オワハラとは?内定承諾や他社辞退を迫られたときに学生が確かめること
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オワハラ(就活終われハラスメント)とは、内定や内々定と引き換えに他社の選考を辞退するよう迫ったり、学生の意に反して就職活動を終わらせるよう強要したりする行為の呼び名です。政府が令和8年3月24日に経済団体へ出した就職・採用活動の要請は、こうした行為を、職業選択の自由を侵害するおそれがあり許されない行為と位置づけ、行わないよう求めています。内定承諾を迫られて困っているなら、その場で返事を決めずに期限と条件をメールで確かめ、言われたことを記録して、大学のキャリアセンター・新卒応援ハローワーク・労働局に相談できます。
オワハラとは:国の要請と指針に書かれている行為
オワハラという言葉は法律の用語ではありませんが、国の文書にははっきり書かれています。内閣官房・文部科学省・厚生労働省・経済産業省の連名で出された「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」は、内定や内々定を引き換えに他社への就職活動を取りやめるよう学生に強要する行為を「いわゆるオワハラ」と呼び、企業に行わないよう求めています。
その根拠の一つが、青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)第7条にもとづく指針(平成27年厚生労働省告示第406号)です。要請の注記によれば、この指針は、採用内定や内々定と引き換えに他社への就職活動を取りやめるよう強要すること、学生の意に反して就職活動の終了を強要することを、公平で公正な就職機会の観点から行わないこととしています。
大学・短大・高専の卒業予定者の就職について、就職問題懇談会も同じ日に企業等へ要請を出し、オワハラに当たる行為を具体的に並べています。
| 要請に挙がっている行為 | 学生の側から見た場面の例 |
|---|---|
| 内々定の段階で、内定承諾書・誓約書など受諾の意思を確かめる書類の提出を求める | 内々定の面談の席で、その日のうちに承諾書へ署名するよう言われる |
| 学生を長い時間拘束する選考会・研修・行事を行う | 他社の面接がある日に合わせて、終日の懇親会や研修に呼ばれる |
| 自社の内々定と引き換えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要する | 「他社をすべて辞退したら内定を出す」と言われる |
| 内々定と引き換えに、大学教員などからの推薦状を求める | 自由に応募して受けた選考なのに、内々定と引き換えに大学の推薦状を出すよう求められる |
| 保護者の同意を強要する(いわゆるオヤカク) | 親の署名入りの同意書を出すよう求められる |
| 就活エージェントの担当者が、内定と引き換えに他社の選考をやめるよう迫る | 紹介会社の担当者から、今週中に他社を辞退するよう何度も連絡が来る |
保護者の同意を求める「オヤカク」については、要請の注記が、内定辞退を防ぐ目的で保護者の同意を強要するような場合はオワハラに当たりうると書いています。また同じ要請は、正式な内定日を「卒業・修了年度の10月1日以降」とする日程のルールを示し、就職問題懇談会の要請は、大学が学生に「9月30日以前の内々定は学生を拘束するものではない」と周知するとしています。内々定の段階で承諾書への署名や就職活動の終了を迫られているなら、要請が想定する場面にかなり近いと考えて、記録と相談に進んでよいでしょう。
要請と指針は、企業に向けて行動を求める文書です。目の前の出来事がどう評価されるかは、事実を確かめた労働局や大学、必要に応じて弁護士が判断します。この記事では、その判断の場に持っていくための材料と動き方をまとめます。
内定承諾を迫られたときに確かめる4つのこと
オワハラかどうかを考える前に、目の前の返事を急がないことが一番の守りになります。面談の場で即答を求められても、次の4点を順に確かめてから決めて構いません。
- 返事の期限と方法を文字で残す。 「いつまでに、誰に、どの方法で」返事をすればよいかを、メールで確かめます。口頭だけのやり取りは、あとから言った言わないになりやすいからです。
- 何を求められているのかを分けて書く。 承諾書の提出なのか、他社の辞退なのか、推薦状や保護者の同意なのかを分けて書き出します。
- 断ったら何が起きると言われたかを記録する。 「辞退しないなら内定はなかったことに」など、不利益をほのめかす言葉があれば、日時・相手・言葉をそのまま残します。
- 自分の優先順位を整理する。 第一志望はどこか、残っている選考の日程はいつかを並べ、期限までに相談先へ話せるかを確かめます。
場面ごとの返し方の例を挙げます。言い方は自分に合う言葉に直して使ってください。
文例(面談の場で承諾書の署名を求められたとき):「内定のお話をいただき、ありがとうございます。大切な決断なので、大学の就職担当にも相談したうえで、○月○日までにお返事させていただけますでしょうか。」
文例(他社の辞退を求められたとき):「現在選考を受けている企業については、結果が出た段階で自分で判断し、各社にご連絡いたします。御社へのお返事は○月○日までにお伝えします。」
文例(期限を確かめるメール):「本日の面談でお話のあった内定承諾のお返事について、期限は○月○日、方法は採用ご担当の○○様へのメールとの理解でよろしいでしょうか。念のため確認させてください。」
返事を待ってもらえない、断ると内定を取り消すと言われた、他社への辞退の電話をその場でかけるよう言われた、といった場合は、無理にその場で応じず、次の見出しの相談先に早めに連絡します。なお同じ要請は、大学が学生に対しても、不必要に複数の内々定を持ち続けることを慎み、節度ある就職活動をするよう周知すると書いています。行かないと決めた会社への辞退を早めに伝えることは、自分の立場を守るうえでも役に立ちます。
相談先:キャリアセンター・新卒応援ハローワーク・労働局でできること
国の要請は、都道府県労働局とハローワークが学生からの相談を受け付け、相談者の意向も踏まえつつ事実を確かめたうえで対処すること、そして労働局・ハローワークと大学のキャリアセンターなどが事例を共有して連携することを書いています。在学中なら、まず大学のキャリアセンターに話し、必要に応じて国の窓口へ進む順番が使いやすいでしょう。
| 相談先 | 対象 | オワハラで頼れること |
|---|---|---|
| 大学のキャリアセンター(就職課) | その大学の学生 | 企業とのやり取りの整理、大学から企業への働きかけの相談、労働局・ハローワークとの事例の共有 |
| 新卒応援ハローワーク | 卒業予定の学生・生徒と、卒業後おおむね3年以内の人。無料 | 担当者制の個別相談、応募書類・面接の支援、全国の求人の検索。就職活動中の心理的な悩みを臨床心理士などに相談することもできる |
| 都道府県労働局・ハローワーク | 就職活動中の学生 | 要請にもとづく学生からの相談の受付と、事実確認のうえでの対処 |
| 総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署内など) | 労働者・事業主のほか、学生・就活中の人も可。無料・予約不要 | 募集・採用を含む労働問題の相談、労働局長の助言・指導の案内 |
新卒応援ハローワークは全国56か所にあり、各都道府県に1か所以上置かれています。新卒者などの支援を専門とする就職支援ナビゲーターが担当者制で相談に応じるので、オワハラの相談と並行して、ほかの会社の求人探しや面接の準備を進められます。
総合労働相談コーナーの個別労働紛争解決制度では、募集・採用に関する紛争は労働局長の助言・指導の対象になりますが、紛争調整委員会のあっせんの対象からは外れています。窓口ごとの電話番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表に、コーナーの使い方は総合労働相談コーナーとは?予約不要・無料でできる相談と次の手続きにまとめています。
相談の前に残しておく記録と、伝えること
相談先が事実を確かめるには、いつ、誰から、何を言われたかが分かる材料が要ります。記憶が新しいうちに、次の順でそろえておきます。
- 企業名・部署・担当者名、内々定(内定)を伝えられた日と方法
- 求められたこと(承諾書の提出、他社の辞退、推薦状、保護者の同意、研修への参加など)と、示された期限
- 断ったときの不利益をほのめかす言葉(日時・場所・相手・言葉のまま)
- メール・採用サイトのメッセージ・SNSのやり取りの画面保存(日付が写る形で)
- 受け取った書類(承諾書・誓約書・同意書)の写し。署名した場合は控え
- 就活エージェント経由なら、紹介会社名・担当者名・連絡の記録
- 自分の選考状況(受けている会社と次の日程)と、相談先にしてほしいこと
相談の場では、最初に「何に困っていて、いつまでに何を決めなければならないか」を一言で伝えると、話が早く進みます。たとえば「○月○日までに承諾しないと内定を取り消すと言われ、他社の最終面接が○月○日にある。返事の期限を延ばしてもらう方法を知りたい」のように、期限と希望をはっきりさせます。
やり取りを録音したいと考える人もいますが、まずはメールで確認を取り、文字の記録を残すことを優先すると、相談先に見せやすく、相手との関係もこじれにくくなります。会社への相談の記録の残し方は、パワハラの場面を例にしたパワハラ相談の記録を会社に残してもらう:相談と回答を書面にする方法も参考になります。
就活セクハラ・内定者へのパワハラとの違い
就職活動中の嫌な出来事は、オワハラだけではありません。面接やインターンシップ、OB・OG訪問などで性的な言動を受けた場合は、求職者等へのセクハラ(就活セクハラ)として扱われます。男女雇用機会均等法第13条により、2026年10月1日から、求職者へのセクハラを防ぐ措置がすべての事業主の義務になりました。詳しくは就活セクハラとは?2026年10月から義務化された会社の対策と相談先で整理しています。
国の要請も、採用選考やインターンシップの場で学生へのセクハラや、パワハラに類する行為が起きないよう、採用に関わる社員への周知を企業に求めています。面接官の高圧的な態度や人格を否定する質問などは、オワハラとは別の問題として、同じ相談先に伝えてかまいません。
内定のあと、入社前の研修や連絡の場で暴言や過大な課題などの嫌がらせを受けている場合は、内定者へのパワハラ:入社前の研修や連絡で嫌がらせを受けたときを読んでください。性的指向・性自認にかかわる言動はSOGIハラとは?性的指向・性自認への嫌がらせとアウティングの扱いに、職場で起きるハラスメントの全体像は職場のハラスメントの種類一覧:パワハラ・セクハラ・カスハラ等の違いにまとめています。
よくある質問
Q. 内定承諾書を出したあとで、別の会社の選考を受け続けてもよいですか?
国の要請は、内々定の段階で内定承諾書や誓約書の提出を求めることをオワハラの例として挙げ、企業に慎むよう求めています。一方で、すでに出した承諾書をどう扱うか、辞退の時期や伝え方をどうするかは、書面の文言や時期によって考える材料が変わります。承諾書の写しを持って大学のキャリアセンターや総合労働相談コーナーで相談し、辞退を決めたら早めに自分の言葉で連絡するのが、相手にも自分にも負担の少ない進め方です。
Q. 卒業したあとでも新卒応援ハローワークを使えますか?
使えます。厚生労働省の案内では、大学等を卒業予定の学生・生徒と、卒業後おおむね3年以内の人が対象で、利用は無料です。全国56か所、各都道府県に1か所以上あり、担当者を決めた個別の相談や応募書類・面接の支援を受けられます。
Q. 就活エージェントの担当者から、ほかの会社の選考をやめるよう迫られた場合も相談できますか?
相談できます。国の要請は、職業紹介事業者の担当者から他社への就職活動の終了を迫られる事例があることに触れ、都道府県労働局・ハローワークが学生からの相談を受け付け、事実を確かめたうえで対処するとしています。担当者とのメッセージやメールを保存し、紹介会社の名前と担当者名を控えてから相談すると話が早く進みます。
出典・参考にした公的な情報
- 2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について(令和8年3月24日、別紙の要請事項と就職問題懇談会の企業等への要請を収録)(内閣官房・文部科学省・厚生労働省・経済産業省)
- 就職・採用活動に関する要請(内閣官房)
- 青少年の雇用の促進等に関する法律 第7条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 新卒応援ハローワーク(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)(厚生労働省)
- 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。