飲み会の強要はパワハラ?断り方の文例と参加しなかった後の扱い
飲み会への参加や飲酒を強要されることが、パワーハラスメント(パワハラ)の問題になる場合はあります。厚生労働省は、勤務時間外の「懇親の場」でも、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に当たり、その判断は職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意か等を考えて個別に行うとしています。参加が任意の会なら断るかどうかは本人が決めてよく、断った後に嫌味を言われる、仕事で不利に扱われるといったことがあれば、その言動を記録して相談できます。この記事では、強要の考え方、角の立たない断り方、断った後の扱いの順に整理します。
飲み会は「職場」に当たる?厚生労働省の考え方
パワハラ指針の定義は、職場で行われる①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境が害されるもの、です。飲み会で問題になるのは、まず「職場」に当たるかどうかです。
厚生労働省のパンフレットと解釈事項(問24)は、勤務時間外の懇親の場であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に当たり、判断は次のような事情を考慮して個別に行うとしています。
| 考慮される事情(厚生労働省) | 職務の延長に近い方向の例 | 私的な集まりに近い方向の例 |
|---|---|---|
| 職務との関連性 | 取引先の接待、部署の目標達成の会、業務の打合せを兼ねる | 仲の良い同僚同士で決めた食事 |
| 参加者 | 上司が部下全員を集める、部署単位で開く | 有志だけで、上司が加わらない |
| 参加や対応が強制的か任意か | 「全員参加」と指示される、欠席に理由の報告を求める | 出欠を自由に選べ、欠席しても何も言われない |
同じパンフレットは、職場の例として取引先との打合せの場所(接待の席も含む)を挙げています。なお、指針は会社に対し、パワハラに当たるか微妙な場合も広く相談に対応するよう求めています。「業務時間外だから相談できない」と考える必要はありません。
参加・飲酒の強要を、指針の類型で見ると
飲み会にまつわる困りごとを、パワハラ指針の6類型に照らすと、次のように整理できます。当てはまるかどうかは、言動の内容・回数・その後の扱いを総合して判断されるので、ここでは記録と相談の手がかりとして読んでください。
| 困りごと | 近い指針の類型 | 記録しておくこと |
|---|---|---|
| 「来ないなら評価を考える」「付き合いが悪いと昇進できない」と言われる | 精神的な攻撃(脅迫に近い言動) | 言葉そのまま、言った人、日時 |
| 欠席した翌日から話しかけられない、仕事を回されない | 人間関係からの切り離し/過小な要求 | 欠席した日と、扱いが変わった日の対応 |
| 飲めないと伝えているのに飲むよう繰り返し求められる、断ると皆の前でからかわれる | 精神的な攻撃(侮辱やからかいに当たる部分) | 断った言葉、相手の反応、周りにいた人 |
| 業務と関係のない私的な会の準備や雑用を強制される | 過大な要求(業務とは関係のない私的な雑用の強制) | 誰に何を頼まれ、断れなかった事情 |
新人に毎回幹事を押し付ける場面は、会の性格によって整理が分かれます。会社の行事の幹事を業務として割り振られたなら、それは業務の指示です。その場合、準備に使った時間が労働時間に当たるかが問題になりえます。厚生労働省の労働時間のガイドラインは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間は労働時間に当たるとしています。参加することが業務上義務づけられている研修の受講なども労働時間の例に挙げています。勤務時間外の準備が当然のように求められているなら、サービス残業の強要がつらいときで労働時間の記録の付け方を確かめてください。
角の立たない断り方の文例
断るときは、理由を長く説明しすぎず、感謝・断り・次につながる一言の3点にすると角が立ちにくくなります。体質や持病、服薬のことを詳しく話す必要はありません。
文例(予定を理由に):「お誘いありがとうございます。その日は先約があり、今回は失礼します。また別の機会にぜひ。」
文例(一次会だけ参加する):「一次会まで参加させてください。翌朝が早いので、そこで失礼します。」
文例(お酒を断る):「すみません、お酒は控えているので、ソフトドリンクでご一緒させてください。」
文例(幹事を毎回頼まれるとき):「前回も担当させていただいたので、今回はほかの方にお願いできないでしょうか。業務として担当する場合は、準備の時間の扱いも含めてご指示いただけると助かります。」
文例(参加が業務かどうか確かめる):「この会は業務としての参加でしょうか。任意であれば、今回は家庭の事情で欠席させてください。」
何度断っても誘いが続く、断ると強い口調で責められるときは、その場で言い返すより、やりとりを記録に残すことを優先します。言い返し方に迷うときはパワハラ上司に言い返すべき?が参考になります。
参加しなかった後に、嫌味や不利益な扱いが続いたら
飲み会を断ったことをきっかけに、嫌味を言われる、仕事を外される、評価面談で「協調性がない」と書かれるといったことが続く場合は、記録を付けて相談します。
- 欠席を伝えた日と方法(口頭・チャット)、相手の反応を書く
- その後の言動を日付ごとに書く(言葉はそのまま、周りにいた人も)
- 仕事の割り振りや評価が変わった場合は、変わる前と後を並べて書く
- 2〜3週間分たまったら、上司の上司か社内の相談窓口に伝える
文例(相談窓口へ):「〇月〇日の部署の飲み会を欠席して以降、□□さんから『付き合いが悪い』と皆の前で繰り返し言われ、担当していた〇〇の案件から外されました。日付ごとの記録があります。事実を確認していただけないでしょうか。」
会社には職場のパワハラを防ぐ措置を講じる義務があり、相談したことを理由とする不利益な扱いは禁じられています(労働施策総合推進法第31条)。「就業環境が害される」の考え方は「就業環境が害される」とは?で、飲み会の席での性的な発言に困っているときはセクハラになりうる発言の例で扱っています。社内で取り合ってもらえないときの社外の窓口はパワハラの相談窓口一覧にあります。
よくある質問
Q. 会社主催の歓送迎会や忘年会も、断ってかまいませんか?
会社が主催する会でも、参加が任意とされているなら、都合や体調を理由に断ることはできます。参加が業務として義務づけられているかどうかがはっきりしないときは、「業務としての参加でしょうか」と上司に確かめておくと、後で扱いを整理しやすくなります。
Q. 飲み会の席で上司から暴言を受けました。勤務時間外でも会社に相談できますか?
厚生労働省は、勤務時間外の懇親の場でも実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に当たり、該当するか微妙な場合も会社は広く相談に対応する必要があるとしています。日時、その場にいた人、言われた言葉をそのまま記録して、社内の相談窓口に相談できます。
Q. お酌や席順を指定されるのが苦痛です。
厚生労働省のパンフレットは、酒席で上司の側に座席を指定したりお酌等を強要したりすることを、性別役割分担意識に基づく言動の例に挙げ、セクハラの原因や背景になりうるとしています。それ自体がすぐにセクハラに当たるわけではありませんが、会社が見直しを求められる言動として相談できます。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(「職場」の解説、パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文を収録)(厚生労働省)
- ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(問24)(厚生労働省)
- 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。