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上司の不当な人事評価はパワハラ?低く付けられたときの対応

この記事のもくじ
  1. 低い評価はパワハラ?指針の3要素に当てはめて整理する
  2. 評価の根拠を確かめる:何を、誰に、どう聞くか
  3. 評価面談の記録の取り方と、理由を尋ねるメール文例
  4. 社内での異議申し立てと、会社に求められている対応
  5. 社外の相談先:労働局と弁護士

上司に低い人事評価を付けられたとき、最初に整理するのは、「点数が低いこと」と「評価の過程で起きた言動」を分けて見ることです。 評価が低いこと自体は人事上の判断で、それだけでパワハラになるとは言えません。一方で、評価の理由づけとして暴言を浴びせる、必要な情報や仕事を取り上げて成果が出せない状況をつくる、といった言動があれば、そちらが厚生労働省のパワハラ指針の例に当たるかを見ます。この記事では、評価の根拠の確かめ方、面談の記録の取り方、社内の異議申し立て、外部の相談先の順に説明します。個別の評価が不当かどうかの判断は、会社の制度と事実関係によるため、ここでは確かめる材料の整理までにとどめます。

低い評価はパワハラ?指針の3要素に当てはめて整理する

パワハラ指針は、職場のパワハラを次の3つをすべて満たすものと定義しています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動(上司と部下の関係など)
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

評価に関する悩みでは、2番目の「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」が焦点になります。評価は上司の権限の範囲ですが、指針の6類型にある次のような例が、評価の前後で起きていないかを見ます。

評価のそばで起きがちなこと 指針の6類型で近い項目
「お前の評価は最低だ」と人格を否定する言葉で伝える 精神的な攻撃(人格を否定するような言動)
評価を理由に仕事を与えない、会議から外す 過小な要求(仕事を与えないこと)、人間関係からの切り離し
達成不可能な目標を課し、未達を評価の理由にする 過大な要求(到底対応できない目標を課し叱責する)
評価の話し合いで、他の人の面前で大声で叱責する 精神的な攻撃(面前での威圧的な叱責の繰り返し)

指針の例は限定列挙ではなく、例に当てはまらないからパワハラではない、とも言えません。判断は、言動の目的、頻度、経緯、本人の問題行動の有無を総合して行われます。一方で、指針の「該当しない例」には、再三注意しても改善されない労働者に一定程度強く注意することなどが挙がっており、業績や勤務態度の実態が評価に結びつくこと自体は、通常の人事の範囲に入ります。3要素の全体はパワハラとは?3要素と6類型・指導との境目を指針の言葉で整理で確かめられます。

評価の根拠を確かめる:何を、誰に、どう聞くか

不当かどうかを考える前に、評価がどのように決まる仕組みかを把握します。次の項目を、人事部門か上司の上司に、書面で尋ねます。

確かめる項目 見る資料 聞き方の例
評価の制度 人事評価規程、賃金規程、就業規則 「評価の基準と評価期間、評価者を教えてください」
自分の目標 期初の目標設定シート 「期初に合意した目標と、期末の達成度の記録を見せてください」
評価の内訳 評価シート、評点表 「項目ごとの評点と、そう評価した理由を教えてください」
賃金への反映 賃金規程の昇給・賞与の規定 「今回の評価は昇給・賞与にどう反映されますか」
異議の手続き 苦情処理制度、再評価の規定 「評価に疑問がある場合の申し出先と期限を教えてください」
評価者の調整 二次評価、評価会議の有無 「上司以外の人も評価に関わりますか」

制度が定められていない会社もあります。その場合は、期初の目標、日々の業務の記録、依頼された仕事の成果物など、自分の仕事の実績を示す資料を並べておくことが基本になります。評価が「上司の印象だけで決まっているように見える」ときも、同じ項目に実績の記録を並べると、どこにずれがあるかが具体的に見えます。

自分の側の実績は、次の形で一覧にします。上司の評価コメントと並べると、事実のずれが整理されます。

評価のコメント 実際の事実(日付つき) 根拠の資料
「期限を守れていない」 ○月○日の提出依頼に○月○日に提出済み 送信メールの控え
「報告が少ない」 週次の進捗報告を毎週金曜に提出 共有フォルダの履歴
「協調性がない」 (具体例の説明を求める) 面談の記録

評価面談の記録の取り方と、理由を尋ねるメール文例

評価面談は、内容を記録に残す機会です。面談の前に聞きたいことを3つに絞り、面談中はメモを取ります。録音をするかどうかは、会社の規則と状況に応じて決めてください(パワハラの録音の仕方:始めるタイミング・保存・聞き起こしの手順)。

面談では、次の聞き方が使えます。

「今回の評価の中で、特に評点が低かった項目はどれですか。」 「その評価は、いつの、どの仕事にもとづいていますか。具体的な例を教えてください。」 「次の期に評価を上げるには、何をどの水準まで達成すればよいですか。」

面談のあとは、聞いた内容を確認するメールを同日中に送ります。上司に直接送りにくいときは、人事や上司の上司を宛先にしてください。

件名:本日の評価面談の内容の確認 本文:「本日はお時間をいただきありがとうございました。面談でうかがった内容を確認のため記します。1. 今期の総合評価は○でした。2. 評点が低かった項目は○○で、その理由として○○のご説明がありました。3. 次期に求められる水準は○○とのことでした。認識に違いがあればご指摘ください。なお、評価の根拠となる具体的な事実についても、別途資料でご教示いただけますと幸いです。」

こうして理由づけを文字にしておくと、後で「説明が一貫しているか」「事実と合っているか」を見比べられます。上司の言動が強い言葉を含んでいた場合は、日付、場所、言葉をそのまま書いた記録を別にとってください。パワハラ記録のテンプレート:ノートやエクセルで使える項目の表が使えます。

社内での異議申し立てと、会社に求められている対応

評価に疑問があるときは、制度があれば、まず社内の手続きを使います。評価規程に「評価結果への苦情」や「再評価」の定めがある会社もあります。そうした手続きがない場合も、人事や上司の上司に、評価の見直しや第三者を交えた再度の面談を申し出ることはできます。社内の相談の仕方はパワハラを人事に相談する方法:面談で伝える順番と動かないときの次にまとめています。

評価の悩みがパワハラの相談を兼ねる場合は、会社の側にも義務があります。労働施策総合推進法31条は、事業主にパワハラ防止のための相談体制の整備や、相談があったときの適切な対応を求めています。指針は、該当するか微妙な場合も広く相談に対応することを求めています。また、相談したことを理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁じられています。相談後に評価が下がったと感じるなら、その順序(相談の日付と評価の日付)を記録に並べておきます。

評価が賃金や役職に直結して下がった場合は、論点が増えます。評価の結果として賃金制度が変わる場合は、本人の合意か就業規則の合理的な変更が要る(労働契約法8条〜10条)という見方になります。賃金の引き下げは一方的な減給はパワハラ?同意していない減給の考え方と相談先、降格はパワハラとしての降格:降格の理由を確かめる方法と相談先、評価をきっかけにした配置の変更は嫌がらせの転勤・異動を命じられたら:応じる前に確かめることが関係します。

社外の相談先:労働局と弁護士

社内で解決しない、または社内に相談しにくいときは、外部の窓口があります。

  • 総合労働相談コーナー(都道府県労働局など。無料・予約不要):賃金の引下げや、いじめ・嫌がらせを含む労働問題の相談を受け、制度を案内します。個別労働紛争解決制度では、必要に応じて助言・指導、あっせんにも進めます
  • 労働局の雇用環境・均等部(室):パワハラの相談と、会社への助言・指導、紛争調整委員会の調停(法37条)を扱います。パワハラの措置義務に関する紛争は、あっせんではなく調停で扱われる点に注意してください
  • 弁護士:評価の見直しや賃金の請求など、個別の判断が必要な場合。準備はパワハラを弁護士に相談する前の準備:持参する資料と聞くことリストにあります

窓口の番号と受付時間は変わることがあるため、パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表で確かめてから連絡してください。相談では、評価シートの写し、面談のメモ、確認メール、上司の言動の記録、評価前後の出来事を並べた時系列を持参すると、話が伝わりやすくなります。

低い評価を付けられたときに分けて考える2つの筋
筋 見るもの 主な相談先
評価の内容・賃金への反映 評価規程、評価シート、目標と実績の対照表 人事、総合労働相談コーナー、弁護士
評価の過程での上司の言動 暴言・無視・仕事の取り上げの記録 社内の相談窓口、雇用環境・均等部(室)

評価の低下に続いて出向を命じられた場合は、出向命令は拒否できる?在籍出向と転籍の違い、同意が要る場合も読んでください。

よくある質問

Q. 評価が低いだけで、パワハラとして扱ってもらえますか?

評価の点数が低いこと自体は、会社の人事上の判断であり、それだけではパワハラの3要素(優越的な関係・業務上必要かつ相当な範囲を超える・就業環境が害される)には当たりません。評価の理由づけに暴言や無視、仕事の取り上げなどが伴うとき、そちらの言動が指針の例に当たるかを整理して相談する形になります。

Q. 評価の内容や理由を教えてほしいと頼むと、立場が悪くなりませんか?

評価の理由を尋ねたこと自体が不利益な取扱いの対象になるかは、事案によります。ハラスメントの相談をしたことを理由とする不利益な取扱いは法律で禁じられています。穏やかな言葉で、書面かメールで尋ねておくと、尋ねた日付と回答の有無が残り、後で経緯を示しやすくなります。

Q. 評価が下がると給料やボーナスも下がります。先に何をするべきですか?

評価がどの賃金項目にどう反映されるかを、賃金規程や評価規程で確かめるのが先です。反映の仕組みが分かれば、「評価の根拠」と「賃金の根拠」を分けて尋ねられます。賃金が下がった場合の確認の手順は、減給の記事に整理しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラとしての降格:降格の理由を確かめる方法と相談先

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