総合労働相談コーナーとは?予約不要・無料でできる相談と次の手続き
この記事のもくじ
総合労働相談コーナーは、都道府県労働局が置いている労働問題の総合窓口で、パワハラ・いじめ・解雇・賃金の引下げなど、あらゆる分野の労働問題を予約不要・無料で相談できます。全国の労働局や労働基準監督署の中などに378か所(令和8年4月1日現在)あり、専門の相談員が面談か電話で対応します。この記事では、コーナーでしてくれること・しないことと、相談のあとにつながる手続を説明します。
総合労働相談コーナーでできること:予約不要・無料・面談か電話
厚生労働省の案内をもとに、コーナーの基本を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 置かれている場所 | 各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内など378か所(令和8年4月1日現在) |
| 相談できる内容 | 解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、あらゆる分野の労働問題。性的指向・性自認に関する問題も含む |
| 使える人 | 労働者・事業主のどちらも。学生や就職活動中の人も。外国人労働者には多言語で対応 |
| 方法 | 面談・電話。専門の相談員が対応 |
| 費用・予約 | 無料・予約不要 |
| 受付時間 | コーナーごとに違う。多くは平日の9時ごろから17時ごろで、昼休みを設けるところが多い。土日祝・年末年始は閉庁 |
予約は要りませんが、専門の相談員がいない日時がある窓口もあるので、来庁前に電話で確かめるよう案内されています。番号と所在地は厚生労働省の都道府県別一覧で探せます。主な窓口の番号を一覧で見たいときはパワハラの相談窓口一覧が便利です。
「評判」が気になる人もいると思いますが、コーナーの役割は、相談を受けて情報を渡し、合う担当や手続へつなぐことです。会社に命令する窓口でも、あなたの代わりに交渉する窓口でもありません。この役割を知って使うと、「話を聞くだけだった」という行き違いを減らせます。
相談のあとにつながる手続:取次ぎ・助言・指導・あっせん
コーナーで相談したあと、内容によって次のどれかに進みます。助言・指導やあっせんなどを申し出るかどうかは、本人が決めます。
- 情報提供と相談で終える。 法律や判例の考え方、社内での動き方を聞き、自分で会社と話す。
- 労基署などへの取次ぎ。 労働基準法などの違反の疑いがあるときは、行政指導の権限を持つ労基署などに取り次ぐことになります。
- 労働局長の助言・指導。 紛争の問題点を示し、解決の方向を会社と本人に示して、自主的な解決を促します(個別労働紛争解決促進法4条)。
- 紛争調整委員会のあっせん。 弁護士・大学教授・社会保険労務士などの委員が間に入り、話し合いでの解決を目指します(同法5条)。
- 他の機関の情報提供。 希望があれば、裁判所、都道府県労働委員会、法テラスなどの情報を案内します。
あっせんは無料・非公開で、原則として双方が別室で待機し、顔を合わせずに進みます。ただし、相手方に参加の義務はなく、会社が参加しなければあっせんは打ち切りになります。打ち切りの通知を受けた日から30日以内に同じ請求で訴えを起こせば、時効の完成猶予について、あっせんを申請した時に訴えたものとみなされます(同法16条)。
- 総合労働相談コーナー(相談・情報提供)
- 労基法などの違反の疑い → 労働基準監督署へ取次ぎ
- パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラの会社の措置をめぐる紛争 → 雇用環境・均等部(室):労働局長の助言・指導・勧告、調停
- いじめ・嫌がらせ、解雇、労働条件の引下げなどの紛争 → 労働局長の助言・指導、紛争調整委員会のあっせん
- 希望があれば → 裁判所・労働委員会・法テラスの情報
パワハラの相談はどこへ進む?調停とあっせんの使い分け
パワハラの相談で知っておきたいのは、法律で手続が分かれていることです。会社がパワハラ防止の措置を取らなかった、相談したことで不利益に扱われた、という会社との紛争は、労働施策総合推進法の手続(労働局長の助言・指導・勧告と、紛争調整委員会の調停)で扱い、個別労働紛争解決促進法のあっせんは使いません(労働施策総合推進法35条〜37条)。一方、同僚からのいじめ・嫌がらせ、解雇や退職をめぐる争いなどは、助言・指導やあっせんの対象になりえます。
どちらに当たるか自分で決めきれなくても大丈夫です。コーナーで経緯を話せば、受け持つ部署に振り分けてもらえます。気をつけたいのは、あっせんの対象外に「労働者同士の紛争」があることです。加害者の上司や同僚個人を相手にする手続ではなく、相手方は会社になります。
二つの手続の違いは労働局の調停とあっせんの違い、パワハラの措置をめぐる手続の流れは労働局のハラスメント相談窓口で詳しく説明しています。
相談を実りあるものにする準備と、労基署との違い
コーナーの相談は、持って行く材料で深さが変わります。次の3点をそろえていくと、その日のうちに次の手続まで話が進みやすくなります。
- 起きたことを日付順に並べたメモ(いつ・誰が・何を・自分への影響)
- 会社に相談したか、したなら誰にいつ、どんな返事だったか
- 望む解決(言動をやめてほしい、配置を変えてほしい、謝罪、退職を考えている、など)
相談の切り出し方の例:「上司からの叱責が続いていて、会社の相談窓口にも伝えましたが対応がありません。どんな手続を選べるのか教えてください。」
総合労働相談コーナーと労基署の違いは、コーナーが分野を問わず話を受けて振り分ける入口であるのに対し、労基署は労働基準法などの違反を調べて正させる機関だという点です。詳しい振り分けは労基署と労働局の違いで見られます。コーナーにどれくらいの相談が寄せられているかは、令和7年度の数字をパワハラ・いじめの相談件数の記事で読み分けています。
労基署が扱う賃金・解雇予告・労災などの相談は労働基準監督署に相談する方法:扱える問題と相談の流れ・持ち物、労基署でできないことは労働基準監督署ができること・できないこと:相談前の早見表にまとめています。
よくある質問
Q. 総合労働相談コーナーに相談すると、会社に連絡がいきますか?
相談はコーナーの相談員と話すところまでで、それだけで会社に連絡する手続ではありません。会社に働きかけるのは、自分で助言・指導やあっせんを申し出たときや、労基法違反の疑いで労基署へ取り次がれ、労基署が調査に入ったときです。助言・指導やあっせんに進むかどうかは、その都度自分で決められます。
Q. 電話だけで相談できますか?
できます。相談の方法は面談と電話で、専門の相談員が対応します。電話番号と受付時間はコーナーごとに違うので、厚生労働省の都道府県別の一覧から近くのコーナーを探します。
Q. 相談員はパワハラかどうかを判断してくれますか?
相談員は法律や制度、手続の情報を示し、どの窓口で何ができるかを案内します。会社への命令や、あなたの代理として交渉することはしません。指針に照らした考え方や、助言・指導、調停などの手続の選び方を聞く場として使うと、得るものが多くなります。
出典・参考にした公的な情報
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)(厚生労働省)
- 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 第4条・第5条・第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働施策総合推進法 第35条〜第37条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況(資料本体PDF)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。