法的手段の前に / 早見表

労働審判の費用:申立ての手数料と弁護士費用の確かめ方

この記事のもくじ
  1. 申立手数料の早見表:求める金額ごとの額
  2. 郵便料と、訴訟に移ったときの追納
  3. 弁護士費用は見積書で項目ごとに確かめる
  4. 費用の負担を軽くする制度と、別の手段

労働審判にかかる費用は、裁判所に納める申立手数料と郵便料、弁護士に依頼する場合の弁護士費用の2つに分かれます。申立手数料は求める金額で決まり、例えば会社に300万円を求めるなら10,000円です(筆者の計算。裁判所の手数料額早見表と照合済み)。郵便料は裁判所ごとに違い、弁護士費用は事務所ごとの報酬基準で決まるため、申立先の裁判所と依頼先の見積書で確かめます。

申立手数料の早見表:求める金額ごとの額

労働審判の申立手数料は、民事訴訟費用等に関する法律の別表第一で、求める事項の価額(多くは請求する金額)に応じて決まります。

  • 100万円までの部分:10万円ごとに500円
  • 100万円を超え500万円までの部分:20万円ごとに500円
  • 500万円を超え1,000万円までの部分:50万円ごとに1,000円
  • 1,000万円を超える部分:100万円ごとに1,200円(10億円まで)
早見表:労働審判の申立手数料(求める金額ごと)
求める金額 申立手数料 計算
60万円 3,000円 6×500円
100万円 5,000円 10×500円
160万円 6,500円 5,000円+3×500円
200万円 7,500円 5,000円+5×500円
300万円 10,000円 5,000円+10×500円
500万円 15,000円 5,000円+20×500円
(筆者の計算。裁判所の「手数料額早見表」の民事調停・労働審判の欄と照合済み)

労働者としての地位の確認のように、お金の請求ではない申立ての価額は算定できないものとして160万円とみなされます(同法4条6項・7項)。この場合の手数料は6,500円です。正確な額は、申し立てる前に裁判所の早見表で金額の欄を確かめてください。

郵便料と、訴訟に移ったときの追納

郵便料は手数料と別に必要です。 裁判所の労働審判の案内では、郵便料は保管金として納めることができ、郵便切手での納付もできるとされています。額は申立先の地方裁判所ごとに決まっているので、裁判所のサイトか窓口で確かめます。2026年の民事裁判のIT化で、通常の訴えの手数料には郵便費用が含まれるようになりましたが、労働審判はこの定額化の対象ではなく、郵便料は別のままです。

異議が出て訴訟に移ると、差額を納めます。 労働審判に2週間以内の異議が出ると、申立ての時に訴えがあったものとみなされます(労働審判法22条)。裁判所の早見表の注記では、2026年5月21日以後に申し立てた労働審判が訴訟に移ったときは、訴えの書面申立ての手数料額から、労働審判で納めた額を引いた額を追納します。

求める金額 労働審判で納めた額 訴え(書面申立て)の額 追納する差額
100万円 5,000円 12,500円 7,500円
300万円 10,000円 22,500円 12,500円
500万円 15,000円 32,500円 17,500円

(筆者の計算。訴えの額は「価額に応じた額+書面申立ての定額2,500円」で、被告が1人の場合)

訴訟まで進む可能性を考えると、最初から手数料の総額を見込んでおけます。訴訟の流れと期間はパワハラ裁判の流れで確かめられます。

弁護士費用は見積書で項目ごとに確かめる

労働審判では、代理人になれるのは原則として弁護士です(労働審判法4条)。自分で申し立てることもできますが、第1回期日から事実関係を説明する場になるため、裁判所は必要に応じて弁護士への依頼が望ましいと案内しています。

弁護士費用には公的な統一料金がなく、事務所ごとの報酬基準で決まります。金額の比較ではなく、次の項目がそろった見積書をもらい、項目ごとに比べるのが確かめ方です。

項目 確かめること
相談料 初回の相談料の有無、時間の区切り、オンライン相談の扱い
着手金 労働審判で受ける場合の額、訴訟に移ったときに追加があるか
報酬金 解決したときの計算方法(得られた金額の何割か、定額か)、調停で解決した場合も同じか
実費 申立手数料・郵便料・交通費・書類の取得費用を誰が立て替えるか
日当 期日に出頭するごとにかかるか、遠方の裁判所の場合の扱い
支払い方法 分割の可否、着手金を払う時期

依頼する前に、委任契約書の内容と、途中で依頼をやめたときの費用の扱いも確かめてください。費用の項目ごとの説明はパワハラの弁護士費用の内訳で詳しく扱っています。

費用の負担を軽くする制度と、別の手段

法テラスの立替え。 法テラス(日本司法支援センター)は、収入などの要件を満たす人に、無料の法律相談と弁護士費用の立替え(審査あり、原則分割で返済)を行っています。要件と使い方は法テラスでパワハラを相談するにはにまとめています。電話のサポートダイヤルでは、トラブルに応じた制度や窓口を無料で案内しており、原則として匿名で使えます。

弁護士費用特約。 自動車保険や火災保険などに付いている弁護士費用特約が、労働トラブルに使えるかは約款によります。確かめ方は弁護士費用特約はパワハラに使える?にまとめました。

費用のかからない労働局の手続き。 都道府県労働局の援助(助言・指導)、紛争調整委員会の調停とあっせんは、厚生労働省の案内でいずれも無料とされています。会社に措置や是正を求めたい、まず話し合いの場を持ちたい場合は、労働審判の前に検討できます。違いは労働局の調停とあっせんの違いで比べてください。

申立ての前に、次の順で費用の見通しを立てておくと、途中で迷いにくくなります。

  1. 求める金額と内訳を決め、早見表で申立手数料を確かめる
  2. 申立先の地方裁判所に郵便料の額と納め方を確かめる
  3. 弁護士に相談し、労働審判と訴訟それぞれの見積書をもらう
  4. 法テラスの要件や弁護士費用特約が使えるかを確かめる
  5. 訴訟に移った場合の追納額も合わせて、総額の見込みを出す

手続き全体の流れは労働審判の流れで確かめられます。

よくある質問

Q. 労働審判の印紙代はいくらですか?

求める金額によって決まります。民事訴訟費用等に関する法律の別表第一により、100万円までは10万円ごとに500円で、例えば100万円を求めるなら5,000円、300万円なら10,000円です(筆者の計算。裁判所の手数料額早見表と照合済み)。郵便料は別に必要で、額は申立先の裁判所で確かめます。

Q. 労働審判の弁護士費用を法テラスに立て替えてもらえますか?

法テラスは、収入や資産の要件を満たし、審査を通った人について、弁護士費用の立替えを行っています。立て替えてもらった費用は原則として分割で返します。まずサポートダイヤルか無料法律相談で、要件に当てはまるかを確かめるのが入口です。

Q. 労働審判から訴訟に移ったら、手数料を払い直すのですか?

払い直しではなく差額を納めます。裁判所の早見表の注記では、2026年5月21日以後に申し立てた労働審判が異議などで訴訟に移った場合、訴えの書面申立ての手数料額から労働審判で納めた手数料額を引いた額を追納します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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