退職勧奨・解雇・配置 / 制度解説

雇い止めとは?契約更新を拒否されたときに確かめる経緯と理由

この記事のもくじ
  1. 雇い止めに関わるルールの全体像
  2. 労働契約法19条:更新を拒否されても争える2つの場合
  3. 更新しないと言われたら、すぐにすること
  4. パワハラと雇い止めの関係
  5. 相談先と、見ておきたい数字

雇い止めとは、期間の定めがある労働契約(有期契約)が、期間満了のときに更新されずに終わることです。「次の契約は更新しない」と言われても、それだけで終わりとは限りません。労働契約法19条は、一定の場合に、更新の拒否が許されないことを定めています。まず確かめるのは、更新をめぐる経緯と、更新しない理由です。この記事では、法律の仕組み、言われた直後にすること、パワハラとの関係、相談先を順に説明します。

雇い止めに関わるルールの全体像

雇い止めを考えるときに出てくるルールは、次のとおりです。

ルール 内容 確かめるきっかけ
労働契約法19条(雇止め法理) 一定の有期契約で、労働者が更新を申し込み、会社の拒絶が理由を欠き社会通念上相当でないとき、従前と同じ条件で更新が承諾されたものとみなされる 更新を繰り返してきた、更新を期待していた
労働契約法18条(無期転換) 同じ会社との契約期間が通算5年を超えた人が申し込むと、無期契約に転換する 通算の期間が5年に近い、または超えている
労働契約法17条 契約期間の途中での解雇は、やむを得ない事由がなければできない 期間の途中で辞めさせられた
厚生労働省の告示(基準) 3回以上更新した、または1年を超えて勤務している人は、更新しないとき30日前までの予告。理由の証明書の請求もできる 更新しない旨を直前に言われた
労働基準法15条・施行規則5条 契約のとき、更新の基準や、更新上限を明示する 契約書・労働条件通知書の記載

労働契約法は、国家公務員・地方公務員には適用されません(21条)。公務員の非常勤職員の更新拒否は、別の仕組みで扱われるので、所属の人事担当や人事委員会などに確かめます。

労働契約法19条:更新を拒否されても争える2つの場合

19条の対象になるのは、次のどちらかに当たる有期契約です。

比較表:労働契約法19条が対象にする2つの場合
区分 条文の内容 集めておく材料
① 解雇と同じとみられる場合 過去に反復して更新されたことがあり、更新しないことが、無期契約の労働者を解雇することと社会通念上同じだと認められる これまでの更新の回数・通算の期間、契約更新の手続が形だけだったか、仕事の内容が他の無期の社員と同じか
② 更新を期待する理由がある場合 契約期間の満了時に更新されると期待することに、合理的な理由がある 上司の「来期もお願いね」といった発言、更新の面談の有無、同じ立場の人の更新の実績、仕事が継続する性質か

この条文には、「何回更新したら」「何年働いたら」といった数字の基準がありません。ですから、数字だけで判断せず、①②の言葉に当てはまる事実を集めます。そのうえで、労働者が期間満了までに更新を申し込むか、満了後遅滞なく契約の締結を申し込むことが前提です。会社の拒絶が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない」ときに、従前と同じ条件での更新が承諾されたものとみなされます。当てはまるかどうかを判断するのは裁判所などで、このサイトでは個別の結論は示せません。

更新しないと言われたら、すぐにすること

  1. 理由と時期を書面で聞く:口頭だけなら、日付と言われた言葉を書き留める。告示は、更新しない理由の証明書を請求できると定めている。また、契約を3回以上更新した人、または1年を超えて勤務している人(最初の契約で更新しないと明示されていた場合を除く)には、満了の30日前までに予告することも求めている。
  2. 契約書と更新の経緯を集める:これまでの契約書、労働条件通知書、更新のときのメールや面談の記録、給与明細。
  3. 更新を希望すると、記録の残る形で伝える:期間満了より前に、メールで申し込む。
  4. 退職や不更新に同意する書面に署名しない:内容を確かめ、持ち帰って相談する。
  5. 相談先へ:下の「相談先」を参照。

更新を希望するメールの例:「○月○日にお話のあった、契約を更新しないという件について、理由を書面でご提示ください。私は契約の更新を希望しており、○月○日の期間満了後も働き続けたいと考えています。」

2024年4月1日からは、契約の更新時に更新上限(通算の期間や更新回数の上限)を新たに設けたり、引き下げたりするとき、会社はあらかじめ理由を説明することが告示で求められています。更新上限が突然設けられた場合は、その説明を受けたかどうかも記録しておきます。

パワハラと雇い止めの関係

「パワハラを相談したら、契約を更新しないと言われた」という場合は、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止(労働施策総合推進法31条2項)の問題を合わせて考えます。この点は「パワハラを相談したら解雇された:不利益取扱いの禁止と動き方」で整理しています。更新の拒否が相談の後に告げられたなら、相談した日、事実確認を受けた日、更新しないと告げられた日を、日付つきで並べて記録します。

もう一つ、無期転換との関係にも注意が必要です。通算5年を超える前に、更新を拒否されるのではないか、という相談があります。労働契約法18条は、同じ会社との契約期間が通算5年を超えた人が、現在の契約の満了日までに申し込むと、無期契約になる仕組みです。契約と契約の間に空白期間(原則6か月以上)があると、通算されません。通算期間が4年を超えたあたりで更新を断られたときは、契約の通算期間と更新の経緯を一覧にしておくと、窓口で説明しやすくなります。

相談先と、見ておきたい数字

厚生労働省の令和7年度の資料では、民事上の個別労働関係紛争の相談のうち、雇止めは15,775件(4.8%)でした。労働局のあっせんの申請でも、内容別では解雇、いじめ・嫌がらせに次いで雇止めが475件と3番目に多くなっています。雇い止めは、窓口に多く寄せられる相談の一つです。

解雇と契約の終わり方の関係は「不当解雇とは?解雇の有効性の考え方と通知されたらすぐすること」、辞めるように勧められたときは「退職勧奨は断れる?応じる義務の有無と、断り方・応じる前の条件の確かめ方」を読んでください。

よくある質問

Q. 契約書に「更新しない」と書いてあったら、雇い止めは争えませんか?

書いてあるだけで決まるわけではありません。労働契約法19条は、更新を期待することに合理的な理由があるかを見ます。ただ、最初の契約で更新しないと明示されていた事実は、期待の有無を見る材料になります。契約書、面談での説明、実際の更新の経緯を並べて、労働局や弁護士に見てもらいます。

Q. 更新の申込みは、いつまでにすればよいですか?

条文は、契約期間が満了する日までに更新の申込みをした場合と、満了後に遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合を対象にしています。期限が迫っているなら、満了日より前に、メールなど記録の残る形で「更新を希望します」と伝えます。

Q. 雇い止めでも、解雇予告手当はもらえますか?

解雇予告手当は、解雇のときに30日前の予告をしない場合の制度(労基法20条)です。雇い止めは契約期間の満了による終了なので、別の仕組みで考えます。一定の契約は、更新しない場合に30日前までの予告が基準で求められており、予告の有無を確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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