精神保健福祉センターとは?心の不調を相談できる都道府県の公的窓口
この記事のもくじ
精神保健福祉センターは、都道府県と政令指定都市に置かれている、こころの健康についての公的な相談機関です。こころの不調そのものの相談のほか、「どこを受診すればよいか」「精神科医療について知りたい」といった相談も受けています。国立精神・神経医療研究センターの情報サイトによると、センターは各都道府県・政令指定都市に1か所ずつ(東京都は3か所)あり、電話や面接で相談でき、面接は事前の予約が必要です。
精神保健福祉センターとは:都道府県と政令指定都市が置く心の公的窓口
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)第6条にもとづく機関です。同条は、都道府県が精神保健の向上と精神障害者の福祉の増進を図るための機関としてセンターを置くこと、センターが行う業務として次のようなものを定めています。
- 精神保健と精神障害者の福祉に関する知識の普及と調査研究
- 精神保健と精神障害者の福祉に関する相談と援助のうち、複雑または困難なもの
- 精神医療審査会の事務
- 精神障害者保健福祉手帳の申請の決定や、自立支援医療などの支給認定に関する専門的な事務
政令指定都市では、法第51条の12の大都市の特例により、都道府県の事務の一部を市が担います。こうして、都道府県と政令指定都市にそれぞれセンターが置かれています。名前は「こころの健康センター」などと呼ばれている場合もあるので、住んでいる地域の名前で探すと見つけやすくなります。全国の一覧は、全国精神保健福祉センター長会のホームページに掲載されていて、地図から各センターの住所・電話番号・ホームページをたどれます。
精神障害の有無や程度にかかわらず相談と援助を行うことも、法第46条に書かれています。「病気と診断されていないと相談できない」場所ではありません。
相談できること・できないこと
センターで扱う相談の範囲を、こころの情報サイトの説明から整理します。
| できること | センターの役割ではないこと |
|---|---|
| こころの健康についての相談(眠れない、気分が落ち込むなど) | 病名の診断や薬の処方(医療機関の役割) |
| 精神科医療についての相談(どこを受診するか、受診の仕方) | 職場の言動がパワハラに当たるかの判断 |
| 社会復帰についての相談 | 会社への指導や働きかけ、交渉 |
| アルコール・薬物依存症の家族の相談、ひきこもりなど思春期・青年期の相談、認知症高齢者の相談 | 労災や傷病手当金などの申請手続きの代行 |
センターには、規模によって違いますが、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士などの専門職がいます。デイケアや家族会の運営などの事業を行うセンターもあり、事業の中身はセンターごとに違います。
パワハラの被害で眠れなくなった、出勤前に体調を崩すようになった、という相談は、センターで受け止めてもらえる範囲です。一方で、職場で起きた出来事への対応(会社に事実確認を求める、労働局のあっせんや調停を使うなど)は、労働の窓口の役割です。こころの相談と労働の相談を一つの窓口で済ませようとせず、心身のことはセンター、出来事のことは労働の窓口と分けて使うと、それぞれから具体的な助言を得やすくなります。労働の窓口はパワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。
保健所・保健センターとの違いと使い分け
身近な公的窓口には、精神保健福祉センターのほかに保健所と市町村の保健センターがあります。保健所は地域保健法第6条で、精神保健に関する事項を含む地域保健の業務を行う機関とされています。精神保健福祉法第47条は、都道府県・保健所を設置する市・特別区が、精神保健福祉相談員などに相談に応じさせ、医療が必要な人には状態に応じた適切な医療施設を紹介しなければならないと定めています。市町村も、精神保健の相談に応じるよう努めることとされています。
| 窓口 | 置かれている所 | 相談の特徴(こころの情報サイトの説明から) |
|---|---|---|
| 精神保健福祉センター | 都道府県・政令指定都市 | 精神保健福祉全般の相談。複雑・困難な相談も扱う。面接は事前予約 |
| 保健所 | 都道府県・保健所を置く市など | こころの健康、保健・医療・福祉の相談、未治療の人の受診相談など。保健師・医師・精神保健福祉士などが対応。家庭訪問の場合もある |
| 市町村の保健センター | 市町村 | 精神保健を含む身近な健康の相談。障害福祉サービスの申請の相談、保健師の訪問など |
使い分けの目安は、まず身近な保健所・保健センター、より専門的な相談や地域に窓口が見つからないときはセンターです。こころの情報サイトも、どこに相談してよいか分からないときに保健所や保健センター、精神保健福祉センターなどの公的機関を利用するよう案内しています。どの窓口から入っても、必要に応じて他の窓口や医療機関につないでもらえます。法第47条第6項は、市町村・センター・保健所が相互に、また福祉事務所などと連携を図るよう努めることを定めています。
相談の流れと話す準備:受診先を探したいときの使い方
センターや保健所は、受診するかどうか迷っている段階でも使えます。受診先が分からない、受診してよいか戸惑うという段階でも、保健所・保健センターや精神保健福祉センターは相談を受けています(こころの情報サイトの案内)。
相談の流れの一例は次のとおりです。
- 地域のセンター(または保健所)のホームページで、相談の案内を開く。 電話相談の時間帯、面接の予約方法、費用を確かめます。
- 電話で、相談したいことを短く伝える。 面接を希望するなら、その場で予約を取ります。
- 話す内容をメモにまとめて、面接に行く。 下の項目が目安です。
- 助言を受けて、次の行き先を決める。 受診先の候補、家族の関わり方、利用できる制度など。
文例(電話で最初に伝えること):「職場での人間関係のことで、2か月ほど夜に眠れず、食欲も落ちています。病院に行ったほうがいいのか、どこを受診すればいいのか相談したいです。面接で相談する場合の予約の方法と費用を教えてください。」
面接に持っていくメモは、次の5つに絞ると話しやすくなります。
- いつから、どんな心身の変化があるか(睡眠・食欲・気分・体の症状)
- きっかけになった出来事(日付と、言われたこと・されたことを短く)
- 仕事や家での生活に出ている影響
- 受診したことがあるか、飲んでいる薬
- 相談で知りたいこと(受診先、休み方、家族への伝え方など)
受診するかどうかの判断の目安は心療内科に行くべきか迷うとき:受診の目安と行く前にできる相談で、記録のつけ方と一緒に整理しています。
夜間・休日や、すぐに話を聞いてほしいとき
センターや保健所の相談は、多くが平日の日中です。夜間や休日に急に具合が悪くなったときは、かかりつけの医療機関があればまず連絡します。かかりつけの医療機関がない、または利用できないときは、都道府県が設置している精神科救急情報センターなどに相談できると、こころの情報サイトは案内しています。
「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちがあるとき、今すぐ誰かに話を聞いてほしいときは、予約を待たずに電話やSNSの窓口を使ってください。電話・LINEそれぞれの窓口の番号や、何時まで受け付けているかは、仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間で確かめられます。名前を出さずに話したい人はパワハラを匿名で相談できる窓口:名前を出さずにできること・できないことも参考にしてください。話を聞いてもらうことを続けたい人には、有料のオンラインカウンセリングという選択肢もあり、選び方をオンラインカウンセリングの選び方と費用:資格・料金・相談方法を確かめるで整理しています。
よくある質問
Q. 精神保健福祉センターに相談するのにお金はかかりますか?
費用や受付時間、予約の方法はセンターごとに違います。センターは都道府県・政令指定都市が置く公的な機関なので、まず住んでいる地域のセンターのホームページを開き、相談の案内のページで費用と予約の要否を確かめてください。分からなければ、電話で「相談の費用と予約の方法を教えてください」と聞けば案内してもらえます。
Q. 精神保健福祉センターでパワハラかどうかを判断してもらえますか?
センターは、こころの健康や精神科医療についての相談を受ける機関で、職場の言動がパワハラに当たるかの判断や、会社への働きかけをする窓口ではありません。出来事そのものの相談は労働局の総合労働相談コーナーなどへ、心身の不調と受診の相談はセンターへ、と分けて使うと整理しやすくなります。
Q. 家族のことで相談してもいいですか?
精神保健福祉法第47条は、都道府県などが精神障害者やその家族などからの相談に応じることを定めています。こころの情報サイトも、センターでの相談の対象に家族からの相談を挙げています。家族が職場のことで不調になっているようなときも、家族の立場で相談できます。
出典・参考にした公的な情報
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第6条・第46条・第47条・第51条の12(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地域保健法 第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相談しあう・支えあう(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター)
- こころの病気について理解を深めよう(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。