転職・次の職場 / 制度解説

職業訓練(ハロートレーニング)とは:離職後に受けられる訓練と給付

この記事のもくじ
  1. 2つの訓練の違い:対象・期間・受講中のお金
  2. 公共職業訓練(離職者訓練):受講中の基本手当と給付制限
  3. 求職者支援訓練:職業訓練受講手当(月10万円)の要件
  4. 申込みから受講までの流れとコースの探し方
  5. 受講を決める前に確かめること

職業訓練は、国が行う公的な制度で、通称をハロートレーニングといいます。離職後に受けられる訓練は、**雇用保険を受給している人向けの公共職業訓練(離職者訓練)**と、雇用保険を受給できない人向けの求職者支援訓練の2つで、どちらも受講料は無料(テキスト代などは自己負担)です。申込みはハローワークで、受講中の生活を支える給付も、2つの制度で内容が違います。この記事では、2つの違い、受講中の給付の確かめ方、申込みの流れを順に説明します。

ハローワークそのものの使い方はハローワークの転職相談の使い方:失業中・在職中に受けられる就職支援にまとめています。職種を変える転職で訓練を使う考え方はパワハラを機に転職で職種を変えるとき:未経験転職の考え方で扱っています。

2つの訓練の違い:対象・期間・受講中のお金

比較表:公共職業訓練と求職者支援訓練
比べる点 公共職業訓練(離職者訓練) 求職者支援訓練
主な対象 雇用保険を受給している求職者 雇用保険を受給できない求職者、受給が終わった人など
訓練期間 概ね3か月〜2年 2か月〜6か月
受講料 無料(テキスト代などは自己負担) 無料(テキスト代などは自己負担)
受講中の給付 基本手当に加え、受講手当・通所手当・寄宿手当 要件を満たすと、職業訓練受講手当(月10万円)・通所手当・寄宿手当
申込み ハローワーク ハローワーク

どちらを受けられるかは、雇用保険の受給状況で分かれます。厚生労働省は、この2つのほか、在職者向け、学卒者向け、障害のある人向けの訓練もハロートレーニングに含めています。この記事は、離職後の人が使う2つに絞って説明します。

公共職業訓練(離職者訓練):受講中の基本手当と給付制限

公共職業訓練は、高齢・障害・求職者雇用支援機構の施設で行う訓練と、都道府県の施設や民間の教育機関などに委託して行う訓練があります。厚生労働省のページには、電気設備技術科、自動車整備科、介護サービス科、情報処理科などのコースの例が挙がっています。

受講の指示を受けると、基本手当が続く

ハローワークでの職業相談で、再就職に訓練が必要だと認められると、ハローワークの所長が受講を指示することがあります。指示を受けて公共職業訓練を受ける場合は、次のとおりです。

  • 所定給付日数が終わっても、訓練が終わる日まで基本手当が支給される(雇用保険法24条)
  • 受講手当:訓練を受けた日のうち、基本手当の対象になる日について、日額500円(上限20,000円)
  • 通所手当:交通機関や自動車で通う場合に、通所方法に応じて月額最高42,500円
  • 寄宿手当:家族と別居して訓練施設の近くに住む場合に、月額10,700円
  • 自己都合で辞めた場合の給付制限(待期の後に基本手当が出ない期間)は、ハローワークの所長が指示した公共職業訓練を受ける期間と、受け終わった後は、かからない(同法33条1項ただし書)

ハローワークのページによると、指示は、基本手当の支給残日数が一定以上ある時点で行われるのが原則です。訓練を考えているなら、受給の手続きを始めた早い時期に、ハローワークで相談しておきます。受講が決まったら、受講届と通所届を受給資格者証とともに提出し、失業認定日には公共職業訓練等受講証明書を出します。

自分で選んだ教育訓練を受ける場合

ハローワークの指示ではなく、自分で選んだ教育訓練を受ける場合も、2025年4月以降は扱いが変わりました。厚生労働省は、リ・スキリングのための教育訓練などを受けた(受けている)場合は、自己都合で辞めた人の給付制限が解除されると説明しています。解除の申し出には、訓練実施施設が出す訓練開始日の証明書が必要です。対象になる訓練の範囲は、ハローワークで確かめてください。

求職者支援訓練:職業訓練受講手当(月10万円)の要件

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない人が、訓練を受けながら、再就職を目指す制度です。厚生労働省の案内では、共通の受講要件は次のとおりです。

  • ハローワークに求職の申込みをしていること
  • 雇用保険の被保険者や受給資格者でないこと
  • 働く意思と能力があること
  • ハローワークが、職業訓練などの支援が必要だと認めたこと

訓練を受けるだけなら、この要件で足ります。月10万円の職業訓練受講手当を受けるには、さらに次の要件が必要です。

項目 要件
本人の収入 月8万円以下
世帯全体の収入 月30万円以下
世帯全体の金融資産 300万円以下
土地・建物 現在住んでいる住居以外に所有していない
出席 原則として訓練日の全日。やむを得ない理由があり証明できれば、8割以上
過去の受給 過去6年以内に職業訓練受講給付金を受けていない

給付の中身は、職業訓練受講手当が月10万円、通所手当が月額上限42,500円、寄宿手当が月10,700円です。本人の収入が月12万円以下で世帯の収入が月34万円以下なら、収入の要件を満たさなくても通所手当だけは受けられます。ほかにも要件があるため、上の表は主なものと考えて、詳細はハローワークで確かめてください。

給付金だけで生活費が足りない場合には、求職者支援資金融資があります。貸付額は、単身者が月5万円、扶養家族がいる人が月10万円に、訓練の月数を掛けた額で、利率は2%、担保と保証人は不要です。給付金と違って返済が必要です。

訓練の間は、原則として月1回、ハローワークで職業相談を受けます。修了後の3か月間も同じです。給付金を希望する場合は、相談のあとに支給申請をし、申請から1週間ほどで指定の口座に振り込まれます。

申込みから受講までの流れとコースの探し方

求職者支援訓練の申込みの流れは、厚生労働省の案内では次のとおりです。公共職業訓練も、入口はハローワークでの職業相談で、同じ順序で進みます。

  1. ハローワークの受付で、訓練の相談を受けたいと伝え、制度の説明を受ける
  2. 職業相談を受けながら、訓練コースを選ぶ
  3. ハローワークで受講の申込みをする
  4. 訓練を行う機関の選考(面接や筆記など)を受ける
  5. 合格すると、ハローワークから受講があっせんされる
  6. 受講を始める

コースは、ハローワークインターネットサービスの職業訓練検索で、都道府県、分野、募集期間、訓練期間などから探せます。選考があるため、募集期間と選考日を、応募の前に確かめてください。コースを比べるときは、次の点を見ます。

  • 訓練の分野と、目指す仕事・資格のつながり
  • 訓練期間と、1日の時間。通学の時間と費用
  • 募集期間、選考の方法と日程
  • 欠席が続いたときの扱い(出席の要件)
  • 修了後の就職の支援の内容

受講を決める前に確かめること

教育訓練給付金との違い

職業訓練と似た名前に、雇用保険の教育訓練給付金があります。こちらは、厚生労働大臣が指定した講座の受講費用の一部が給付される制度で、受講料は自己負担を前提に、あとから費用の一部が戻ります。

比べる点 公共職業訓練・求職者支援訓練 教育訓練給付金
受講料 無料 自己負担(あとで一部が給付される)
給付の中身 受講中の生活を支える給付 経費の一部(一般は20%で上限10万円など)
主な条件 ハローワークでの手続きと選考 雇用保険の加入期間。離職の場合は離職後1年以内の受講開始

離職の理由と体調

パワハラが原因で辞めた場合、基本手当の区分(特定受給資格者かどうか)は、ハローワークが事実を確かめて決めます。区分はパワハラで退職したときの失業保険:特定受給資格者になる場合と確かめ方で扱っています。訓練は、出席が原則として全日必要なので、心身の状態が整っているかも、受講を決める前の確認点です。体調の面で働けない間は、基本手当の受給期間を延長する手続きがあります(すぐ働けないときの失業保険:受給期間延長の手続きと期限)。

訓練が終わっても仕事が決まらないときの見直しの点はパワハラ退職後に転職が決まらないとき:見直す3つの点と公的支援にまとめています。

よくある質問

Q. 職業訓練は、仕事を辞めた直後でも受けられますか?

受けられます。雇用保険を受給している人は公共職業訓練、雇用保険を受給できない人などは求職者支援訓練の対象になる、というのが基本の区分です。どちらを使えるかは、ハローワークで職業相談を受けて決めます。まず最寄りのハローワークで、訓練を受けたいことと、離職の状況を伝えてください。

Q. 訓練を受けている間の生活費は、どうなりますか?

雇用保険を受給している人がハローワークの指示を受けて公共職業訓練を受けると、基本手当に加えて受講手当などが出ます。雇用保険を受給できない人は、要件を満たすと、求職者支援制度の職業訓練受講手当(月10万円)などを受け取れます。どちらも、ハローワークでの手続きが必要です。

Q. 職業訓練受講手当は、返さなければなりませんか?

職業訓練受講手当は給付で、返す必要はありません。別に、給付金だけでは生活費が足りない人のための求職者支援資金融資があり、こちらは貸付なので返済が必要です。過去3年以内に偽りその他の不正行為で特定の給付金を受けた人は、給付金の要件を満たさなくなるため、申請の内容は正確に伝えてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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