相談先と窓口 / 手順

法テラスでパワハラを相談するには:無料法律相談の条件と流れ

この記事のもくじ
  1. 法テラスでパワハラを相談するとできる3つのこと
  2. 無料法律相談の条件:収入・預貯金と回数
  3. 予約から相談までの流れ
  4. 条件に当たらないとき・ほかの窓口との使い分け
  5. 3回を生かすための準備

法テラス(日本司法支援センター)では、パワハラの相談を3つの段階で受けられます。まず電話(サポートダイヤル)やメールで、困りごとに合う制度や窓口を無料・匿名で何度でも案内してもらえます。収入や預貯金が一定額以下などの要件を満たせば、弁護士・司法書士の無料法律相談を同じ問題につき3回まで受けられ、依頼に進むときは費用の立替え(原則分割で返済)も使えます。番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表に載せています。

法テラスでパワハラを相談するとできる3つのこと

法テラスは、総合法律支援法に基づいて設けられた法人です。同法第30条は、法テラスの業務として、紛争解決の制度や弁護士などの情報を集めて提供すること、そして費用を払う資力がない人や、払うと生活に著しい支障が出る人のために、法律相談の実施や代理人の報酬の立替えをすることを定めています。パワハラの相談に当てはめると、次の3つです。

早見表:法テラスでパワハラを相談するときの3段階
段階 中身 費用・条件
① 案内(サポートダイヤル・メール) オペレーターが困りごとを整理し、使える制度や相談窓口を案内 無料。匿名で何度でも。メールは24時間受付
② 無料法律相談 弁護士・司法書士に、自分の状況について法律相談 収入や預貯金が一定額以下などの要件あり。名前などを伝える。同じ問題につき3回まで
③ 費用の立替え 弁護士・司法書士に事件の処理を依頼するときの費用を法テラスが立て替える 収入・資産の要件と審査あり。原則分割で返済(利息なし)

①だけでも使えます。たとえば「会社のパワハラについて、どこに相談すればよいか」を聞けば、労働局などの公的窓口や、要件に合えば②の法律相談が案内されます。②で解決の見通しが立てば、③の依頼には進みません。

ここで押さえたいのは、①は案内であって法律相談ではないことです。オペレーターに状況を話しても、パワハラに当たるか、会社に何を請求できるかの判断は返ってきません。その答えがほしいときに使うのが②です。

無料法律相談の条件:収入・預貯金と回数

②の無料法律相談は、法テラスの案内では収入と資産が一定の基準以下の人が対象で、次の条件があります。

  • 収入と資産が基準以下であること。予約のときに、平均月収と現金・預貯金を聞かれます
  • 相談の前に、名前などを伝えること(①の案内と違い、名前を伝えるのが前提)
  • 1回は30分、回数は同じ問題について3回まで。2回目以降に別の弁護士へ相談することもできます

収入と資産の基準は、家族の人数と住んでいる地域で変わります。法テラスの費用立替えの案内ページに載っている表は次のとおりです(手取り月収は賞与を含む月額。家賃や住宅ローンを払っていれば、上限つきで収入から差し引けます)。

世帯の人数 手取り月収の目安(東京23区・大阪市など) 手取り月収の目安(その他の地域) 資産(現金・預貯金・不動産・有価証券)
1人 200,200円以下 182,000円以下 180万円以下
2人 276,100円以下 251,000円以下 250万円以下
3人 299,200円以下 272,000円以下 270万円以下
4人 328,900円以下 299,000円以下 300万円以下

基準額は改定されることがあるので、申し込む前に法テラスのご利用の流れのページで最新の表を見てください。基準を少し超えても、家賃・医療費・教育費などの避けられない支出がある場合は利用できることがあると同ページに書かれています。サポートダイヤルでは、世帯の人数と手取りの月収、預貯金の額を伝えて当てはまるかを確かめられます。無料で相談できるかを確かめるチャットも用意されています。

「同じ問題で3回まで」は、限りがあるからこそ、使い方を決めておくと生きます。次は筆者が考えた割り振りの一例です。

回 テーマ 持っていくもの
1回目 事実の整理と、取れる手段の全体像(社内・労働局・法的手段)を聞く 時系列表、記録のコピー、就業規則
2回目 会社の対応や労働局の結果を踏まえ、次の手を相談する 1回目以降に起きたこと、会社とのやり取り
3回目 依頼するか、自分で進めるかを決める。依頼するなら費用の見通し 立替えの利用を考えるなら収入・預貯金の資料

退職や休職が絡む場合は、辞める前と後でできることが変わることがあります。退職を考え始めた段階で1回目を使うと、選択肢を狭めずに済みます。

予約から相談までの流れ

法テラスの案内に書かれている利用の流れは「電話する→法律相談を受ける→弁護士・司法書士に依頼する→解決に向かう」の4段階です。パワハラの相談で実際に動く順番に直すと、次のようになります。

  1. 記録を手元にそろえる:いつ・誰から・何をされたかの一覧と、会社とのやり取り。電話の前に用意すると説明が短く済みます。
  2. サポートダイヤルに電話する(またはメールで送る):パワハラで困っていること、望んでいること(職場を変えたい、お金を請求したい、辞めたいなど)を伝えます。
  3. 案内を受ける:労働局などの公的窓口、法テラスの無料法律相談など、合う窓口を教えてもらいます。
  4. 無料法律相談の要件を確かめる:世帯の人数・収入・預貯金を伝えて、当てはまるかを確かめます。
  5. 相談の日時と場所・方法を決める:原則として事前予約が必要です。電話で予約でき、一部の相談場所ではWebでも予約できます。相談は法テラスの事務所のほか、法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所で行われ、電話やオンラインに対応している場合もあります。近くの事務所は、法テラスのサイトの「お近くの法テラス」から探せます。
  6. 法律相談を受ける:相談の前に「援助申込書」を書くため、開始の10分前には着いておきます。記録を見せながら、見通しと選択肢を聞きます。
  7. 依頼するか決める:依頼するなら、費用の立替えの申込みと審査に進みます。立替えは収入・資産の基準に加えて、勝訴の見込みなどがあることや制度の目的に合うことも審査されます。

電話で伝える文例:「職場で上司から半年ほど暴言を受けていて、会社に相談しても変わりません。法律相談を受けたいのですが、無料の相談の条件に当てはまるか確かめたいです」

電話が苦手な人は、24時間受け付けのメールフォームで同じ内容を送れます。文字で書く分、時系列を整理しやすいのも利点です。

条件に当たらないとき・ほかの窓口との使い分け

収入や預貯金の要件に当てはまらなくても、法律相談の道はあります。弁護士会の法律相談センターや、市区町村が住民向けに開いている無料の法律相談です。違いと探し方はパワハラを弁護士に無料相談するには:弁護士会・自治体の法律相談で比べています。

目的別に分けると、次のように考えられます。

したいこと 先に使う窓口
会社にパワハラ防止の対応をとらせたい 労働局の雇用環境・均等部(室)。助言・指導・調停の仕組みがある
慰謝料や未払いの請求など、法的手段の見通しを知りたい 法テラスの無料法律相談、弁護士会・自治体の法律相談
人権侵害として相手に改善を求めてほしい 法務局(みんなの人権110番とは?法務局にパワハラ・嫌がらせを相談する方法)
話を聞いてほしい、どこに行けばいいかも分からない 法テラスのサポートダイヤル(案内だけでも使える)

民間の団体の無料相談と迷うときは、パワハラをNPO・民間団体に相談するとき:公的窓口との違いと確かめる点で、運営主体や費用の確かめ方を整理しています。

3回を生かすための準備

無料法律相談は時間が限られます。相談の場で事実の説明に時間を取られないよう、次をそろえていきましょう。

  • 出来事の時系列表(日付・相手・言動・目撃者・自分の体調)
  • 録音・メール・チャットの記録、診断書があればそのコピー
  • 雇用契約書や労働条件通知書、就業規則のハラスメントの規定
  • 会社に相談した記録と、会社の回答
  • 聞きたいことのメモ(3つまでに絞る)

聞くことの例や持参資料の詳しいリストは、パワハラを弁護士に相談する前の準備:持参する資料と聞くことリストにまとめています。法テラスの相談でもそのまま使えます。

よくある質問

Q. 法テラスの電話で、パワハラかどうか判断してもらえますか?

サポートダイヤルは、困りごとを整理して使える制度や相談窓口を案内するところで、個別の出来事について法的な判断をする場ではありません。判断の材料がほしいときは、要件を満たせば弁護士の無料法律相談に進み、満たさなければ弁護士会や自治体の法律相談を使います。

Q. 法テラスに立て替えてもらった弁護士費用は返す必要がありますか?

返します。法テラスの案内では、審査のうえ立て替えた費用は原則として分割で返済すると書かれています。立替えは費用を肩代わりしてもらう制度ではなく、一度に払えない費用を分けて払えるようにする制度だと考えておくと、依頼するかどうかを決めやすくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラを弁護士に無料相談するには:弁護士会・自治体の法律相談

みんなの人権110番とは?法務局にパワハラ・嫌がらせを相談する方法

パワハラを弁護士に相談する前の準備:持参する資料と聞くことリスト

パワハラをNPO・民間団体に相談するとき:公的窓口との違いと確かめる点