営業の仕事を辞めたい:ノルマと詰めがつらいときの整理
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営業の仕事を辞めたいほどノルマと詰めがつらいときは、まず原因が「営業という職種」なのか「その会社の目標の置き方・叱り方」なのかを分けてください。前者なら職種を変える道、後者なら会社を変える道(または社内の相談)が合います。ノルマがあること自体は、すぐに問題とは言えません。ただし、対応できない水準の目標を課して厳しく叱責する、人前で怒鳴る、自社の商品を買わせるといった行為は、パワハラ指針で取り上げられています。
営業のノルマと詰めを、パワハラ指針の例と照らす
厚生労働省の指針は、職場のパワハラを、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、の3つをすべて満たすものとしています。営業の現場で起きやすい場面と、指針の例を並べます。
| 営業の場面 | 指針の類型 | 該当すると考えられる例 | 該当しないと考えられる例 |
|---|---|---|---|
| 到底届かない目標を課し、未達を責める | 過大な要求 | 新卒採用者に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する | 育成のために、現状よりも少し高いレベルの業務を任せる |
| 繁忙期の追い込み、営業と関係のない雑用 | 過大な要求 | 業務と関係のない私的な雑用を強制的に行わせる | 繁忙期に業務上の必要から、通常時より一定程度多い業務を任せる |
| 朝礼や会議での詰め | 精神的な攻撃 | 他の労働者の面前で、大声での威圧的な叱責を繰り返し行う | 重大な問題行動に対して、一定程度強く注意をする |
| 長時間の叱責 | 精神的な攻撃 | 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる、厳しい叱責を繰り返し行う | 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が再三注意しても改善されない労働者に、一定程度強く注意をする |
| 否定的なメールの一斉送信 | 精神的な攻撃 | 能力を否定し罵倒する内容のメールを、複数の労働者宛てに送る |
指針は、この表の例が限定列挙ではなく、個別の事案で判断が異なることもある、としています。例と少し違うからといって、当たる・当たらないが決まるわけでもありません。また、令和8年版の指針では、自社の商品やサービスを労働者の自由な意思に反して購入させる行為(買い取りの強要)に関連する言動も、3つの要素をすべて満たす場合はパワハラに該当すると明記されました。いわゆる自腹購入が対象になりえる、ということです。
この表で自分の場面が「該当しないと考えられる例」に近い場合も、相談できなくなるわけではありません。指針は、会社に対して、パワハラに該当するか微妙な場合であっても広く相談に対応するよう求めています。
詳しい境目は過大な要求とは?こなせない仕事量やノルマがパワハラになる境目に整理しています。
営業に多い「お金」の問題:自腹購入・天引き・違約金
数字を追う営業の職場では、お金に関わる扱いも確かめてください。
- 自社商品を買わされる。 上の指針の買い取りの強要に関連します。誰が、いつ、どんな言い方で求めたかを記録します
- 給料から引かれる。 賃金は全額払いが原則で、控除できるのは法令で認められたもの、または労働者の代表との書面の協定があるものに限られます(労働基準法第24条)。ノルマ未達や顧客の未払いを理由にした天引きは、給与明細と就業規則を持って労働基準監督署へ
- 「辞めたら違約金」。 労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めたりすることは禁じられています(労働基準法第16条)
外回りが多い営業では、労働時間を「みなし」で計算していて残業代が出ない、と言われることもあります。労働基準法第38条の2は、事業場外で働いて労働時間を算定しにくいときに、所定労働時間働いたものとみなすと定めています。自分の働き方がこれに当たるかは、労基署などが実態を見て判断します。外回りの前後に社内でしている業務、直行直帰の頻度、日報の提出時刻を、日付つきで記録しておいてください。残業の記録の方法は残業の証拠の残し方:長時間労働を自分で記録する方法と注意点にあります。
営業の現場で残す記録
営業のパワハラは、数字と発言がセットで残ると、説明しやすくなります。
- 目標の中身。 目標値、その根拠として説明された内容、決められた日付
- 達成状況。 自分の実績と、同じ部署の目標の水準(分かる範囲で)
- 叱責の記録。 日時、場所(朝礼・会議・個別面談・電話)、誰がいたか、言われた言葉を原文のまま
- 支援の有無。 同行や研修、リストの提供など、達成のために会社がしたこと・しなかったこと
- 体調。 眠れない、出勤前の吐き気など、いつからか
録音やメールの保存、資料の持ち出しには線引きがあります。パワハラの証拠保全:退職前・異動前にしておく保存と持ち出しの線引きを先に読んでください。記入の形はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきにあります。
相談先:社内、労働局、労基署
- 社内の窓口。 会社には、パワハラの相談に応じ適切に対応するための体制を整える義務があります(労働施策総合推進法第31条第1項)。相談したことを理由とする不利益な取扱いは同条第2項で禁じられています
- 労働局の雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナー。 社内で動かないときの窓口です。パワハラの紛争には、労働局長の助言・指導・勧告や、紛争調整委員会の調停があります(法第36条・第37条)。番号と受付時間はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にあります
- 労働基準監督署。 賃金の天引きなど、労働基準法に関わる問題が対象です
顧客から長時間のクレームや無理な要求を受けている場合は、別の整理が必要です。カスハラで仕事を辞めたいとき:休む・異動・転職の選び方と準備を読んでください。
職種を変える道と、会社を変える道を比べる
相談しても改善しない、またはこの職場にいること自体が限界のときは、離れる道を比べます。
| 道 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 社内で職種を変える(営業事務・企画など) | 営業の数字が重いだけで、会社は好き | 異動の制度があるか、希望から実際の異動までの期間 |
| 社内で営業の種類を変える(新規開拓からルート営業など) | 新規の電話や飛び込みが苦痛 | 営業の種類で、目標の置き方は変わる |
| 同じ営業職で会社を変える | 職種は合うが、目標の置き方・叱り方が合わない | 固定給とインセンティブの割合、未達時の扱い |
| 営業以外の職種へ転職する | 人に売る行為そのものがつらい | 経験を活かせる職種と、年収の変化 |
同じ営業でも、飛び込みで新規開拓をする仕事と、既存の顧客を訪問する仕事では、日々の負担が違います。営業事務など近い職業の仕事内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業検索で調べられます。
会社を変える場合は、面接や職場見学で、次のことを聞いてみてください。
質問の例:「営業の目標は、どのように決められますか。目標に届かなかったときは、どのようなフォローがありますか。入社後の同行や研修はどのくらいありますか。」
転職理由は、前の会社の悪口にならない形で伝えます。
面接での言い方の例:「前職では、数字の責任を持つ経験を積めました。次は、顧客との関係を長く築ける環境で、提案の質を高めたいと考えています。」
求人探しや書類の準備が負担なら、転職支援サービスを使う方法もあります。
辞めるかどうかを決める前に、体を休めることも選択肢です。眠れない日が続いているなら、仕事を辞めたいほどで眠れないとき:不眠が続く場合の受診の目安を読んでください。全体の順番は仕事を辞めたいとき最初にすること:辞める・休む・異動を比べる判断の順番に、新卒1年目の営業は新卒・1年目で会社を辞めたい:早期退職の判断材料と第二新卒の動き方にあります。
よくある質問
Q. ノルマが厳しいだけで、パワハラの相談はできますか?
相談できます。当たるかどうかは、指針の3つの要素に照らして、窓口が事実を聞いて見ます。ノルマや目標がある、というだけでは決まりません。目標の根拠、達成のための支援の有無、未達のときの叱責の中身を、記録にして持っていくと話が進みます。
Q. 営業成績が悪くて給料から引かれました。これは認められますか?
賃金は、全額を支払うのが原則です(労働基準法第24条)。税金や社会保険料のほか、法令や、労働者の代表との書面の協定で認められた控除に限って、差し引けます。何がどう引かれたのか、給与明細と就業規則を見て、労働基準監督署に相談してください。
Q. 営業を辞めたら、次も営業になりますか?
営業職の経験は、営業事務や企画など、近い職種でも求められることがあります。厚生労働省の職業情報提供サイトで、営業の種類を調べられます。近い職業は職業検索で探せます。職種を変えるか、会社を変えるかは、つらさの原因で決めます。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点)(厚生労働省)
- 労働基準法 第16条・第24条・第38条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働施策総合推進法 第31条・第36条・第37条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 職業情報提供サイト(job tag)「営業の仕事」(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。