休職と復職 / 手順

パワハラ休職手続きの流れ:就業規則の確かめ方と休職届の書き方

この記事のもくじ
  1. パワハラ休職手続きの流れ:6つの段階
  2. 就業規則の確かめ方:休職は会社の規程で決まる
  3. 休職届の書き方:記入例と理由欄
  4. 引継ぎの範囲:体調を優先して最低限に
  5. 届を出したあとに確かめること

パワーハラスメント(パワハラ)による不調で休職する手続きは、診断書を出す、就業規則で休職の条件を確かめる、休職届を出す、最低限の引継ぎをする、休職の期間と連絡方法を書面で受け取る、の順に進めます。休職制度は法律で全ての会社に義務づけられた制度ではなく、会社が就業規則などで定める仕組みです。だから手続きの中心は「自分の会社の規程を読むこと」になります。この記事では、規程の読み方、休職届の記入例、引継ぎをどこまでするかを、体調を優先する前提で整理します。

パワハラ休職手続きの流れ:6つの段階

まず全体の段取りを見ておきます。体調が悪いときは、全部を一日で済ませようとせず、1日1段階で十分です。

手順表:休職に入るまでの6段階
段階 すること 誰と
1 診断書を受け取り、写しを取る 主治医
2 休職したいことと診断書があることを伝える 上司か人事
3 就業規則の休職の項目を読み、条件・期間・給与を確かめる 人事
4 休職届(会社の書式)を書いて診断書と一緒に出す 人事
5 進行中の仕事の一覧を作って渡す 上司・後任
6 休職の期間と連絡方法を書面やメールで受け取る 人事

診断書のもらい方はパワハラで休職する診断書のもらい方:医師に伝えることと出し方、会社への切り出し方は適応障害で休職を言い出せないとき:上司・人事への伝え方の例文で扱っています。この記事は、段階3から6を中心に説明します。

就業規則の確かめ方:休職は会社の規程で決まる

労働基準法施行規則第5条は、会社が働く人に明示する労働条件の中に「休職に関する事項」を挙げていますが、これは会社が休職の定めをする場合に限る項目です。休職制度を設けるかどうか、設けるならどんな条件にするかは会社が決め、就業規則に書くのが一般的です。労働契約法第7条により、合理的な労働条件を定めた就業規則が働く人に周知されていれば、その内容が労働契約の中身になります。

就業規則は、常時10人以上を雇う会社なら作成と労働基準監督署への届出が義務で(労働基準法第89条)、掲示・備付け、書面の交付、社内のパソコンでいつでも見られるようにするなどの方法で周知しなければなりません(第106条、同規則第52条の2)。社内のサイトや共有フォルダにあることが多いので、まず自分で探し、見つからなければ人事に見せてほしいと頼みます。

休職の項目は「休職」「私傷病休職」といった章や条にあります。読むときは、次の点に印をつけます。

  • 休職に入る条件。 「私傷病による欠勤が引き続き1か月を超えたとき」のように、休職の前に欠勤の期間を置く会社があります。この場合、休職の前の欠勤期間も含めて計画を立てます。
  • 休職期間の上限。 勤続年数で変わる定め方が多く見られます。自分の勤続年数に当てはめて、何年何月何日が満了日になるかを計算しておきます。
  • 休職中の給与と社会保険料。 給与が出るか、出ない場合に社会保険料の本人負担分をどう払うかが書かれていることがあります。
  • 期間満了時の扱い。 復職できなければ退職とするのか、解雇とするのか。
  • 復職の手続き。 復職診断書や産業医の面談が必要か。
  • 休職中の報告義務。 月1回の状況報告や、診断書の定期的な提出を求める会社もあります。

厚生労働省の職場復帰支援の手引きも、休業の最長期間や、満了後に雇用契約を終える場合の扱いは、あらかじめ就業規則などに定めて周知しておくことが望ましいとしています。規程が見当たらない、読んでも分からない点は、人事にメールで質問し、答えを文字で残しておくと後で確かめられます。

休職届の書き方:記入例と理由欄

会社に決まった書式があれば、それを使います。書式がなければ、次の項目をそろえた書面で出します。

記入例(休職届) 「○年○月○日 株式会社○○ 人事部長 ○○様 所属 ○○部 氏名 △△ 休職届 私は、体調不良のため、医師から療養が必要との診断を受けました。つきましては、就業規則第○条に基づき、下記のとおり休職を願い出ます。 1 休職の理由:体調不良のため(○月○日付 診断書のとおり) 2 休職の期間:○年○月○日から○年○月○日まで(診断書の療養期間の見込みによる) 3 休職中の連絡先:電話 ○○、メール ○○(体調の都合により、連絡はメールを希望します) 4 添付書類:診断書 1通」

理由欄は、診断書と結びつけて書けば足ります。パワハラの事実を会社に伝えて対応を求めたいなら、休職届とは別に、ハラスメントの相談窓口や人事に出来事を伝えるほうが、手続きと相談が混ざりません。伝え方は会社にパワハラを相談するメールの書き方:件名から結びまでの例文の型が使えます。仕事が原因の病気として労災を考えている場合は、理由に「私傷病」とだけ書くかどうかを先に考えておきます。労災の流れはパワハラによる精神障害の労災認定:3つの要件と申請の流れにまとめました。

連絡先の欄に「連絡はメールを希望」と書いておくと、休職中に電話が鳴り続ける事態を防ぎやすくなります。

引継ぎの範囲:体調を優先して最低限に

休職の前の引継ぎは、完璧を目指す必要はありません。医師から療養が必要と言われている以上、引継ぎのために出社を重ねて悪化させては本末転倒です。後任が困らない最低限として、1枚の一覧にまとめます。

書くこと 例
進行中の案件と状態 「A社見積もり:先方回答待ち」
期限 「○月○日までに請求書発行」
関係者と連絡先 社内の担当、取引先の窓口
資料の置き場所 共有フォルダのパス、紙の書類の棚
定例の作業 毎週月曜の集計など

パスワードや鍵の受け渡しは会社のルールに従い、一覧には書かずに上司に直接渡します。加害者が上司で直接渡すのがつらいなら、人事や別の担当者を通してよいか相談してください。出社が難しければ、一覧をメールで送る形でも引継ぎはできます。

届を出したあとに確かめること

休職届を出したら、次の点を書面かメールで受け取っておきます。口頭のやり取りだけだと、後で「聞いていない」となりやすいからです。

  1. 休職の開始日と満了日。 会社によっては休職の辞令や通知書が出ます。満了日をカレンダーに書きます。
  2. 休職中の連絡の窓口と頻度。 誰に、何を、どのくらいの間隔で伝えるか。例文は休職中の会社への連絡:経過報告の頻度と使えるメール例文にあります。
  3. 傷病手当金の申請の段取り。 協会けんぽの申請書には事業主が記入する欄があり、3ページ目がその欄です。会社に記入を頼む時期と、書類の受け渡し方法を決めておきます。条件と金額は休職中の傷病手当金はいくら?条件・計算式・期間を協会けんぽで確認で確かめてください。
  4. 社会保険料などの払い方。 給与が出ない月の本人負担分をどう納めるかを、人事に確かめます。

休職に入る前に、会社から条件についての同意書や誓約書を出されることがあります。労働契約法第8条は労働条件の変更は合意によるとし、第9条は合意なく就業規則の変更で不利益に変えることは原則できないとしています。内容が分からない書類には、その場で署名せず持ち帰って読んでください。手続き全体の位置づけは適応障害・パワハラで休職するには:診断書から復職・退職までの流れで見直せます。

よくある質問

Q. 就業規則に休職の定めがない会社では、休職できませんか?

休職制度は法律で全ての会社に義務づけられたものではないので、定めがなければ「休職」という形はとれないことがあります。それでも、有給休暇を使う、欠勤として休む、会社と話し合って休む期間を決めるといった方法は残ります。休む間の収入は、健康保険の傷病手当金の条件に当たるかを確かめます。

Q. 休職届の理由欄に「パワハラ」と書いたほうがいいですか?

休職届は休むための手続きの書類なので、理由は「体調不良のため(診断書のとおり)」のように書けば足ります。パワハラの事実を会社に伝えたいなら、休職届とは別に、相談窓口や人事に出来事を伝え、その記録を残すほうが話が混ざりません。労災を考えている場合は、理由を「私傷病」と書いてよいかを先に考え、必要なら労働基準監督署に相談します。

Q. 休職に入る前に、会社から書類への署名を求められたら?

休職届のほかに、休職中の条件や期間満了時の扱いについての同意書などを出されることがあります。労働契約法は、労働条件の変更は合意によるとしているので、内容が分からないまま、その場で署名する必要はありません。持ち帰って読み、分からない点は人事に書面で質問するか、社外の労働相談を使います。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラで休職する診断書のもらい方:医師に伝えることと出し方

適応障害で休職を言い出せないとき:上司・人事への伝え方の例文

適応障害・パワハラで休職するには:診断書から復職・退職までの流れ

休職中の会社への連絡:経過報告の頻度と使えるメール例文