職場のおばさんのモラハラ:年上の同僚から嫌味・無視を受けたときの伝え方
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職場のおばさん(年上の女性の同僚)から嫌味を言われる、挨拶を無視される、仕事の連絡を回してもらえない。相手が上司ではなくても、パワハラ(パワーハラスメント)の「優越的な関係」に当たる場合があります。当たらないときも、「いじめ・嫌がらせ」として総合労働相談コーナーに相談できます。記録の取り方と上司への伝え方の手順はお局のパワハラ・嫌がらせへの対処に任せ、この記事では、上司でない相手が優越的な関係に当たるかの見分け方と、当たらないときの道、窓口での伝え方を扱います。
なお、問題になるのは相手の年齢や性別ではなく、言動そのものです。「おばさん」は検索されることの多い入口の言葉で、相談の場では「○○さんの○○という言動」と、人と行為で伝えてください。
上司でない年上の同僚が「優越的な関係」になるか:4つの質問
パワハラかどうかは、厚生労働省のパワハラ指針の3要素(①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③就業環境が害されるもの)をすべて満たすかで見ます。①について、指針は上司以外の例も挙げています。
| 指針の例 | 職場での形の例(筆者による例示) |
|---|---|
| 同僚または部下で、業務上必要な知識や豊富な経験を持ち、その協力を得なければ業務の円滑な遂行が難しい人の言動 | 勤続の長いベテランが仕事の手順やシステムを一人で握っていて、その人に聞かなければ仕事が進まない |
| 同僚または部下からの集団による行為で、抵抗や拒絶が難しいもの | 年上の数人が一緒になって無視をしたり、休憩室で聞こえるように悪口を言ったりする |
自分の場合がどちらに近いかを、次の4つの質問で確かめてみてください。
- 知識や経験を一人で握っているか。 その人に聞かなければ、自分の仕事が止まるか。ほかに聞ける人がいるなら、①の例には近づきません。
- 何人でやっているか。 一人なのか、数人が同じ側に立っているのか。数人で無視や悪口をしているなら、集団による行為の例に近づきます。
- 相手と上司の関係はどうか。 上司が相手の言い分を優先する、相手に注意しない、といった事情があれば、抵抗や拒絶が難しい状況の材料になります。
- 断れない事情があるか。 契約の更新、評価、シフトなど、相手の機嫌を損ねると不利になる事情が自分にあるか。
| 質問 | 「はい」のとき近づく指針の例 |
|---|---|
| 知識・経験を一人で握っている | 協力がなければ業務が難しい同僚 |
| 数人が同じ側に立っている | 集団による行為で抵抗・拒絶が難しいもの |
| 上司が相手の言い分を優先する | 抵抗・拒絶が難しい状況の材料 |
| 断ると不利になる事情がある | 抵抗・拒絶が難しい状況の材料 |
どれかに「はい」があれば、その事実を日付つきで書いておくと、窓口が優越的な関係かを判断する材料になります。指針の「人間関係からの切り離し」の類型には、該当すると考えられる例として「一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること」が明記されています。上下関係のない相手との関係の考え方は同僚からのパワハラへの対処:上下関係がなくても相談できる場合でも扱っています。
優越的な関係に当たらないときの道
4つの質問にほとんど「いいえ」で、1対1の嫌味や無視にとどまる場合は、パワハラの3要素を満たさず、会社の措置義務の対象とは限りません。それでも、道は閉じていません。
- 会社の窓口へ。 会社の相談窓口は、パワハラに当たるか微妙な場合も広く相談に応じるよう、指針で求められています。「いじめ・嫌がらせ」として話してかまいません。
- 総合労働相談コーナーへ。 各都道府県労働局の総合労働相談コーナーでは、いじめ・嫌がらせが相談の対象になっています。話し合いでの解決が難しいときは、労働局長の助言・指導や、紛争調整委員会のあっせんに進む道があります。
- あっせんの性質を知っておく。 あっせんは、会社との間の労働紛争を話し合いで解決する手続です。同僚個人を相手にする手続ではなく、参加するかどうかは会社の側も選べます。
窓口の番号はパワハラの相談窓口一覧にまとめています。
上司のお気に入りで、相談しても動かないとき
相手が上司のお気に入りで、直属の上司に話しても取り合ってもらえない、という悩みはよくあります。このときは、上司の上司、人事、社内のハラスメント相談窓口に話を移して構いません。会社には相談に応じて事実を確かめる体制を整える義務があり、相談窓口は上司個人とは別に、会社が設けることになっているものです(労働施策総合推進法 第31条)。
社内のどこも動かなければ、総合労働相談コーナーに相談できます。上司に話すときも、感情ではなく、事実と業務への影響を伝えるのが基本です。
文例(上司へ):「ご相談があります。○月から、○○さんに挨拶をしても返事がなく、業務の連絡も私にだけ届かないことが続いています。日付の記録があります。このままだと△△の業務に支障が出るので、連絡の流れを見直していただくか、間に入っていただけないでしょうか。」
窓口で「おばさん」ではなく、行為で伝える言い換え例
窓口の担当者は、呼び名ではなく、いつ・誰が・何をしたかを手がかりに事実を確かめます。言い換えの例を2つ挙げます。
言い換え例1(嫌味):「○月○日の朝礼で、○○さんが私のミスを全員の前で『何度言えば分かるの』と言いました。同じ言い方が、この1か月で5回あります。」
言い換え例2(無視):「○○さんは、○月から私のあいさつに返事をせず、取引先からの伝言も私にだけ回していません。そのため○日の納品の確認が遅れました。」
どちらも、評価や推測(「意地悪だ」「嫌っている」)を入れず、日付・言葉・回数・業務への影響だけを書いています。日付ごとのメモの付け方はパワハラの記録の書き方を、無視の記録は無視のパワハラを証拠に残すにはを使ってください。
「訴えたい」と考えたときに知っておくこと
嫌がらせが続くと、「訴えたい」と考えることもあると思います。一般的な仕組みとしては、民法709条(不法行為)で加害者本人に、715条(使用者責任)で会社に、損害賠償を求めるという考え方があります。ただし、認められるかどうかや金額は事案ごとの事実と証拠しだいで、ここで見通しを示すことはできません。考え始めた段階で、記録を持って弁護士や法テラスに相談するのが確かな道です。持っていく資料はパワハラを弁護士に相談する前の準備にまとめています。
反対に、避けたいのは、相手の実名や言動をSNSに書き込んで告発することです。公然と事実を示して人の名誉を傷つけると、内容が本当でも名誉毀損罪(刑法230条)に問われるおそれがあり、自分が責任を問われる側に回りかねません。社内の窓口や社外の相談先を通す方が、結果として自分を守れます。モラハラという言葉と制度の関係を全体から知りたい場合は職場のモラハラとは?パワハラとの違いと受けたときの整理の仕方に戻って読んでください。
よくある質問
Q. 窓口で「おばさんにいじめられている」と言ってもよいですか?
言っても受け付けてもらえますが、担当者が事実を確かめるときは、人ではなく行為を手がかりにします。「○○さんが、○月○日の会議で、全員の前で○○と言った」のように、誰が・いつ・何をしたかに言い換えて伝えると、話が早く進みます。年齢や性別の呼び方は、書かなくて構いません。
Q. 「あなたの仕事が遅いから言っているだけ」と言われました。自分にも非があるなら我慢すべきですか?
指針は、本人の問題行動があった場合、その内容や程度と、注意の仕方との釣り合いが判断の重要な要素になるとしています。仕事の遅れを注意されること自体は指導の範囲に入りえますが、人格を否定する言葉や、無視・情報を回さないといった対応は別の問題です。遅れの事実と、受けた言動を分けて記録しておきましょう。
Q. 同じ部署の人に相談したら、本人に伝わってしまいそうで怖いです。
社内の相談窓口には、相談者のプライバシーを守る措置を講じ、それを周知することが会社の義務として求められています。相談の前に「この話を誰と共有するのか」「相手にいつ、どう伝えるのか」を窓口に確かめてから話すと、不安を減らせます。社外の総合労働相談コーナーは匿名でも相談できます。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点)(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 個別労働紛争解決制度(助言・指導・あっせん)(厚生労働省)
- 民法 第709条・第715条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第230条・第231条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。