休職中でお金がないとき:公的な貸付・支援制度の探し方と相談先
休職中でお金がないときは、まず傷病手当金など「入るはずのお金」の手続きを急ぎ、それでも足りない分を公的な貸付や給付で補う順番で考えます。公的な支えには、社会福祉協議会の生活福祉資金(緊急小口資金・総合支援資金)、家賃や転居費用を支える住居確保給付金、通院の医療費を軽くする自立支援医療などがあります。どれが使えるか分からないときは、市区町村の自立相談支援機関がまとめて相談に乗ってくれます。この記事では、制度ごとの中身と相談の順番を整理します。お金の不安で眠れない、追い詰められていると感じるときは、制度の手続きより先に仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間を使ってください。
まず「入るお金」を早める:傷病手当金と給与の確認
公的な貸付は返済が必要です。借りる前に、受け取れるはずのお金の手続きが止まっていないかを確かめます。
- 休職中の給与が出るかを就業規則と会社の案内で確かめる。一部でも出る会社があります(パワハラ休職中の給与は出るか)。
- 傷病手当金を申請したか。まだなら、会社と医師に書いてもらう欄を早めに頼みます。協会けんぽは、審査の結果支払いができる場合、受付日から10営業日以内に支払うとしています。申請の流れは休職中の傷病手当金の申請方法にあります。
- 書類の抜けをなくす。不備で差し戻されると、そのぶん入金が遅れます。会社・医師の記入欄、振込先、添付書類を出す前に見直し、生活費が厳しいことも加入先に伝えて、どの期間の分から出すとよいかを相談します。
- 会社に払う社会保険料や住民税の期日をずらせないかを相談する。給与が出ない月の保険料の払い方は休職中の社会保険料・住民税と傷病手当金からの払い方で扱っています。
そのうえで、今月と来月の「入る額」「出る額」を紙に書き出します。家賃、通信費、保険料、医療費、借入の返済など、止められない支払いから並べると、足りない額と時期がはっきりします。この表が、次に紹介する窓口で相談するときの資料になります。
公的な貸付・給付の一覧と違い
休職中の人が検討しやすい公的な制度を並べます。金額や要件は国の制度の枠で、細かな運用は自治体や社会福祉協議会によって違います。
| 制度 | 給付か貸付か | 主な中身 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 緊急小口資金(生活福祉資金) | 貸付(返済あり) | 10万円以内、無利子、保証人不要。据置2か月以内、返済は据置後12か月以内 | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 総合支援資金・生活支援費(生活福祉資金) | 貸付(返済あり) | 単身 月15万円以内・二人以上 月20万円以内、原則3か月(最長12か月) | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 福祉資金(福祉費・生活福祉資金) | 貸付(返済あり) | 負傷や疾病の療養に必要な経費と、療養中の生計費。限度額は580万円以内で、用途ごとに上限の目安がある | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 住居確保給付金 | 給付(返済なし) | 離職・廃業の場合は家賃相当額を3か月(必要と認められれば3か月ごとの延長で最大9か月)。休業等で収入が減った場合は、新たな住居の確保に要する費用(転居費用) | 自立相談支援機関 |
| 自立支援医療(精神通院医療) | 医療費の軽減 | 通院の自己負担を所得に応じた月の上限まで(上限に満たない場合は1割) | 住まいの市区町村 |
生活福祉資金(緊急小口資金・総合支援資金)
都道府県の社会福祉協議会が実施し、市区町村の社会福祉協議会が窓口です。対象は低所得世帯(必要な資金をほかから借りることが難しい、市町村民税非課税程度の世帯)、障害者世帯、高齢者世帯です。
- 緊急小口資金:10万円以内の少額の貸付。無利子で、保証人は不要です。
- 総合支援資金(生活支援費):月ごとの生活費の貸付。連帯保証人を立てれば無利子、立てない場合は年1.5%です。連帯保証人は原則必要ですが、立てなくても借りられます。
- 福祉資金(福祉費):療養に必要な経費と療養中の生計費が用途に挙げられ、限度額は580万円以内です(下の早見表にも載せています)。休職の長さや療養費の見通しがあるときは、窓口でこの用途が使えるかも聞きます。
貸付は返せる見通しも考えて決まります。厚生労働省のページにある条件は国の枠なので、借りられるか、いつ入金されるかは窓口で確かめます。
住居確保給付金
家賃の支払いが難しい人に、生活保護の住宅扶助額を上限に、実際の家賃額に当たる額を貸主へ直接支払う給付です。返済の必要はありません。ただし、対象は場合によって形が違います。離職・廃業から2年以内(疾病などで求職活動ができなかった期間は加算)の人には、毎月の家賃相当額が3か月支給され、必要と認められれば3か月ごとに延長して最大9か月です(生活困窮者自立支援法施行規則10条・11条・12条)。このとき、主に生計を支える人であること、世帯の収入と預貯金が基準額以内であること(預貯金は基準額の6か月分、100万円が上限)、ハローワーク等での求職活動などの要件があります。
これとは別に、休職や休業などで世帯の収入が著しく減った人も、法3条3項2号と施行規則3条の2により対象に加わっています。ただし、この場合に支給されるのは、家計を改善するために新たな住居を確保する(家賃の低い住居へ移るなど)際の費用で、上限は転居先の住宅扶助基準額の3倍です(同11条1項2号)。いまの住まいの家賃を毎月払い続けるための給付ではありません。休職中の収入の減り方がこれに当たるか、転居の見通しがあるかは、自立相談支援機関で確かめます。
自立支援医療(精神通院医療)
精神疾患があり、通院による治療を続ける必要がある人の医療費を軽くする制度です。症状がほとんど消えていても、再発を防ぐために通院を続ける必要がある場合も対象とされています。厚生労働省の資料では、所得に応じて1か月あたりの負担の上限が決まり、それに満たない場合は1割負担になる仕組みが示されています。通院が長引きそうなら、主治医の医療機関で使えるかを聞き、申請先と必要な書類を住まいの市区町村に問い合わせます。
どこに相談する?自立相談支援機関の使い方
「どの制度が使えるか自分では分からない」ときの入口が、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関です。生活困窮者自立支援法3条は、生活に困っている人やその家族からの相談に応じ、情報提供・助言・関係機関との連絡調整を行う事業と定めています。厚生労働省のページでは、支援員が相談者と一緒に支援プランを作ること、家計の見える化を手伝う家計改善支援事業があることが紹介されています。
窓口は住まいの地域ごとにあります。市区町村の役所の福祉の担当課に「生活困窮者の自立相談支援の窓口はどこか」と聞くと、担当の窓口につないでもらいやすくなります。相談に持っていくとよいものは次のとおりです。
- 上で書き出した今月・来月の収支の表
- 給与明細、休職の通知、傷病手当金の申請状況が分かるもの
- 家賃の契約書、預貯金の残高が分かるもの
- 主治医の診断書の写し(休職の理由を説明するため)
電話の最初の一言は、たとえば次のように伝えます。
文例:「体調を崩して会社を休職中で、収入が減り、来月の家賃と生活費が足りなくなりそうです。使える制度がないか相談したいのですが、どちらに伺えばよいでしょうか。」
借りる前に考えたいことと、避けたい選択
お金が足りないと、すぐに借りられるところへ手を伸ばしたくなります。公的な制度を確かめる前に高い利息の借入をすると、休職が長引いたときに返済が生活を圧迫します。次の点を順番に確かめてから決めます。
- 返済の要らない手続きを先に。 傷病手当金、休職中の給与、住居確保給付金の順に確かめる。
- 借りるなら公的な貸付を先に。 生活福祉資金は無利子か低い利率で、返済の据置期間がある。
- 支払いの時期をずらす相談をする。 会社への保険料、家賃、公共料金などは、遅れる前に相手へ相談する。
パワーハラスメント(パワハラ)で休んでいる場合は、労災保険の休業補償給付を請求する道もあります。傷病手当金との違いと決定を待つあいだの扱いは前の記事のパワハラの休職は傷病手当金と労災のどちらかで比べています。お金の不安で眠れない、気持ちが追い詰められていると感じるときは、制度の手続きより先に仕事がつらい・限界のときの相談先を使ってください。次の記事では、休職中のボーナスや評価がどうなるかをパワハラ休職中のボーナス・評価と規程の確かめ方で整理します。
よくある質問
Q. 緊急小口資金は休職中でも借りられますか?
生活福祉資金の対象は、低所得世帯(市町村民税非課税程度で、必要な資金を他から借りることが難しい世帯)、障害者世帯、高齢者世帯です。休職していることだけで決まるのではなく、世帯の収入や状況で判断されます。返済が必要な貸付なので、返せる見通しも含めて市区町村の社会福祉協議会で相談してください。
Q. 住居確保給付金は休職中でも対象になりますか?
毎月の家賃を支える給付の中心は、離職・廃業から2年以内の人です。休業等で世帯の収入が著しく減った人も対象に加わりましたが、その場合に支給されるのは、家計を改善するために家賃の低い住居などへ移る際の費用(新たな住居の確保に要する費用)で、いまの家賃を払い続けるための毎月の給付とは別の形です(生活困窮者自立支援法施行規則第11条)。休職中の収入の減り方が当たるか、傷病手当金を収入にどう数えるかは、世帯収入や預貯金の要件とあわせて自立相談支援機関で確かめます。家賃の支払いが厳しいと分かった時点で相談するのが近道です。
Q. 傷病手当金は申請してからどれくらいで振り込まれますか?
協会けんぽでは、審査の結果支払いができる場合、受付日から10営業日以内に支払うと案内しています。書類に不備があると遅れるので、会社や医師に記入してもらう欄の抜けがないかを出す前に見直します。健康保険組合や共済に加入している人は、それぞれの案内で日数を確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
- 生活福祉資金の貸付条件等(厚生労働省)
- 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
- 生活困窮者自立支援法 第3条・第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 生活困窮者自立支援法施行規則 第3条の2・第10条・第12条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 自立支援医療(精神通院医療)について(厚生労働省)
- 自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み(厚生労働省)
- 健康保険傷病手当金支給申請書(全国健康保険協会(協会けんぽ))
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。