パワハラを上司の上司に相談するとき:伝え方の文例とメールの型
直属の上司からのパワーハラスメント(パワハラ)を、その上の上司(部長や所長など)に相談するときは、まず短いメッセージで面談の時間をもらい、口頭で事実と望む対応を伝え、同じ内容をメールでも送って記録に残すのが基本の型です。上司の上司は、仕事の割り振りや報告の経路を変えられる立場にいることが多く、早く状況が変わることがあります。一方で、加害者と近い関係にあることも多いので、人事や相談窓口という別の道も知っておくと安心です。この記事では、そのまま使える文例とメールの型を紹介します。
上司の上司に相談するのが向いているとき
社内の相談先は、上司の上司のほかに、人事やハラスメントの相談窓口があります。どれが合うかは、何を望むかで変わります。
| 相談先 | 向いているとき | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 上司の上司 | 仕事の割り振り・報告先・席など、職場の中での調整を早く求めたい | 加害者と親しい、または同じ方針の場合がある。正式な調査の窓口ではないこともある |
| 人事・相談窓口 | 会社として事実を確かめてほしい。処分や配置の検討を求めたい | 調査に時間がかかることがある |
| 社外の公的な窓口 | 社内の誰にも話しにくい。社内で対応されなかった | 会社に直接何かを命じる窓口ではない |
労働施策総合推進法は、会社にパワハラを防ぎ、相談に適切に対応する措置を義務づけ(第31条)、事業主(法人は役員)自身も言動に注意するよう努めると定めています(第32条)。厚生労働省のパワハラ指針は、パワハラを行ってはならない旨の方針を周知・啓発する相手に管理監督者を含めています。また、事実が確認できたあとの被害者への配慮として、管理監督者や産業保健スタッフなどによる心の不調への相談対応を例に挙げています。
ただし、上司の上司が会社の正式な相談窓口とは限りません。調査や処分の検討を求めたいときは、パワハラを人事に相談する方法の手順で人事や窓口にも相談します。
口頭で伝えるときの文例
面談の時間をもらうメッセージ
具体的な中身はメッセージに書かず、時間の約束だけを取ります。
「○○部長、お疲れさまです。ご相談したいことがあり、今週か来週のどこかで20分ほどお時間をいただけないでしょうか。できれば会議室など、ほかの方のいない場所でお話しできると助かります。」
面談の切り出し
「お時間をいただきありがとうございます。本来は△△課長にご相談すべきところですが、課長ご本人のことなので、部長にご相談させてください。」
事実を伝える
「今年6月ごろから、課の定例会議で、△△課長から『こんなこともできないのか』『給料分働いていない』と、ほかのメンバーの前で言われることが続いています。日付と言われた言葉はメモに残しています。最近は会議の前になると体調を崩すようになりました。」
望む対応を伝える
「お願いしたいのは、課長と一対一になる場面を減らしていただくことです。たとえば、私の業務の報告先を一時的に別の方に変えていただけないでしょうか。会社として事実を確かめていただく必要があれば、人事にも相談するつもりです。」
共有の範囲を確かめる
「今日お話ししたことを課長に伝えるかどうか、伝える場合はいつ、どのようにされるかを、先に教えていただけますか。」
面談では、加害者の人柄への評価や、ほかの人から聞いた噂は話さないようにします。事実と影響と希望に絞ったほうが、上司の上司も動きやすくなります。暴言の言葉の残し方は上司の暴言への対処:言われた言葉の記録を参照してください。
記録として残すメールの型
相談の内容をメールで残すと、「いつ、誰に、何を相談したか」が後から示せます。口頭で話した後に送るのが基本ですが、話しにくい場合は最初からメールで相談してもかまいません。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 宛先 | 上司の上司だけ。加害者をCCに入れない |
| 件名 | 「業務上のご相談(△△課長とのことについて)」など、中身が分かる短い件名 |
| 1. 相談の趣旨 | 何について相談したいか(1〜2文) |
| 2. 事実 | 時期・頻度・代表的な出来事2〜3件(日付と言葉) |
| 3. 影響 | 体調・仕事への影響 |
| 4. お願い | 望む対応を具体的に(報告先の変更など) |
| 5. 共有の範囲 | 加害者に伝える前に知らせてほしい、など |
| 結び | 返事の方法(メールで返信してほしい、など) |
メールの例:「○○部長 お疲れさまです。本日お話しした内容を、確認のためお送りします。1. ご相談の趣旨:△△課長からの会議での言動についてです。2. 事実:今年6月ごろから、月に数回、定例会議でほかのメンバーの前で『こんなこともできないのか』『給料分働いていない』と言われています(直近は10月21日)。3. 影響:会議の前に体調を崩すことが増え、10月から通院しています。4. お願い:当面、私の業務の報告先を別の方に変えていただけないでしょうか。5. 課長にお伝えになる場合は、事前に私にお知らせいただけると助かります。お手数ですが、今後の進め方についてメールでご返信いただけますと幸いです。」
送ったメールは消さずに残し、送信日時と件名を自分の記録ノートにも書き写します。会社のメールを私用の場所に転送・保存するときは社内の規程に注意が要ります。その点はパワハラのメールを証拠にする方法で説明しています。人事や相談窓口宛てのメールの書き方は会社にパワハラを相談するメールの書き方にあります。
返事がない・話が加害者に筒抜けになったとき
1週間ほどたっても返事がないときは、もう一度だけ短く尋ねます。
「先日ご相談した件について、その後の進め方をお聞かせいただけますでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、○日ごろまでにご返信いただけると助かります。」
それでも返事がない、または相談した内容が事前の知らせもなく加害者に伝わり、態度が厳しくなったというときは、その経緯を日付つきで記録します。労働施策総合推進法 第31条2項は、会社に相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。相談の後に起きた変化が気になるときは、パワハラを相談して悪化したときの対処を読んでください。
上司の上司が動かなかった場合でも、送ったメールは「会社に相談した」記録になります。次のパワハラを人事に相談する方法:面談で伝える順番と動かないときの次では、人事に正式に事実確認を求めるときの進め方を扱っています。
よくある質問
Q. 直属の上司を飛ばして、その上の上司に相談するのは失礼になりませんか?
相談の相手が直属の上司本人である以上、その上の管理職に話すのは自然な順番です。気になるなら「本来は○○課長に相談すべきところですが、課長ご本人のことなので」と一言添えれば十分です。会社の相談窓口や人事に相談する方法もあるので、どちらか話しやすい方を選んでください。
Q. 上司の上司が、パワハラをしている上司をかばったときは?
その面談で言われたことを、日付つきで記録しておきます。そのうえで、人事や社内の相談窓口など別の経路に相談します。上司の上司に送ったメールは、会社に相談した記録として、社外の窓口に相談するときにも役立ちます。
出典・参考にした公的な情報
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。