休職と復職 / 制度解説

休職から退職後も傷病手当金を受け取る条件:辞める前の確認

この記事のもくじ
  1. 退職後も受け取れる3つの条件
  2. 「継続して1年以上」の数え方
  3. 退職日に出勤しない理由:最終日の過ごし方
  4. 辞める前のチェックリスト
  5. 退職後の失業保険・健康保険との順番

休職中に退職しても、条件がそろえば傷病手当金は退職後も受け取れます。健康保険法104条と協会けんぽの記入の手引きによると、条件は3つです。①退職日まで継続して1年以上被保険者だったこと、②退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること、③退職後も同じ病気で仕事に就けない状態が続いていること。②は退職日の過ごし方で崩れることがあるので、退職日を決める前に確かめておくのが大切です。

退職後も受け取れる3つの条件

協会けんぽの記入の手引き(2026年9月版)は、資格を失った後も続けて受け取れる条件を、次の3つで説明しています。受け取れる期間は、在職中から通算して、被保険者として受けられるはずだった期間です(健康保険法104条)。

条件 手引きの説明の要点 辞める前に確かめること
① 継続して1年以上の被保険者期間 資格を失う日の前日(退職日)までに継続して1年以上。任意継続、共済組合、国民健康保険の期間は除く 入社日と、前の勤め先からの空白の有無
② 退職日に受けている・受けられる状態 退職日に傷病手当金の支給を受けているか、支給の条件(業務外の療養・仕事に就けない・待期の完成)を満たしている 待期が完成しているか、退職日が医師の「労務不能」の期間に入っているか
③ 退職後も同じ病気で仕事に就けない 退職後も引き続き同じ病気で、療養のため仕事に就けない状態 主治医の見立て。働ける状態に戻ると、継続給付はそこで終わる

②の「受けられる状態」に、協会けんぽは給与が出ていないことを含めていません。そのため、退職日まで有給休暇を消化していて給与が出ている場合でも、療養のため仕事に就けない状態で待期を終えていれば、協会けんぽの文言の上では②に当たると読めます。実際の扱いは個々の事情で変わりうるので、加入している協会けんぽの支部で確かめてください。

「継続して1年以上」の数え方

①の1年は、同じ会社に1年いたかではなく、健康保険の被保険者として途切れずに1年以上続いていたかで見ます。転職していても、前の勤め先の健康保険から空白なく続いていれば通算される扱いですが、資格の切れ目が1日でもあると数え方が変わります。転職を挟む人は、加入先で確かめておくと安心です。

早見表:「1年以上」に当たるかの例
状況 ①の判定の考え方
入社して1年3か月、ずっと同じ会社の健康保険 1年以上に当たる
入社して10か月で退職 1年に届かないので、退職後の継続給付は対象外(在職中の分は受け取れる)
前の会社を3月31日に退職、4月1日に今の会社へ入社、通算14か月 空白がなければ通算して数える扱い。加入先で確かめる
前の会社を辞めた後、1か月国民健康保険に入ってから入社 国民健康保険の期間は数えないので、今の会社での期間で判定
入社前に任意継続に入っていた 任意継続の期間は数えない

①に届かない場合でも、在職中に受け取れる分は受け取れます。退職日を何日か後ろにずらすと1年に届く、という場面もあるので、退職日を決める前に入社日を確かめておきます。

退職日に出勤しない理由:最終日の過ごし方

退職日の過ごし方で②が崩れる典型は、最終日の出勤です。協会けんぽの記入の手引きは、会社が出勤日を記入する欄について、所定労働時間の一部だけ働いた日も「出勤した日」に含めると説明しています。挨拶や引き継ぎのために退職日に少しだけ出社すると、その日は「仕事に就けなかった日」に当たらなくなり、退職日に「受けられる状態」ではなかったと扱われるおそれがあります。

  • 退職日は、医師が「労務不能」と認めた期間の中に入れる。
  • 挨拶・引き継ぎ・私物の引き取りは、退職日より前の日に出社せずに済ませるか、郵送でのやり取りに切り替える。
  • 貸与品の返却と、離職票などの書類の受け取りも、郵送でできるか人事に聞いておく。
  • 待期(連続3日)が退職日までに完成しているかを、日付で確かめる。

人事への連絡の例:「人事部 〇〇様 〇月〇日付で退職させていただきます。主治医から療養を続けるよう指示されているため、最終日を含めて出社は控えます。貸与品は〇日までに郵送で返却します。離職票などの書類は、自宅への郵送をお願いできますでしょうか。」

退職の伝え方や手続きの全体は、パワハラ休職中に退職する手順:伝え方・書類・傷病手当金の注意で扱っています。

辞める前のチェックリスト

  • 入社日から退職日まで、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
  • 待期(連続3日)が退職日より前に完成している
  • 退職日が、医師の労務不能の期間に入っている
  • 退職日に出社する予定がない(挨拶・引き継ぎは別の方法で)
  • 退職後の申請書には、会社の証明欄(3ページ)を空欄で出すと分かっている
  • 退職後の申請書の「仕事の内容」に、在職中の仕事を書くと分かっている
  • 老齢年金を受けられる年齢なら、退職後は年金との調整(健康保険法108条5項)がある

手引きは、資格を失った日以降の期間についての申請は、事業主記入用のページを空欄で出すよう案内しています。退職後は、本人と医師の記入で申請を続けることになります。申請書の欄ごとの書き方は休職中の傷病手当金の申請方法で確かめられます。

退職後の失業保険・健康保険との順番

**失業保険(基本手当)は、すぐ働ける人のための給付です。**ハローワークは、病気やけがですぐに就職できない人は基本手当の対象外としています。傷病手当金を受けて療養している間は、基本手当の受給期間の延長を申請しておくのが順番です。受給期間は原則として離職日の翌日から1年で、病気などで引き続き30日以上働けない日数を加えて延ばせます(延長できるのは最長3年、受給期間と合わせて最長4年。雇用保険法20条)。手続きはすぐ働けないときの失業保険:受給期間延長の手続きと期限で扱います。

**退職後の健康保険は、継続給付とは別に選びます。**傷病手当金の継続給付は、健康保険法104条により在職中と「同一の保険者」から受けるもので、退職後に任意継続・国民健康保険・家族の扶養のどれを選んでも続きます。一方、協会けんぽは、任意継続の期間中に新たに発生した病気やけがには傷病手当金は出ないと説明しています。どれを選ぶかの比べ方は退職後の健康保険の選び方:任意継続・国民健康保険・家族の扶養を、手当金の金額と期間の基本は休職中の傷病手当金:受け取る条件・金額の計算・期間を参照してください。

よくある質問

Q. 在職中に一度も申請していなくても、退職後に申請できますか?

協会けんぽの説明では、退職日に傷病手当金を「受けている」だけでなく「受けられる状態」であれば、退職後も支給の対象になります。在職中に申請書を出していたかどうかではなく、退職日までに待期を終え、仕事に就けない状態だったかが問われます。在職中の分と退職後の分を、時効(仕事に就けなかった日ごとに翌日から2年)の範囲でまとめて申請することもできます。

Q. 退職後に体調が戻って働き始め、また悪くなったら再び受け取れますか?

退職後の継続給付は、退職後も同じ病気で仕事に就けない状態が続いていることが条件です。協会けんぽは、いったん仕事に就ける状態になった後に再び就けなくなっても、継続給付は支給されないと説明しています。働けるようになったかどうかの見立ては、主治医とよく話してから動いてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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