書くコツ
  3. あとから書き足すときの注意
  4. 書くのがつらい日の短い書き方

パワハラの記録は、日時・場所・相手・言われた言葉(そのまま)・その場にいた人・前後の経緯・自分への影響の7項目を、出来事のあったその日のうちに書くのが基本です。気持ちは書いてかまいませんが、事実の欄とは分けて書きます。

下に記入例を載せたので、まずは同じ形で今日の出来事を1件書いてみてください。記録がなぜ証拠の中心になるのかはパワハラの証拠集めで説明しています。

パワハラの記録の書き方:7つの項目と記入例

厚生労働省の指針は、パワハラに当たるかを判断するときに、言動の目的、経緯や状況、言動の態様・頻度・継続性、受けた人の心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考えるとしています。7つの項目は、この判断材料を記録の側から埋めるためのものです。

項目 書くこと 指針で見られる点
①日時 年月日・曜日・時刻(分かれば何分ごろまで) 頻度・継続性
②場所 会議室、自席、電話、チャット、飲み会の席など 態様(人前か、密室か)
③相手 氏名・役職・自分との関係(直属の上司など) 行為者との関係性
④言動 言われた言葉をかぎかっこでそのまま。された行為 言動の態様
⑤その場にいた人 氏名。見ていた・聞こえた範囲 第三者からの事実確認
⑥前後の経緯 何の業務中だったか、自分のミスの有無、指示の内容 言動の目的、経緯や状況
⑦影響 体調、眠れない、仕事が手につかない、受診した 心身の状況

⑥の経緯には、自分に不利に見えることも書いておきます。たとえば自分が締め切りに遅れた日の叱責なら、その事実と、叱責の言葉や長さを並べて書きます。指針は、受けた人の行動に問題がある場合、その内容・程度と指導の態様との関係が判断の要素になるとしています。都合のよい部分だけの記録は、あとで相手の説明と食い違ったときに弱くなります。

記入例

2026年10月6日(火)9時15分〜9時40分ごろ 場所:3階の第2会議室(課の定例打合せ) 相手:○○課長(直属の上司) 言動:先週提出した見積書の数字の誤りについて、課員6人の前で「こんなこともできないなら辞めろ」「給料泥棒」と大声で言われた。約25分、立たされたまま続いた。 その場にいた人:△△主任、□□さんほか課員4人 経緯:見積書の単価を1か所誤って入力した(自分のミス)。金曜日に気づいて修正版を送っていた。 影響:その後、手が震えて午前中は資料作成が進まなかった。夜は2時過ぎまで眠れなかった。

記入例の氏名は「○○」で伏せていますが、自分の記録には実際の氏名と役職を書きます。項目の並びを表にして使いたいときはパワハラ記録のテンプレートをそのまま写してください。

気持ちと事実を分けて書くコツ

記録を読む相談先が知りたいのは、まず「何があったか」です。「ひどいことを言われた」「いつものように怒鳴られた」だけでは、何が起きたのかが伝わりません。言葉・回数・時間・人数のように、ほかの人が読んでも同じ場面を思い浮かべられる書き方を事実の欄に使います。

気持ちが混ざった書き方 事実として書き直した例
またいつもの嫌がらせをされた 今週3回目。月曜と水曜にも同じ書類の差し戻しがあった
人格を否定された 「お前は社会人失格だ」と言われた
長時間ねちねち責められた 17時30分から18時50分まで、自席の横で立ったまま叱責された
みんなの前で恥をかかされた 課員6人がいる打合せの場で、大声で言われた

一方で、感じたことを書くのをやめる必要はありません。つらさや怖さは、心身の状況を示す材料になります。事実の欄の下に「気持ち」の欄を作り、「怖くて顔を上げられなかった」「明日も同じことがあると思うと眠れない」と書き分けます。欄を分けたノートの作り方はパワハラの記録ノートの付け方で詳しく扱っています。

推測と見たことを区別する

「課長は私を辞めさせたがっている」は、自分の推測です。記録には、そう感じた理由になった事実(「来月から担当を外すと言われた」「会議の連絡が自分にだけ来なかった」)を書き、推測は「〜と感じた」と書き分けます。相手の意図を言い切った記録は、相手に否定されたときに反論の材料が残りません。

あとから書き足すときの注意

記録はその日のうちに書くのが理想ですが、つらい日に書けないこともあります。あとから書く・書き足すときは、次の3点を守ります。

  1. 書いた日を残す。 出来事の日付とは別に、「10月8日に記入」と書いた日を添えます。数日たってから書いた記録でも、書いた日が分かれば、読み手は当日の記録と思い出して書いた記録を区別できます。
  2. 元の文を消さない。 思い出したことを足すときは、元の文の下に「追記(10月9日):同席していたのは□□さんも」と加えます。修正液で消したり、ファイルを上書きしたりしないようにします。
  3. 間違いは線で消す。 手書きなら二重線で消して横に正しい内容を書き、パソコンなら取り消し線を使って元の文字が読めるようにします。

過去の出来事をまとめて書くときは、正確な日付にこだわりすぎず、「6月上旬、異動の内示のあと」のように手がかりになる出来事とセットで書きます。メールの送信日やカレンダーの予定を見返すと、日付を特定できることがあります。

書くのがつらい日の短い書き方

毎回7項目を埋めるのが負担なら、その日は「日時・相手・言葉・同席者」の4つだけを1〜2行で書き、残りは週末に書き足してもかまいません。

10/14 16時ごろ 自席 ○○課長「やる気がないなら来なくていい」 △△主任が隣にいた

短い記録でも、その日のうちに残したものには意味があります。メモしかない状態でどこまで役に立つかはパワハラの証拠はメモだけでも意味がある?で整理しています。記録を書くこと自体が苦しく、眠れない・食べられない状態が続くときは、記録より体を守ることを先にし、パワハラでうつかもと思ったらで受診の目安を確かめてください。

暴言を言葉のまま残す工夫や、録音と組み合わせる方法はパワハラの暴言を証拠にする、体調の変化や通院の残し方はパワハラによる体調の変化を記録するを参考にしてください。

書き方の流れ:出来事の当日から記録が整うまで
  1. 当日:日時・相手・言葉・同席者の4つを1〜2行で書く
  2. 当日〜数日内:場所・前後の経緯・影響を足し、記入した日を添える
  3. 週に1回:メールの日付やカレンダーで日時を確かめ、追記の形で補う
  4. 相談の前:記録を日付順に並べ、時系列の一覧にする

よくある質問

Q. 言われた言葉を正確に覚えていないときは、どう書けばいいですか?

覚えている部分だけをかぎかっこに入れ、あいまいな部分は「〜という趣旨のこと」と書き分けます。正確さを装って言葉を補うより、覚えている範囲をはっきりさせるほうが、記録全体を信じてもらいやすくなります。

Q. 記録には相手の実名を書いてもいいですか?

自分で保管し、相談先に見せるための記録なら、誰の言動かが分かるように氏名と役職を書いておくほうが役に立ちます。ただし、その記録をSNSなどで公開することは避けてください。

Q. 記録はパソコンで打つのと手書きと、どちらがよいですか?

どちらでも書き方の要点は同じです。続けやすい方法を選び、会社の端末は使わないようにします。保存方法ごとの長所と短所は、記録の保存方法を比べた記事で整理しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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