ハラスメントの種類 / 手順

職場で性暴力を受けたら:#8891・#8103など24時間の相談先

この記事のもくじ
  1. いま使える相談先:#8891・#8103・110の使い分け
  2. 職場への申し出は後でよい:先にしておきたい3つのこと
  3. 刑法の不同意わいせつ・不同意性交等と、職場での関係
  4. 会社に申し出るときに使える制度
  5. 周りの人に話すとき・話されたとき

いま危険が続いている、けがをしているときは110番へ。 性暴力の被害の相談は、#8891(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター。通話料無料で最寄りのセンターにつながる)と、#8103(警察の性犯罪被害相談電話。24時間)にかけられます。職場で起きたことでも、会社への報告や申し出は後でかまいません。先に自分の安全と体のこと、相談できる人を確保してください。

いま使える相談先:#8891・#8103・110の使い分け

どこにかけても「間違い」にはなりません。迷ったら#8891に電話し、その場で話せることだけ話せば足ります。番号の詳しい使い方(ひかり電話からの番号、受付時間の例外、チャットの相談)は職場で暴力・脅しを受けたときの警察への相談にまとめています。

早見表:職場の性暴力で最初に使う相談先
状況 相談先 できること
いま危険が続いている・けがをした 110番 緊急の通報
性暴力を受けた(時期を問わず) #8891 ワンストップ支援センター 最寄りのセンターにつながり、相談を受ける。産婦人科医療・カウンセリング・法律相談などの専門機関と連携している
警察に相談したい・被害届を考えたい #8103 性犯罪被害相談電話 都道府県警察の性犯罪の相談窓口につながる(24時間)
心がつらくて限界 心の相談窓口 気持ちを話す場所。番号は仕事がつらい・限界のときの相談先へ

各地のワンストップ支援センターは都道府県などが設置し、内閣府男女共同参画局が一覧を案内しています。24時間受付のセンターは一部で、平日の日中が中心のところもあり、受付時間外は夜間休日のコールセンターが受ける仕組みです。一部のIP電話からは#8891につながりません。そのときは都道府県のセンターに直接かけます(直接かける場合は、一部の自治体を除き通話料がかかります)。

警察への相談は、その場で被害届を出すと決めることではありません。#8103で話したあとに、どう進めるかを考えてかまいません。

話すときは、全部を順序立てて説明できなくてかまいません。「職場の人から性的な被害を受けた」「いつ頃」「いま安全か」の3つが言えれば、相談員が質問しながら整理してくれます。

職場への申し出は後でよい:先にしておきたい3つのこと

職場で起きた被害だと、「会社に言わなければ」「明日の出勤をどうするか」がまず頭に浮かびがちです。けれども、会社のハラスメント窓口は、警察や医療の代わりにはなりません。順番は次のように考えてください。

  1. 安全を確保する。 加害者と同じ場所にいなくて済むようにします。翌日以降の出勤がつらいときは、理由を詳しく言わずに休む連絡をして構いません。「体調不良のため本日休みます」で足ります。休む連絡の文例は体調不良で仕事を休む連絡の例文にあります。
  2. 体のことを相談する。 けがや体の心配があるとき、何をどう残しておけばよいか迷うときは、#8891に電話してその場で相談します。センターは産婦人科医療などの専門機関とつながっています。
  3. 信頼できる人を一人決める。 家族・友人・センターの相談員など、事情を話せる人を一人つくります。職場の同僚には、話す範囲を自分で決めてから話します。

記録は、落ち着いてからでかまいません。書けるときに、日時・場所・相手・されたこと・その前後のやり取り(メッセージや呼び出しの連絡)をメモに残し、スマホの画面は保存しておきます。思い出すのがつらいときは無理に書かず、相談員に話すことで代えてもよいのです。

刑法の不同意わいせつ・不同意性交等と、職場での関係

2023年7月13日に施行された刑法改正で、強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」(176条)、強制性交等罪は「不同意性交等罪」(177条)になりました。条文は、次のような行為や事由によって「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」にさせ、またはその状態に乗じて行う行為を処罰の対象にしています。

  • 暴行や脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと
  • 心身の障害を生じさせること、またはその障害があること
  • アルコールや薬物を摂取させること、またはその影響があること
  • 睡眠など意識がはっきりしない状態にさせること、またはその状態にあること
  • 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと
  • 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、驚かせること
  • 虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはその反応があること
  • 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること

最後の項目は、上司と部下、取引先と担当者のような職場の関係を考えるうえで大切な視点です。「断れば評価や仕事に響く」と感じて抵抗できなかった場合も、条文はこうした事情を挙げています。法務省のQ&Aによれば、公訴時効も5年延長されました。

ただし、ある出来事がこの罪に当たるか、逮捕や起訴になるかは、警察・検察が事実を調べて判断することで、この記事で決めることはできません。「セクハラで逮捕されるのか」と気になる人も、まず#8103で経緯を話し、警察の見立てを聞くのが近道です。刑事と民事の手続きの違いはパワハラで被害届・告訴を考えるときで整理しています。

会社に申し出るときに使える制度

落ち着いて、会社にも対応を求めたいと考えたときに使える仕組みです。

均等法のセクハラの措置義務。 会社は、職場の性的な言動で働く人の就業環境が害されないよう、相談体制を整え、事実を確認し、被害者に配慮する措置をとる義務があります(男女雇用機会均等法11条)。セクハラ指針は「性的な行動」の例として、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ることを挙げています。行為者は上司・同僚に限らず、取引先の社員や顧客もなりうるとしています。会社への申し出方の手順はセクハラを受けたときの対応の5ステップで扱います。

会社に求められる配慮の例。 指針は、事実が確認できた場合の被害者への配慮として、行為者との引き離しのための配置転換、行為者の謝罪、メンタルヘルス不調への相談対応などを例に挙げています。会社が何をするかは事案ごとの判断ですが、「同じ部署で顔を合わせない形にしてほしい」と希望を伝えることはできます。

社外の相談先。 会社が動かない、言いにくいときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。窓口の一覧はパワハラの相談窓口一覧にあります。

休む・働けないとき。 被害の後に心身の不調が続き、働けない状態になったときは、受診したうえで、休職や労災の制度を考えることになります。セクハラによる精神障害の労災の扱いはセクハラ・マタハラでも労災になる?で説明しています。

周りの人に話すとき・話されたとき

被害を打ち明けるときは、「全部話す」必要はありません。「仕事で困ったことがあって、しばらく休みたい」「今は詳しく話せないけれど、助けがほしい」だけでも、周りが動くきっかけになります。

文例(家族や友人に):「職場の人から嫌なことをされた。今は詳しく話せないけれど、相談の電話をかけるとき、そばにいてほしい。」

同僚や友人から打ち明けられた側は、話を遮らず、責める言葉(「なぜその場で断らなかったの」など)を使わず、#8891のような窓口があることを伝えるだけで十分な支えになります。本人の了解なしに職場の人に話を広めないことも大切です。相談を受けたときの聞き方は友達や同僚からパワハラを相談されたらも参考になります。

よくある質問

Q. 何年も前に職場で受けた性暴力でも相談できますか?

できます。ワンストップ支援センター(#8891)は時期を問わず性暴力の被害の相談を受けています。2023年の刑法改正では性犯罪の公訴時効が5年延びました。昔の出来事が刑事手続きの対象になるかは個別の事情で変わるので、警察や弁護士に経緯を話して確かめてください。

Q. 男性や性的マイノリティの被害も相談できますか?

できます。ワンストップ支援センターは性犯罪・性暴力の被害者を対象にしており、性別での制限は示されていません。一部の都道府県には、男性やLGBTsの被害者のための専用の相談窓口もあります。職場のセクハラとしても、同性間のものや性的指向・ジェンダーアイデンティティにかかわらず対象です。

Q. 会社に知られずに相談できますか?

#8891や#8103は、会社を通さずに自分で直接かけられる社外の窓口です。会社に伝えるかどうか、いつ伝えるかは、相談しながら後で決めてかまいません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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