相談先と窓口 / 制度解説

外国人労働者のパワハラ相談先:外国語で相談できる公的窓口

この記事のもくじ
  1. 外国人でも、職場のパワハラ防止の対象になる
  2. 外国語で相談できる公的窓口:言語と曜日の早見表
  3. 技能実習生の相談先:母国語相談と、法律にもとづく申告
  4. 相談の前に用意すること・同僚が手伝うとき

外国人労働者がパワハラを外国語で相談できる公的な窓口は、厚生労働省の外国人労働者相談ダイヤル(13言語、平日の日中、通話料がかかる)、言語によっては土日にも使える労働条件相談ほっとラインの外国語番号(フリーダイヤル)、法務省の外国語人権相談ダイヤル(10言語)、そして技能実習生向けの外国人技能実習機構(OTIT)の母国語相談(8言語、無料)です。国籍や在留資格に関係なく、会社に雇われて働く人は職場のパワハラ防止の対象です。この記事では、言語と曜日ごとの窓口、技能実習生の相談と申告、相談の準備を順に整理します。

外国人でも、職場のパワハラ防止の対象になる

会社がパワハラ防止の措置を講じる対象の「労働者」について、厚生労働省のパワハラ指針は、正社員だけでなくパートタイム労働者・契約社員などを含む、事業主が雇用するすべての労働者としています。国籍で分けてはいません。

厚生労働省のパンフレットは、指針の「精神的な攻撃」の例である「人格を否定するような言動」について、外国人であること、特定の国・地域の出身であること、特定の国・地域にルーツがあることなどについての侮蔑的な言動も含まれると説明しています。母国をばかにされる、日本語の発音をまねして笑われる、「国に帰れ」と言われるといった出来事は、パワハラの3要素に照らして相談できる内容です。パワハラの定義と6類型はパワハラとは:3要素と6類型で確かめられます。

日本語での相談の入口は、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナーです。厚生労働省は、総合労働相談コーナーが外国人労働者の相談も受け、多言語で対応すると案内しています。無料・予約不要で、パワハラ・いじめ・解雇・賃金など労働問題全般を扱います。

外国語で相談できる公的窓口:言語と曜日の早見表

外国語で相談できる窓口は、運営する役所と目的ごとに分かれています。番号と曜日は2026年10月時点の公式ページの表記で、一時的に変わることがあります。かける前に、表の出典ページで確かめてください。

早見表:外国語で使える公的な相談窓口
窓口 言語 受付 費用 相談できること
外国人労働者向け相談ダイヤル(厚生労働省) 英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・ベトナム語・ネパール語(月〜金)、韓国語(火〜金)、ミャンマー語(火水金)、タイ語・インドネシア語(火木)、クメール語(水)、モンゴル語(金) 10:00〜15:00(12:00〜13:00を除く)。12月29日〜1月3日は休み 通話料がかかる(0570) 労働条件、職場のトラブル。外国人労働者相談コーナーにつながる
労働条件相談ほっとライン 外国語(厚生労働省の委託事業) 英語・中国語(毎日)、ポルトガル語(月〜土)、スペイン語(木金土)、タガログ語(火水土)、ベトナム語(火水金土日)、ミャンマー語・ネパール語(水日)、韓国語・タイ語・インドネシア語(木日)、クメール語・モンゴル語(月土) 曜日は言語ごと(時間は公式ページ) フリーダイヤル(0120) 長時間労働・賃金不払いなど労働基準の問題。ハラスメントは専門の窓口を案内される
外国語人権相談ダイヤル(法務省)0570-090-911 英語・中国語・韓国語・フィリピノ語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・スペイン語・インドネシア語・タイ語 平日9:00〜17:00(年末年始を除く) ナビダイヤル(0570)。通話料は公式ページで確かめる 差別・嫌がらせなど人権の問題。通訳を通して法務局につながる
外国人技能実習機構(OTIT)母国語相談 ベトナム語・中国語・インドネシア語・フィリピン語・英語・タイ語・カンボジア語・ミャンマー語 言語ごとに曜日が違う(次の見出しの表) 電話料金0円 技能実習生の生活と実習の相談、技能実習法違反の申告

外国人労働者相談ダイヤルの番号は、言語ごとに 0570-001-701(英語)から 0570-001-718(モンゴル語)まで分かれていて、厚生労働省「確かめよう労働条件」の外国人向けページに一覧があります。ほっとラインの外国語番号も言語ごとに違い、英語は 0120-531-401 です。

選び方の目安は次のとおりです。

  • 平日の昼に、パワハラを含む職場のトラブルを相談したい → 外国人労働者相談ダイヤル。各地の労働局・労働基準監督署にある外国人労働者相談コーナーで、外国語で相談を受けるところもあります(言語・曜日・時間は所在地ごと)。
  • 土日しか電話できない、無料でかけたい → ほっとラインの外国語番号。パワハラの相談そのものは専門の窓口を案内されるので、最初に「パワハラの相談をしたい。どこに相談すればよいか」と聞くと話が早く進みます。ほっとラインの範囲は労働条件相談ほっとラインの使い方で詳しく扱っています。
  • 差別的な言葉、国籍を理由にした嫌がらせを、人権の問題として相談したい → 法務省の外国語人権相談ダイヤル。全国の法務局・地方法務局の本局でも同じ言語で面談できます。日本語での人権相談はみんなの人権110番を見てください。

殴られた、脅された、身の危険を感じるという場合は、言語に関係なく、まず職場で暴力・脅しを受けたときの110番と#9110を確かめてください。

技能実習生の相談先:母国語相談と、法律にもとづく申告

技能実習生は、外国人技能実習機構(OTIT)に電話・メール・手紙で相談できます。母国語相談の言語と曜日は次のとおりです(OTITの「母国語相談の実施日時」による。電話料金は0円で、受付時間外は留守番電話で受け付けています)。

言語 曜日と時間 電話番号
ベトナム語 月〜金 11:00〜19:00、土 9:00〜17:00 0120-250-168
中国語 月・水・金 11:00〜19:00 0120-250-169
インドネシア語 火・木 11:00〜19:00、土 9:00〜17:00 0120-250-192
フィリピン語 火・木 11:00〜19:00、土 9:00〜17:00 0120-250-197
英語 火・木 11:00〜19:00、土 9:00〜17:00 0120-250-147
タイ語 木 11:00〜19:00、日 9:00〜17:00 0120-250-198
カンボジア語 木 11:00〜19:00 0120-250-366
ミャンマー語 火 11:00〜19:00 0120-250-302

メールでの相談は、OTITのサイトの言語別フォームから送れます。フォームが使えない期間があるときは、上の表の電話を使ってください。地方事務所・支所で相談するときは通訳人が用意されます。OTITのサイトには「技能実習SOS・緊急相談専用窓口」の案内もあり、8言語のページがあります。

技能実習法には、技能実習生を守るための禁止規定と、違反を申し出る仕組みがあります。

  • 暴行・脅迫などによる実習の強制の禁止(46条):監理団体などが、暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段で、本人の意思に反して実習を強制することを禁じています。
  • 旅券・在留カードの保管の禁止、私生活の不当な制限の禁止(48条)
  • 申告(49条):実習先の会社や監理団体に法律違反の事実があるとき、技能実習生は出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣に申告できます。OTITに連絡すれば、母国語で申告できると案内されています。申告したことを理由に、実習の中止その他の不利益な取扱いをすることは禁じられています(49条2項)。

なお、技能実習制度は育成就労制度へ移る準備が進んでおり、OTITのサイトでは育成就労制度の施行日前の申請に関する案内が出ています。いま技能実習生として働いている人は、上の母国語相談をそのまま使えます。制度が切り替わった後の窓口は、OTITのサイトで最新の案内を見てください。

相談の前に用意すること・同僚が手伝うとき

外国語の窓口でも、話を早く進めるための準備は日本語の相談と同じです。

  • 在留カード(在留資格と在留期間をすぐ答えられるように)
  • 雇用契約書や労働条件の書類。母国語の版があれば両方
  • 会社名、働いている場所、上司や相手の名前
  • いつ、どこで、誰に、何を言われたか・されたかのメモ。母国語で書いてかまいません
  • メッセージや写真など、残っているもの
  • 会社や監理団体に相談したことがあれば、その日と返事

窓口で最初に伝える日本語の例:「わたしは〇〇語で相談したいです。会社の上司から、毎日大きな声で怒られます。『国に帰れ』と言われました。どこに相談すればいいですか。」

日本語が得意な同僚や友人が手伝う場合は、本人が話したいことを、本人の言葉のまま窓口に伝える役に徹します。相談するかどうか、会社に何を求めるかは本人が決めることです。会社の相談窓口に行くときの準備は社内のハラスメント相談窓口の使い方が、民間の支援団体を使うときの確かめ方はパワハラをNPO・民間団体に相談するとき:公的窓口との違いと確かめる点が参考になります。持っていく記録のまとめ方はパワハラ相談の準備チェックリストで整理しています。

よくある質問

Q. 日本語が少ししか話せません。日本語の窓口に電話してもよいですか?

かまいません。総合労働相談コーナーは外国人労働者の相談も受け、多言語で対応すると案内しています。ただ、窓口によって使える言語や曜日が違うので、細かい話をするなら外国人労働者相談ダイヤルや、技能実習生なら母国語相談を使うほうが伝わりやすくなります。日本語で電話する場合は、最初に「〇〇語で相談できる窓口を教えてください」と頼む方法もあります。

Q. 技能実習生です。会社にパスポートや在留カードを預けるよう言われました。

技能実習法48条1項は、実習を行わせる会社や監理団体、その役員・職員が、技能実習生の旅券や在留カードを保管することを禁じています。2項は、外出など私生活の自由を不当に制限することも禁じています。外国人技能実習機構の母国語相談で、自分の言葉で状況を伝えてください。法律違反の事実は、49条にもとづいて申告することもできます。

Q. 外国人の同僚がパワハラを受けています。代わりに相談してもよいですか?

窓口の情報を調べて渡す、電話の場に付き添う、日本語の言い回しを手伝うといった手助けは、本人の負担を大きく減らします。ただし、何を誰に相談するかは本人が決めることなので、同僚の名前や出来事を本人の了解なく窓口や会社に伝えるのは避けてください。会社の窓口に一緒に行く場合も、本人が話したい範囲を先に確かめておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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