休職と復職 / 悩み整理

適応障害の休職に罪悪感があるとき:甘えではない理由と休み方

この記事のもくじ
  1. 適応障害の休職は甘えではない:制度の目的から確かめる
  2. 罪悪感の中身を4つに分けて扱う
  3. 申し訳なさを伝えるなら:一度だけ、短く
  4. 罪悪感で休めないときの休み方
  5. 休職期間や延長が気になって休めないとき

適応障害で休職することに罪悪感があっても、休職は「甘え」ではなく、会社の就業規則に定められた正式な扱いです。厚生労働省のモデル就業規則は、休職を「労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱い」と説明しています。罪悪感をむりに消そうとせず、中身を「同僚への申し訳なさ」「お金」「人目」「自分を責める気持ち」に分けて一つずつ扱うと、休みを回復に使いやすくなります。自分を責める気持ちが強く、消えてしまいたいと感じるときは、この記事を読み進める前に仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間を使ってください。

適応障害の休職は甘えではない:制度の目的から確かめる

罪悪感の多くは「本来は働くべきなのに休んでいる」という思いから生まれます。けれども、休職中は働く義務そのものが一時的に外れている状態です。モデル就業規則の第9条は、業務外の病気で欠勤が続き、療養を続ける必要があって勤務できないときに休職とする例を示し、休職の事由がなくなれば復職するとしています。休職は、働けない期間があることを前提に会社が用意している仕組みだと言えます。

休む前提で作られている制度はほかにもあります。

制度 書かれていること 罪悪感との関係
就業規則の休職(モデル就業規則第9条) 身分を保ったまま、一定期間の就労義務を免除する 休むことが規則の中で予定されている
健康保険の傷病手当金(健康保険法第99条) 療養のため仕事に就けないとき、4日目から支給する 病気で働けない期間を、加入者が保険料で支え合う仕組み
労働契約法第5条 会社は、働く人が生命・身体等の安全を確保しつつ働けるよう必要な配慮をする 心身の安全は、本人の頑張りだけでなく会社の配慮の対象でもある
職場復帰支援の手引き(厚労省) 復帰までの第1ステップを「病気休業開始及び休業中のケア」としている 休むことが、復帰への最初の段階として扱われている

休職は法律で一律に定められた制度ではなく、会社が就業規則で設ける制度です。自分の会社に休職の定めがあるかは、規程を見るか人事に聞いて確かめます。そのうえで、適応障害という診断が出て主治医が療養を勧めたなら、休むことは治療の一部です。病気かどうか、どれくらい休むべきかを自分で判定する必要はなく、それは主治医の役割です。休職の始め方や全体の流れは「適応障害・パワハラで休職するには:診断書から復職・退職までの流れ」にまとめています。

罪悪感の中身を4つに分けて扱う

「申し訳ない」という一つの気持ちに見えても、中身は人によって違います。どれが一番重いかを見分けると、手の打ち方が変わります。

早見表:罪悪感の中身と、事実として確かめられること
罪悪感の中身 事実として確かめられること できる一手
同僚に仕事を押しつけている 誰がどの仕事をするかを決めるのは会社 引き継ぎメモを一度渡し、あとは任せる
給料や手当をもらって休んでいる モデル就業規則では休職中は原則無給の例。傷病手当金は保険料を納めた加入者への給付 自分の会社の規程と、受け取る給付の根拠を一度確かめる
遊んでいるように見られたくない 外出がよいかは主治医の療養方針で決まる 外出の段階を主治医に確かめておく
自分が弱いから休むことになった 診断と療養の判断は医師がする 「弱さ」ではなく「症状」として主治医に話す

同僚への申し訳なさは、自分の仕事が誰かに回っていることへの痛みです。ただ、人の配置や仕事の割り振りを決める権限は会社にあり、休んでいる本人が埋め合わせる立場にはありません。できるのは、休む前か休職の初めに引き継ぎメモを渡すところまでです。

お金への後ろめたさは、制度の仕組みを知ると軽くなることがあります。休職中の給与をどうするかは会社ごとに決まり、モデル就業規則の第43条は「原則として賃金を支給しない」例を示しています。代わりに受ける傷病手当金は、健康保険の加入者として保険料を納めてきたことに基づく給付です。受け取る条件や計算は「休職中の傷病手当金の条件・金額・期間」で確かめられます。

人目の問題は、外出や旅行の場面で強くなります。主治医に外出してよい段階かを聞き、会社の規程を読んでおけば、後ろめたさの根拠が具体的に分かります。詳しくは「適応障害の休職中に遊びに行くのはだめ?外出・旅行の確かめ方」で扱います。

自分を責める気持ちが中心なら、パワハラの経験そのものが自責を強めていることがあります。「パワハラは自分が悪いから?自分を責めてしまうときの考え方」も参考にしてください。

申し訳なさを伝えるなら:一度だけ、短く

申し訳なさを抱えたままだと、謝罪のメールを何度も送りたくなります。けれども、謝るたびに返事を待ち、返事の文面を気にして疲れてしまうことがあります。伝えるなら一度だけにし、引き継ぎと連絡の方法をそこで決めてしまうほうが、休みに集中できます。

文例(同僚へ・休職に入るとき):「急にお休みをいただくことになり、ご迷惑をおかけします。担当していた○○の資料は共有フォルダの△△にまとめました。今後のやり取りは人事の□□さんを通すことになっています。どうぞよろしくお願いします。」

文例(上司・人事へ・休職中の定期連絡で):「療養を続けています。次回の受診は○月○日です。経過は次の連絡日にお伝えします。」

上の文例のように、謝罪は最初の一文に留め、残りは事務的な内容にします。定期連絡の頻度や書き方は「休職中の会社への連絡:経過報告の頻度とメール例文」に例をまとめました。会社からの連絡が多すぎて休めない場合は、「適応障害で休職中の会社の対応がつらいとき」で窓口の一本化の頼み方を扱っています。

罪悪感で休めないときの休み方

休職に入っても、罪悪感から「何か役に立つことをしなければ」と動き続けてしまう人がいます。回復の段階に合わない動き方は、休職を長引かせる原因にもなりえます。次の点を一つずつ見直してください。

  1. 仕事の通知を切る。 社用のメール・チャットの通知をオフにし、会社との連絡は決めた日にまとめる。
  2. 一日の予定を「療養の予定」として書く。 起きる時間、食事、短い散歩など。何もしない時間も予定として書くと、休んでいる自分を責めにくくなる。
  3. 罪悪感の強さを記録する。 1日1行、「今日の罪悪感は10段階でいくつ」とメモし、受診のときに主治医へ見せる。
  4. 資格の勉強や転職活動を急がない。 始める時期は主治医と相談してからにする。
  5. 気持ちを書き出す。 頭の中で繰り返している言葉を紙に出すと、事実と思い込みを分けやすくなる。

回復の段階ごとにしてよいことの目安は「適応障害の休職中の過ごし方:回復の段階ごとにしていいこと」にあります。罪悪感が強すぎて眠れない、食べられない日が続くときは、次の受診を待たずに主治医へ連絡してください。消えたい・死にたいという気持ちが出てきたときは、「仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口」にある窓口へすぐにつながってください。

休職期間や延長が気になって休めないとき

罪悪感と一緒に「いつまで休めるのか」「延びたらどう思われるか」という不安がある場合は、規程を確かめるだけで気持ちが落ち着くことがあります。休職できる期間は法律ではなく就業規則で決まり、モデル就業規則の解説も、休職期間の制限について労働基準法に定めはないとしています。自分の会社の上限と、延長の条件を一度だけ読んでおきましょう。

休職を言い出す段階でためらっている人は、「適応障害で休職を言い出せないとき:上司・人事への伝え方」から読むと、罪悪感を抱えたままでも伝えられる言い方が見つかります。

よくある質問

Q. 休職中なのに、罪悪感から仕事のメールを見てしまいます。やめたほうがいいですか?

休職は就労の義務が免除されている期間なので、業務のメールに対応する前提にはなっていません。見るたびに気持ちが沈むなら、通知を切り、会社との連絡は決めた日にまとめて確認する形に変えます。どうしても気になる案件があるなら、連絡日に「引き継ぎ先はどなたですか」と一度だけ確かめ、あとは任せます。

Q. 家族に「甘えているのでは」と言われ、休むのがつらくなります。

家族も病状や制度を知らないために不安を口にしていることがあります。次の受診に家族が同席できるか主治医に相談し、療養が必要な理由と回復の見通しを直接聞いてもらうと、説明を自分だけで背負わずに済みます。会社の休職制度の資料を一緒に見るのも助けになります。

Q. 罪悪感が強くて、早く復職したほうが楽になる気がします。

早く戻りたい気持ちは自然ですが、復職の時期は主治医の判断と、会社の復職の手続き(産業医面談など)で決まります。公的な手引きでも、日常生活ができることと職場で求められる仕事ができることは同じではないとされています。焦りそのものを主治医に伝え、復職の目安を一緒に確かめるのが近道です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

休職中の会社への連絡:経過報告の頻度と使えるメール例文

適応障害の休職中に遊びに行くのはだめ?外出・旅行と主治医への確認

適応障害の休職中の過ごし方:回復の段階ごとにしていいこと

適応障害の休職を延長したいとき:延長の手続きと期間満了前の確認