状況別の対処 / 悩み整理

先輩からのパワハラ・いじめ:指導係が厳しすぎるときの整理

この記事のもくじ
  1. 指導と嫌がらせを分ける物差し:指針の例で比べる
  2. 先輩が「優越的な関係」に当たる場面
  3. 指導の中身と自分の対応を対で記録する
  4. 上司への相談と、指導係の変更を頼む文例

指導係の先輩からのきつい当たりがパワハラかどうかは、指摘の目的が仕事か人格か、やり方が相当か、どれくらい繰り返されているかで分かれます。厚生労働省のパワハラ指針は、先輩のような同僚でも、業務に必要な知識や経験を持ち、その協力がないと仕事が進まない相手からの言動を「優越的な関係」の例に挙げています。指導と嫌がらせを分けて記録し、上司に相談して指導係を変えてもらうよう頼むことも、取れる手の一つです。

指導と嫌がらせを分ける物差し:指針の例で比べる

パワハラ指針は、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導はパワーハラスメント(パワハラ)に当たらないとしています。そのうえで、当たると考えられる例と当たらないと考えられる例を並べています。指導係とのやりとりに近いものを抜き出すと、次のとおりです。

場面 当たると考えられる例(指針) 当たらないと考えられる例(指針)
叱り方 業務に関する必要以上に長時間の厳しい叱責を繰り返す/他の労働者の面前で大声での威圧的な叱責を繰り返す 遅刻など社会的ルールを欠き、再三注意しても改善されない人に一定程度強く注意する
言葉 人格を否定するような言動 重大な問題行動をした人に一定程度強く注意する
任せる仕事 新卒採用者に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの目標を課し、達成できないと厳しく叱責する 育成のために現状より少し高いレベルの業務を任せる
仕事を与えない 気にいらない労働者に嫌がらせのために仕事を与えない 能力に応じて一定程度業務の内容や量を軽減する

指針は、判断にあたって言動の目的、受け手の側の問題行動の有無や程度、言動の態様・頻度・継続性などを総合的に考えるとしています。自分にミスが続いていたかどうかも材料の一つですが、ミスがあっても、注意のやり方が相当かどうかは別に見られるという点が大切です。例は限定列挙ではないので、表にない言動でも、3要素に照らして相談できます。指導との境目をもっと詳しく知りたいときはパワハラと指導の違いを見てください。

自分で整理するときは、次の問いに答えてみます。

  • 指摘の中身は「作業のどこが違うか」か、「お前は使えない」のような人格への言葉か
  • 質問すれば答えてくれるか、「前に言った」「自分で考えて」で終わるか
  • 同じ時期の他の新人にも同じ接し方か、自分にだけか
  • 人前で大声を出す、長時間立たせて叱るなど、やり方そのものが強いか
  • 一度きりか、何週間も続いているか

先輩が「優越的な関係」に当たる場面

先輩は職務上の上司ではありません。それでも指導係を任されている先輩は、仕事の手順を教えるかどうか、ミスを上司にどう報告するかを左右できる立場にあります。指針が挙げる「業務上必要な知識や豊富な経験を有し、その協力を得なければ業務の円滑な遂行が困難」という例に近い関係です。

たとえば「先輩に教わらないと伝票の処理ができない」「先輩の確認がないと現場に出られない」という状況なら、記録にそのことを書いておくと、関係の説明がしやすくなります。複数の先輩が同じ態度をとる場合は、集団による行為として整理する道もあります。同僚との関係全般の考え方は前の記事の同僚からのパワハラへの対処で扱いました。

指導の中身と自分の対応を対で記録する

指導係とのトラブルでは、後で「指導していただけだ」と言われることが多くなります。そのため、先輩の言葉だけでなく、そのとき自分が何をしていたか、指示の中身は何だったかを対で残すことが役に立ちます。

記録表:指導係とのやりとり(1行1件)
日時・場所 自分がしていた作業 先輩の指示・言葉(そのまま) 教え方の様子 自分の対応 周りにいた人
例:10/14 10:20 事務所 発注書の作成(2回目) 「何回言わせるの。だから使えないって言われるんだよ」 皆の前で大声、どこが違うかの説明なし 謝って、誤りの箇所を質問した 〇〇さん、△△さん
例:10/15 17:40 倉庫 棚卸し 「明日までに全部一人でやって」 手順書の場所を聞いたが答えなし 上司に作業量を相談 なし

「教え方の様子」の欄に、質問への答えがあったかを書いておくと、教育をしないまま責めているのかどうかが伝わります。仕事の指示書やチャットの文面も一緒に保存します。指導と記録の関係はパワハラと指導の境目を示す記録で詳しく扱っています。

上司への相談と、指導係の変更を頼む文例

出社前に動悸がするほど体に出ているときは、相談の前にパワハラ上司が怖い・出社できないとき:休む連絡の文例と相談する順番を先に読み、休むことを選んでかまいません。

記録が2週間ほどたまったら、上司に相談します。最初から「パワハラです」と言う必要はありません。仕事を覚えるうえで困っていることとして伝え、会社にしてほしいことを添えます。

文例(上司への相談):「業務を覚えるうえでご相談があります。〇〇さんに質問すると『前に言った』で終わることが多く、手順が分からないまま作業してミスが重なっています。人前で強い言葉で叱られることも続いていて、記録を付けています。教わり方について相談させてください。」

文例(指導係の変更を頼むメール):「先日ご相談した件で、お願いがあります。今の進め方では業務の手順を確認しにくく、ミスが減らない状態です。可能であれば、指導の担当を別の方に代えていただくか、手順書をもとに〇〇課長に確認いただく形にしていただけないでしょうか。記録は面談の際にお見せできます。」

パワハラ指針は、事実が確認できた場合に会社がとる被害者への配慮の例として、関係改善の援助や、引き離すための配置転換を挙げています。これは例であり、会社が何をするかは事案ごとに決まりますが、「担当を代えてほしい」「確認の窓口を増やしてほしい」と具体的に頼むのは無理なお願いではありません。上司が動かないときは、社内のハラスメント相談窓口や人事に移ります。進め方はパワハラを人事に相談する方法にあります。

保育の現場で園長や先輩から当たられている場合は、職場特有の事情を踏まえた保育士のパワハラも参考になります。年次の長い先輩社員から無視や嫌味を受けているときは、次に読むお局のパワハラ・嫌がらせへの対処が近い内容です。

よくある質問

Q. 新人なのだから、厳しくされても我慢するべきでしょうか?

指針は、育成のために少し高いレベルの仕事を任せることはパワハラに当たらない例とする一方、必要な教育をしないまま到底こなせない目標を課して厳しく叱ることは当たる例に挙げています。新人かどうかではなく、教え方の中身と程度で分かれます。我慢を続ける前に、記録を付けて上司に相談してかまいません。

Q. 指導係を変えてほしいと頼むと、評価が下がりませんか?

「先輩が嫌だ」ではなく「業務を覚えるうえで支障が出ている」という形で頼めば、業務上の相談として扱われやすくなります。会社は、ハラスメントの相談をしたことを理由に不利益な扱いをしてはならないとされています(労働施策総合推進法第31条第2項)。頼んだ日と相手、返事の内容は記録に残しておきます。

Q. 先輩が怖くて、職場に行くと体がこわばります。

出社前に動悸がする、眠れないといった変化が続くなら、記録や相談より先に休むことや受診を考えてよい段階です。休む連絡の仕方と相談の順番は、上司が怖い場合の記事にまとめています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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