パワハラ上司を思い出すと動悸がするとき:体の反応と受診の目安
この記事のもくじ
パワハラ上司の声や顔を思い出すだけで動悸がするなら、まず動悸が出た場面と強さを記録し、動悸が続く・強い・眠れないなどが重なるときは受診してください。動悸には、心臓や甲状腺など体の病気が原因のものもあるため、職場のせいだと自分で決めず、医師に確かめてもらうことが出発点です。そのうえで、職場では上司と顔を合わせる場面を一時的に減らす工夫ができます。
胸の痛みや息苦しさが強いとき、死にたい気持ちがあるときは、この記事より先に仕事がつらい・限界のときの相談先の24時間の電話窓口や医療につながってください。
上司を思い出すと動悸がするのは、どんな状態か
怖い思いをした相手の声を聞く、名前を見る、足音が近づく。こうした場面で胸がどきどきする、息が浅くなる、手に汗をかくといった反応が出るのは、強い緊張や恐怖を感じたときに多くの人に起こる体の反応です。気持ちの弱さの表れではありません。
ただし、同じ「動悸」でも原因はいくつもあります。体の病気による動悸を見落とさないためにも、次の2つを分けて考えます。
| 見分ける手がかり | 職場の場面と関係がありそう | 体の病気も確かめたい |
|---|---|---|
| 出るタイミング | 上司に会う前、名前を見たとき、出勤前 | 場面に関係なく、休日や寝ている間にも出る |
| 一緒に出る症状 | 緊張、手汗、胃の重さ | 胸の痛み、強い息切れ、めまいや気が遠くなる感じ |
| 治まり方 | その場を離れると落ち着いてくる | 安静にしていても続く |
右の列に当てはまるもの、特に胸の痛みや気を失いそうな感じがあるときは、記録より先に医療機関にかかってください。どちらの列か迷うときも、受診して医師に判断してもらってかまいません。
動悸の記録を付ける:場面・強さ・続いた時間
受診のときに「上司のことで動悸がする」とだけ伝えるより、いつ、どんな場面で、どのくらい続いたかを示せるほうが、医師は状態をつかみやすくなります。スマートフォンのメモでもよいので、次の項目を残します。
| 日時 | きっかけ | 強さ(0〜10) | 続いた時間 | 一緒に出た症状 | どうしたら落ち着いたか |
|---|---|---|---|---|---|
| 10/6 8:40 | 上司からのチャット通知を見た | 6 | 約10分 | 手の震え、吐き気 | トイレの個室で座っていた |
| 10/7 14:00 | 定例会議で上司の隣の席になった | 8 | 会議中ずっと | 息苦しさ | 会議後に外の空気を吸った |
| 10/12(休日)21:00 | 翌日の面談を考えた | 5 | 30分ほど | 寝つけない | 眠れたのは深夜1時ごろ |
強さは自分の感覚でかまいません。続けていくと、上司と直接関わる場面で強くなる、休日の夜に翌日を考えると出る、といった傾向が見えてきます。この記録は、受診の材料になるだけでなく、会社に配慮を求めるときにも、具体的な場面を示す資料として使えます。頭痛や胃腸など動悸以外のサインも出ている人は、前の記事のパワハラによる体調不良のチェックの表もあわせて付けておくと、全体像が伝わります。
受診を考える目安と受診先
次のどれかに当てはまるなら、受診を考える時期です。
- 動悸が出る日が週に何度もあり、それが何週間も続いている
- 動悸のせいで仕事が手につかない、会議に出られない
- 動悸や不安で眠れない日が続いている
- 出勤前や通勤中に、動悸や息苦しさで引き返したことがある
受診先は、動悸そのものを調べたいなら内科(循環器内科など)、上司のことを考えると不安や緊張が強くなる、眠れないなど心の症状も目立つなら心療内科や精神科が相談先です。どちらを先にするか迷うなら、かかりつけの内科で記録を見せて相談するのも一つの方法です。心療内科で初めて受診するときに伝える内容と準備は、次に読むパワハラで心療内科を受診するとき:初診で伝えることと準備に手順をまとめています。
会社で動悸が出たときの、その場のしのぎ方
職場で急に動悸が来たときは、まずその場から少し離れることを優先します。
- 「少し席を外します」と言って、トイレや休憩スペース、外の空気が吸える場所に移る
- 座れる場所で、吐く息を長めにすることを意識して、呼吸のペースを落とす
- 落ち着いたら、時刻ときっかけをメモに残す
その場を離れることは、逃げではなく体を守るための行動です。胸の痛みや強い息苦しさが治まらないときは、無理に席に戻らず、周りの人に伝えて医療機関にかかってください。
上司と顔を合わせる場面を減らす頼み方
動悸が繰り返し出るなら、上司と直接やり取りする場面そのものを、一時的にでも減らせないかを考えます。会社に頼める工夫の例を並べます。
| 困っている場面 | 頼める工夫の例 | 相談する相手 |
|---|---|---|
| 1対1の面談・叱責 | 人事や別の管理職に同席してもらう | 人事、上司の上司 |
| 口頭での指示 | 指示はメールやチャットでもらう | 上司の上司、人事 |
| 席が近い | 席の配置を変えてもらう | 総務、人事 |
| 担当業務で毎日関わる | 担当の見直しや異動を相談する | 人事、社内の相談窓口 |
会社には、労働施策総合推進法第31条にもとづき、パワハラの相談に応じて適切に対応するための体制を整える義務があります。厚生労働省のパワハラ指針は、事実が確認できた場合の被害者への配慮の例として、関係改善への援助や、引き離すための配置転換などを挙げています。どこまで応じてもらえるかは職場ごとに違いますが、動悸の記録や受診の事実を添えて具体的に頼むと、話が進みやすくなります。人事への伝え方はパワハラを人事に相談する方法、異動を希望するときの伝え方はパワハラで異動したいときで扱っています。産業医がいる職場なら、パワハラを産業医に相談するときも参考になります。
工夫をしても動悸が治まらない、上司のもとへ行くこと自体ができないときは、休むことを先にしてください。上司が怖くて出社できないときの連絡の仕方と相談の順番はパワハラ上司が怖い・出社できないときに、相手が先輩や指導係の場合は先輩からのパワハラ・いじめにまとめています。話を聞いてほしいときは、厚生労働省の「こころの耳」で働く人の心の不調を相談できます。番号と受付時間は仕事がつらい・限界のときの相談先で確かめてください。
よくある質問
Q. 上司の名前を見ただけで動悸がします。おかしいでしょうか?
声や顔だけでなく、メールの差出人の名前や着信の表示で体が反応する人もいます。反応した場面をそのまま記録しておけば、医師に状態を伝える大事な情報になります。続くようなら受診して相談してください。
Q. 動悸がつらいので、上司と二人きりの面談を断ってもいいですか?
面談そのものを断るより、「人事の方に同席してもらえないか」「まずはメールで要点をいただけないか」と形を変える頼み方のほうが通りやすいことがあります。受診して医師に相談している場合は、その旨を人事に伝えると配慮を求める理由が伝わりやすくなります。
Q. 動悸は会社を休む理由になりますか?
動悸や息苦しさで仕事が手につかないなら、体調不良として休む理由になります。休む連絡は体調不良と伝えれば足り、上司が理由であることまで説明する必要はありません。
出典・参考にした公的な情報
- 労働施策総合推進法 第31条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文を収録)(厚生労働省)
- こころの耳 電話相談(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。