オンラインカウンセリングの選び方と費用:資格・料金・相談方法を確かめる
この記事のもくじ
オンラインカウンセリングを選ぶときは、相談員の資格、料金の総額、話す方法(ビデオ・電話・文章)、規約に書かれた解約と緊急時の扱いの4つを、申し込む前に確かめるのが基本です。広告の「満足度」や口コミの数より、この4つのほうが、自分に合うかどうかを左右します。また、カウンセリングは病名の診断や治療ではなく、パワハラに当たるかの判断もしません。この記事では、事業者の案内のどこを読めばよいかを、順番に整理します。
オンラインカウンセリングの選び方:申し込む前に確かめる4つの点
事業者のサイトは、どこも「気軽に」「自宅から」と似た言葉が並び、違いが見えにくいものです。比べるときは、宣伝の言葉ではなく、次の4つの欄を探して読みます。
| 確かめる点 | 読む場所 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 相談員の資格 | カウンセラー紹介・プロフィール | 資格の正式な名前があるか。「心理カウンセラー」だけでなく、どの団体のどの資格か |
| 料金の総額 | 料金表・最終確認画面 | 1回の時間と金額、月額か都度か、キャンセル料、追加料金。続けた場合の月の合計 |
| 話す方法 | サービスの説明・よくある質問 | ビデオ・電話・チャット・文章のどれか。文章型は返事までの日数 |
| 解約と緊急時 | 利用規約・特定商取引法に基づく表記 | 解約の方法と時期、担当の変更、危険なときにどの窓口を案内しているか |
4つのうち、最初に見るのは資格と緊急時の扱いです。料金や話す方法は好みで選べますが、資格と緊急時の決まりは、つらい話を預ける相手として信頼できるかどうかに関わります。
比べる候補は2〜3つに絞り、同じ表に書き込んで並べると違いが見えます。費用をかけずに一度話してみたいなら、有料のサービスを比べる前に、こころの耳などの無料の相談を試す順番もあります。その使い方は無料のオンラインカウンセリングはある?公的な相談と有料の違いで扱っています。
資格の確かめ方:公認心理師・臨床心理士とその他の名前
カウンセラーのプロフィールには、さまざまな資格の名前が並びます。主な2つの違いを知っておくと、読み分けやすくなります。
| 資格 | 根拠 | 名乗れる人 | 主な決まり |
|---|---|---|---|
| 公認心理師 | 公認心理師法(国家資格) | 試験に合格し、登録を受けた人だけ | 秘密保持の義務(第41条)。主治医がいるときはその指示を受ける(第42条2項) |
| 臨床心理士 | 日本臨床心理士資格認定協会が試験で認定 | 協会の試験に合格し、認定を受けた人 | 5年ごとの更新制 |
| その他の「心理カウンセラー」等 | 民間の団体・講座の認定などさまざま | 団体ごとに違う | 学ぶ内容や更新の有無は団体ごとに確かめる |
公認心理師は、名前そのものが法律で守られています。 公認心理師法第44条は、公認心理師でない人が「公認心理師」と名乗ることも、名前の中に「心理師」の文字を使うことも禁じており、違反には罰金の定めがあります(第49条)。また第41条は、正当な理由なく業務で知った秘密を漏らしてはならないとし、辞めた後も同じだとしています。違反した場合の罰則(第46条)もあります。
臨床心理士は、国家資格ではなく、日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。 協会の案内では、受験には協会が認可した指定大学院の修了などの基準があり、審査は一次試験(筆記)と二次試験(口述面接)で行われます。資格は5年ごとの更新が義務で、研修への参加などでポイントを取って更新します。
一方、「心理カウンセラー」「メンタルケア」などの名前は、法律で使える人が決まっているわけではありません。講座を受けて取れる民間の認定もあり、中身は団体によって大きく違います。プロフィールに書かれた資格の名前で調べ、どこの団体が、どんな学習と試験で認定しているかを確かめてください。
資格を確かめるために、申し込む前や初回に聞いてよいことの例です。
質問の例:「プロフィールにある資格は、どの団体の何という資格ですか。パワハラや職場の人間関係の相談を担当したことはありますか。」
資格は、相手を選ぶ材料の一つです。資格があっても相性が合わないことはあり、反対に、資格の名前だけで相手を選ぶ必要もありません。
料金の仕組み:1回ごと・月額・文章型で総額を出す
オンラインカウンセリングの料金は、大きく3つの形に分かれます。公的な相場の統計はないため、金額は各事業者の料金表で確かめます。
| 料金の形 | 仕組み | 向いている人 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 1回ごと(都度払い) | 予約した回だけ払う。時間は30分・50分などサービスごと | 月に1〜2回、話したいときに使いたい | 時間を延ばすと追加料金がかかるか。キャンセル料が何日前からかかるか |
| 月額制 | 月の定額で、決まった回数や期間だけ使える | 毎週など、決まった間隔で続けたい | 使わない月も料金がかかる。解約がいつの分から有効か |
| 文章型(メッセージ) | 一定の期間や往復の回数で料金が決まる | 話すより書くほうが整理しやすい | 1回の返事の文字数と、返事までの日数 |
比べるときは、1回の金額だけでなく、続けたときの1か月の合計を出すと、選び方がぶれません。例えば、仮に1回50分で6,000円のサービスを月2回使うなら、月の合計は12,000円になります(筆者の計算。金額は例で、実際の料金ではありません)。同じ条件で、月額制のサービスが月2回までなら、その月額と比べます。
もう一つ見落としやすいのが、申込みの直前に出る最終確認画面です。インターネットで申し込む形は特定商取引法の通信販売に当たることが多く、消費者庁の解説によると、事業者は最終確認画面に、分量、価格、支払いの時期と方法、提供の時期、撤回や解除に関する事項などを表示することになっています。自動で更新される月額制かどうか、解約はいつまでに何で伝えるかは、この画面と規約で確かめてから申し込みます。画面の表示で誤解して申し込んだ場合に取り消せる決まりもあるため、表示はスクリーンショットで残しておくと安心です。
「初回無料」「無料体験」があるサービスでは、無料なのはどこまでか(1回だけか、時間が短いか)と、そのあと自動で有料に切り替わるかを読みます。料金や解約で困ったときは、消費者ホットライン188で消費生活センターに相談できます。
相談方法の比べ方:ビデオ・電話・チャット・文章
同じオンラインでも、話す方法で向き不向きがはっきり分かれます。パワハラの経験を話すときは、思い出すだけで体が固くなる人もいるため、負担の少ない形から選びます。
| 方法 | よいところ | 負担になりやすいところ | 合う場面 |
|---|---|---|---|
| ビデオ | 表情が見え、対面に近い | 顔を見せることに抵抗がある人には重い。部屋の様子が映る | 対面に近い形で、じっくり話したい |
| 電話(音声だけ) | 顔を見せずに済む。移動中の車内などでも使える | 声を出せる場所が要る | 顔を出さずに話したい |
| チャット(その場で文字) | 声を出さずに済む。言葉を選ぶ時間がある | 打つのに疲れる。長い話は時間内に収まりにくい | 同居の家族がいて声を出しにくい |
| 文章(メッセージの往復) | 時間をかけて書ける。読み返せる | 返事まで日数がかかる。すぐの安心にはつながりにくい | 経緯を整理して書き出したい |
家で話すときは、話す場所と時間を先に決めておきます。会社の貸与パソコンや社内のネットワークは使わず、自分の端末で受けてください。会社の端末は通信やアクセスの記録が会社に残ることがあり、相談の内容を知られたくない場合には向きません。
文章型を選ぶ人は、出来事をあらかじめメモにしておくと、1回のやり取りを有効に使えます。日付と出来事、そのときの気持ちを分けて書く方法は、パワハラの記録ノートの付け方:事実の欄と気持ちの欄を分けるが参考になります。
申し込む前と初回に確かめること:守秘・主治医・緊急時
料金と方法が決まったら、最後に規約とプロフィールで次の点を確かめます。初回の冒頭で聞いてもかまいません。
- 守秘の範囲:話した内容を誰に伝える場合があるか(命の危険があるときなど、例外の書き方)
- 記録の扱い:やり取りの記録やビデオの録画を、事業者がどこまで保存するか
- 主治医がいる場合:通院中であることを伝えたとき、主治医との連携をどう考えているか
- 担当の変更:合わないときに替えられるか、費用がかかるか
- 緊急時の案内:死にたい気持ちが強いときに、どの窓口や医療機関を案内しているか
- 広告の表示:比較サイトやSNSで知った場合、それが広告(PR)かどうか
主治医のことは特に大切です。公認心理師法第42条2項は、支援を受ける人に主治医がいるとき、公認心理師はその指示を受けなければならないとしています。通院中なら、主治医にもカウンセリングを始めることを伝えておくと、治療とカウンセリングがかみ合います。
広告の見方にも注意が要ります。景品表示法は、2023年10月から、広告であることが分からない形の表示(いわゆるステルスマーケティング)を不当表示として規制しています。比較サイトや口コミは、PRと書かれているか、誰が運営しているかを見たうえで、参考の一つにとどめます。当サイトも、記事の中で広告を掲載しています。
初回の冒頭で伝える例:「職場で上司からの叱責が続き、気持ちを整理したくて申し込みました。いま心療内科に通院中です。話した内容が外に伝わるのはどんな場合か、最初に教えてください。」
ここまでを確かめて、続けて同じ相手と話したいと感じたなら、有料のオンラインカウンセリングは選択肢の一つになります。上の4つの点(資格・料金の総額・話す方法・解約と緊急時)を、候補ごとに並べて選んでください。何を話せばよいか、どんな変化が期待できるかはカウンセリングの効果は?パワハラの相談で期待できること・できないことで扱っています。
オンラインカウンセリングが合わない人と、先に使う窓口
次のようなときは、カウンセリングを探すより先に、別の窓口や医療につながってください。
- 死にたい気持ちがある、消えてしまいたいと感じる。 予約を待たずに、電話やSNSの窓口を使います。いまつながる窓口は、仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間の一覧から選べます。
- 眠れない、食べられない、朝に吐き気がする状態が続いている。 カウンセリングでは診断も薬の処方もできません。受診するか迷う人は心療内科に行くべきか迷うとき:受診の目安と行く前にできる相談で目安を確かめてください。
- 休職のための診断書がほしい。 診断書を出すのは診察した医師です。受診の準備はパワハラで心療内科を受診するとき:初診で伝えることと準備にあります。
- パワハラに当たるか知りたい、会社に対応してほしい。 カウンセリングの役割ではありません。こころの耳も、ハラスメントに当たるかの判断や法律の相談は受けないとしています。無料・予約不要の総合労働相談コーナーが入口です。
勤め先が外部の相談サービスを契約しているなら、本人の負担なしで使えることがあります。会社に何が伝わるかの確かめ方は会社のEAPカウンセリングは使っていい?守秘と会社に伝わる範囲で扱っています。地域の公的な窓口で話を聞いてほしい人は、精神保健福祉センターとは?心の不調を相談できる都道府県の公的窓口も選べます。
上の窓口を先に使ったうえで、続けて話せる相手がほしいと感じたときに、有料のオンラインカウンセリングを検討する順番になります。
よくある質問
Q. 資格を持っていないカウンセラーに相談するのはやめたほうがいいですか?
相談を受けること自体は資格がなくてもできる仕事で、資格がないから話を聞いてもらえないわけではありません。ただ、公認心理師には法律で秘密を守る義務があり、臨床心理士には5年ごとの更新があるなど、資格には学んだ内容と守るべき決まりの裏付けがあります。パワハラのように重い出来事を話すなら、資格の名前と、その資格で何を学んだかを確かめてから選ぶと安心です。
Q. 相性が合わなかったら、途中で担当を替えられますか?
替えられるかどうか、替えたときに料金がかかるかは、サービスごとの規約で決まっています。申し込む前に「担当の変更」「解約」の欄を読み、書かれていなければ問い合わせで聞いておきます。月額制なら、解約がいつの分から有効になるかも合わせて確かめてください。
Q. 家族と同居していて、家で話すのが不安です。
声を出さずに使える方法として、チャットや文章でやり取りする形のサービスがあります。ビデオや電話を選ぶ場合も、イヤホンを使う、車の中や個室のある場所を使うなど、話す場所を先に決めておくと落ち着いて話せます。予約の時間帯を家族が外出している時間に合わせるのも一つの方法です。
出典・参考にした公的な情報
- 公認心理師法 第2条・第41条・第42条・第44条・第46条・第49条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 臨床心理士の活動と自殺対策(臨床心理士の資格の概要。2012年時点の資料。受験基準・更新の要件は日本臨床心理士資格認定協会の案内で2026-10-23に照合)(厚生労働省掲載)
- 臨床心理士とは(資格の概要・受験と更新)(公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会)
- 特定商取引法ガイド 通信販売(広告の表示・最終確認画面・誤認による取消し)(消費者庁)
- ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制(消費者庁)
- 不当景品類及び不当表示防止法 第5条・第7条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- こころの耳 電話相談(相談できないこと)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。