退職をメールで伝えてもいい?上司・人事への退職メール例文
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退職をメールで伝えても、会社に届けば退職の申入れとして成り立ちます。民法は、期間の定めのない雇用の退職の申入れについて、口頭か書面かといった方法を決めていません。意思表示は相手に届いた時に効力を生じる(民法第97条1項)ので、メールは「送った日時が残る」点でむしろ向いている方法です。この記事では、メールで伝えてよい場面と向かない場面、相手と状況ごとの例文、送った記録の残し方を順に示します。
メールで退職を伝えてもいい場面・向かない場面
メールは、顔を合わせずに済み、日時の記録も残ります。一方で、読まれたかどうかが分かりにくい、会社によっては「退職は書面で」と就業規則に定めている、という弱さもあります。自分の状況に照らして選んでください。
| 状況 | メールが向くか | 理由・合わせて取る手 |
|---|---|---|
| 上司が怖い、対面だと言葉が出ない | 向く | 先に文字で意思を届けてから、手続きの話に進める |
| 休職中・体調不良で出社できない | 向く | 私用のアドレスからでもよい。退職届は郵送で追う |
| 在宅勤務で上司と会う機会が少ない | 向く | 送った後にオンライン面談の場を求められることもある |
| 就業規則に「退職届を提出」とある | メールだけでは足りないことがある | メールで意思を伝え、退職届は別に提出・郵送する |
| 会社がメールを読まない・無視しそう | メールだけでは弱い | 配達の記録が残る郵便に切り替える |
メールで意思が届いていても、会社が社内の手続きとして退職届の提出を求めていると、そこで話が止まることがあります。手続きを止められる口実を与えないよう、メールで伝えたうえで退職届も出すという二段構えにしておくと、話が前に進みやすくなります。退職届の出し方は次の記事の退職届を郵送で出す方法:受け取ってもらえないときの内容証明で扱います。
退職メールの例文:上司あて・人事あて・私用メール・LINE
本文は、退職の意思、退職日、有給休暇の扱い、今後の連絡方法の4点に絞ります。お詫びや理由の説明を長く書くと、返信で理由をめぐるやりとりが始まりやすくなります。
1. 直属の上司あて(会社のアドレスから)
件名:退職のご連絡(総務課・佐藤) ○○課長 お疲れさまです。総務課の佐藤です。 本来は直接お伝えすべきところ、メールでのご連絡となり失礼いたします。このたび一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。 残っている年次有給休暇は、退職日までの勤務日に使わせていただきたいと考えています。担当業務の一覧と引継ぎメモは、○日までに共有フォルダに置きます。 退職届は本日、郵送にて人事部へお送りしました。今後のご連絡は、このメールへの返信でお願いいたします。
2. 人事あて(上司を通さずに送るとき)
件名:退職の申し出について(営業部・田中) 人事部 ご担当者様 営業部の田中です。直属の上司に直接お話しすることが難しい事情があり、人事部あてにご連絡しました。 ○年○月○日付での退職を申し出ます。退職届と、離職票・源泉徴収票など退職時の書類の送付先を、追ってお知らせください。 書類のやりとりは郵送かメールでお願いできますと助かります。
3. 休職中に私用のアドレスから
件名:退職の申し出(経理部・鈴木 社員番号○○○) ○○部長 休職中の鈴木です。療養を続けるなかで考え、○年○月○日付で退職することにしました。 体調の都合により、面談ではなく書面とメールでの手続きをお願いしたく存じます。貸与のパソコンと社員証は、ご指定の方法で返送します。
4. LINEやチャットで伝えるとき
会社のチャットや上司とのLINEでしか連絡を取っていない職場もあります。その場合も、短い文で意思と日付をはっきり書きます。
例文:「お疲れさまです。突然のご連絡で失礼します。○月○日付で退職させていただきます。詳しくはメールでもお送りしましたので、ご確認ください。」
LINEは、トークの削除や退会で履歴が見られなくなることがあります。LINEで伝えた場合も、同じ内容をメールで送るか、画面を保存しておいてください。
件名・宛先・本文の書き方:送る前のチェックリスト
送信前に、次の項目を確かめます。
- 件名に「退職」と自分の所属・氏名が入っている
- 宛先は個人あて。上司・人事のどちらに送るか、CCに誰を入れるかを自分で決めた
- 退職日が「○年○月○日」と日付で書いてある
- 有給休暇を使いたいことが書いてある(使う場合)
- 退職届をどう出すか(郵送・持参)が書いてある
- 返信の方法(メール・郵送)を指定してある
- 会社の機密や顧客の情報を添付していない
- 感情的な言葉や、相手を責める文が入っていない
最後の項目は、パワハラを受けてきた人ほど迷うところです。退職のメールは手続きの連絡と割り切り、受けた言動について伝えたいことがあれば、別の書面にまとめる方が、後で読み返したときにも事実が整理された形で残ります。理由を伝えるかどうかの考え方はパワハラを退職理由として伝えるべき?で扱います。
送った記録の残し方
メールの強みは記録が残ることですが、残し方を間違えると、後で示せなくなります。特に、会社のアカウントは退職と同時に使えなくなるのが普通です。
- 送信済みのメールを開き、送信日時と宛先が見える形で保存する:画面の撮影か、PDFへの印刷
- 保存したデータを私物の端末かクラウドに移す:自分が送った退職メールだけにとどめ、業務の資料は持ち出さない
- 相手の返信も同じように保存する:「受け取りました」の一文でも、届いた証拠になる
- 返信がなければ、2〜3営業日後に確認の連絡をする
確認の連絡の例:「○月○日にお送りした退職のご連絡について、お手元に届いておりますでしょうか。念のため、同じ内容の退職届を郵送いたしました。」
それでも反応がないときは、メールだけにこだわらず、配達の記録が残る郵便で退職届を送ります。2週間を数える起点は、退職の意思が会社に届いた日です(数えるのは翌日から)。いつ届いたかを争われたくないなら、届いた事実を郵便局が証明する方法に切り替えておくと安心です。
返信や電話、呼び出しが来たときの返し方
メールを送ると、「直接話そう」「電話をくれ」と返ってくることがあります。会って話すかどうかは自分で決めてかまいません。高知県労働委員会の労働相談Q&Aは、辞職の申入れは使用者の承諾の有無にかかわらず退職できると説明しており、面談に応じることは退職の条件ではありません。
返信の例:「ご連絡ありがとうございます。お話しいただく機会をありがたく思いますが、意思は変わりません。体調のこともあり、手続きはメールと書面で進めさせてください。」
電話が続いて気持ちがすり減る、メールを開くのも怖い、という状態なら、連絡そのものを人に任せる方法もあります。退職代行を使うなら、運営形態(弁護士・弁護士法人か労働組合か)、交渉まで頼める範囲、料金に含まれるもの、返金の条件を比べてから選んでください。
ハラスメントについて、まず公的な窓口にメールやLINEで相談したい人は、パワハラをオンラインで相談できる窓口を見てください。メールより先に、対面で切り出すときの一言を用意したい人は、前の記事の退職の伝え方:上司への切り出し方と理由の言い方の例文に戻って確かめられます。
よくある質問
Q. 退職のメールは、深夜や休日に送ってもいいですか?
送ること自体は問題ありませんが、届いた日をはっきりさせたいなら、相手が読める営業日の朝に届くよう予約送信を使う方法もあります。深夜に送った場合は、翌営業日に「昨夜メールをお送りしました」と短く連絡を入れておくと、見落としを防げます。
Q. 退職メールに返信が来ないまま、2週間たちました。
返信がないことだけで申入れがなかったことにはなりません。ただ、相手が読んだかどうかを示すものが弱いので、同じ内容の退職届を配達の記録が残る郵便で送り、退職日や書類の受け取りを書面で確かめておくと安心です。
Q. 会社のメールアドレスが使えない場合、私用のアドレスから送ってもいいですか?
かまいません。本文の最初に所属と氏名、社員番号があればそれも書き、本人からの連絡だと分かるようにします。送り先は、会社の代表アドレスより、上司や人事担当者の個人あてのアドレスの方が見落とされにくくなります。
出典・参考にした公的な情報
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。