電話のパワハラを録音・記録する方法:通話録音と着信履歴の残し方
この記事のもくじ
電話のパワーハラスメント(パワハラ)は、通話の録音・着信履歴の画面保存・通話直後のメモの3つで残します。録音できれば言葉そのものが残り、着信履歴は「いつ・何分話したか」を、メモは録音の聞きどころを示します。録音できなかった通話も、直後に要点を確認するメールを送れば、やり取りがあった事実を文字で残せます。この記事では、この3つを今日から始める順番で説明します。
電話の中で「殺す」「家に行くぞ」など、身の危険を感じる言葉があった場合は、記録より先に安全を考えてください。警察への相談の仕方は職場で暴力・脅しを受けたときの110番と#9110にまとめています。つらさが強いときは仕事がつらい・限界のときの相談先も使えます。
電話のパワハラは3つの記録を組み合わせて残す
電話は、対面と違って周りに聞いている人がいないことが多く、あとから「そんな電話はしていない」「普通に話しただけ」と言われやすい場面です。だからこそ、性質の違う記録を重ねておくことに意味があります。1つの記録だけに頼ると、その記録が消えたときに何も残りません。
| 記録 | 示せること | 残し方 | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 通話の録音 | 言われた言葉・声の大きさ・口調 | スマホの通話録音、スピーカー通話を別の機器で録る | 録り忘れ、端末の故障で消える |
| 着信履歴・通話時間 | 日時・回数・長さ・時間帯(深夜や休日) | 履歴の画面を撮る、通話明細を取り寄せる | 中身は分からない |
| 直後のメモと確認メール | 何を言われたか、自分がどう答えたか | ノートやメモアプリ、相手への確認メール | 録音ほど言葉が正確でない |
3つがそろうと、「○月○日22時14分から18分間の通話で、こう言われた(録音の3分10秒あたり)」と、日時・長さ・中身を一続きで示せます。証拠全体の集め方はパワハラの証拠集めの手順にまとめています。
通話を録音する方法:スマホの機能・アプリ・別の機器
通話の録音には、大きく分けて3つのやり方があります。どれを選ぶかは、使っているスマホと、電話がかかってくる端末(私物か社用か)で決まります。
- スマホに入っている通話録音の機能を使う。 Appleのユーザガイドによると、iPhoneは通話中の画面から「通話録音」を選んで始められ、録音されることが音声の通知で双方の通話者に知らされます。録音は「メモ」アプリの「通話録音」フォルダに自動で保存され、地域や言語によっては文字起こしも見られます(Appleは、文字起こしを信頼する前に精度を確かめるよう注意しています)。国や地域によっては1対1の通話だけが対象で、使えない地域もあるため、自分のiPhoneで使えるかは先にガイドで確かめます。Androidは機種やメーカーによって通話録音の有無や操作が違うので、取扱説明書かメーカーのサポートページで確かめます。
- 通話録音のアプリを入れる。 端末やOSの制限で、通話の相手側の声が録れないアプリもあります。本番の前に、家族や友人との通話で試し録りをして、相手の声が聞き取れるかを確かめておきます。
- スピーカー通話にして、別の機器で録る。 ICレコーダーや別のスマホをそばに置いて録る方法です。社用携帯や会社の固定電話にかかってくる場合でも使えます。機器の選び方はスマホとボイスレコーダーの比較、スマホの設定はスマホで録音する方法で詳しく扱っています。
どの方法でも、録音ファイルの名前を「日付_時刻_相手」の形に変えておくと、あとで探すときに迷いません。録音したファイルは、その日のうちにパソコンや外部の保存先へコピーしておきます。端末1台にしかない状態は、故障や紛失で一度に失うおそれがあります。
録音を相手に知らせるべきか、知らせずに録ってよいかは、多くの人が迷う点です。iPhoneの標準機能は相手に通知が流れる仕組みで、Appleも相手に確認するよう案内しているため、通知なしで録りたい場合は3の方法を選ぶことになります。知らせずに録ることの法的な整理と、録ったものの使い方の注意は無断で録音してもいいかを整理した記事を読んでから決めてください。
着信履歴と通話時間を残す手順
録音できなかった電話も、着信履歴は端末に残ります。ただし履歴は件数が増えると古いものから消えていくことがあるので、早めに画面で保存します。
- 電話アプリの履歴を開き、相手の名前か番号、日付、時刻が1画面に入る状態で画面を撮ります。
- 1件ずつ詳細を開き、通話の長さが表示される画面も撮ります。「3分」と「45分」では、同じ叱責でも意味が違って見えます。
- 不在着信も残します。休日や深夜に何度もかかってきた事実は、出なかった電話でも記録になります。
- 留守番電話にメッセージが残っていれば、音声ファイルとして保存できるか確かめ、できなければ再生しながら別の機器で録音します。
- 携帯電話会社の通話明細は、載る範囲(かけた電話だけか、受けた電話も出るか)や取り寄せ方が会社ごとに違います。契約している会社のサイトで確かめ、かかってきた電話は端末の履歴の画面を中心に残します。
着信の回数を数えるときは、1週間ごとに「平日夜20時以降○回、休日○回」と表にしておくと、繰り返しの様子が一目で分かります。項目の並べ方は記録の書き方と記入例も参考になります。
通話の直後に書くメモと、要点を送り返すメール
電話を切ったら、気持ちが落ち着く前でもよいので、まず5分だけメモを書きます。録音がある場合も、メモがあれば録音のどこを聞けばよいかが分かります。
メモの例:10月20日(火)21:47〜22:05、課長から私物の携帯へ着信。A社の見積もりの件。「お前のせいで全部台無しだ」「明日までに直せないなら来なくていい」と大声で言われた。自分は「明日の午前中に修正します」と答えた。録音あり(ファイル名1020_2147_課長、6分ごろから大声)。
書くのは、日時、かけてきた人、用件、言われた言葉、自分の返事、録音の有無です。言われた言葉を要約せずにそのまま書く方法は、暴言を逐語メモと録音で残す方法で詳しく説明しています。
録音できなかった通話では、要点を確認するメールを相手に送る方法もあります。目的は相手を責めることではなく、業務の確認として電話の中身を文字にすることです。感情的な言葉や「パワハラです」といった言い方は入れず、業務の内容だけを淡々と書きます。
文例:「本日21時47分ごろお電話いただいた件、確認のため要点をお送りします。A社の見積もりの修正を、明日10月21日の正午までに提出いたします。修正点は単価と納期の2点と理解しております。認識が違っていましたらご指摘ください。」
相手が返信しなくても、送ったメールは自分の送信済みフォルダに残ります。相手が内容を否定する返信をしてきた場合も、そのやり取り自体が記録になります。メールの保存の仕方はメールを証拠にする方法で扱っています。
録音や記録を扱うときに気をつけること
電話の録音は、怒鳴り声がそのまま残るぶん、誰かに聞かせたくなるものです。けれども、SNSや社内の掲示板で公開するのは避けます。本当に言われたことでも、公開のしかたによっては自分が責任を問われる側になりえます。条文と別の手段はパワハラの録音をSNSで公開していい?にまとめています。
録音を聞かせる相手は、会社のハラスメント相談窓口、都道府県労働局、弁護士など、事実を確かめて対応する立場の人に絞ります。どこに何を出すかは窓口ごとに違うので、パワハラの相談窓口一覧で窓口の役割を確かめてから持っていくと、話が早く進みます。
最後に、電話のパワハラを残すときの確認表です。
- 録音の方法を1つ決め、試し録りで相手の声が入るか確かめた
- 録音ファイルの名前を日付と時刻に変え、端末以外にもコピーした
- 着信履歴と通話時間の画面を、1件ずつ撮った
- 不在着信や休日・深夜の着信も数えて表にした
- 通話の直後に、言われた言葉と自分の返事をメモした
- 録音できなかった通話は、要点を確認するメールを送った
- 録音を公開せず、相談先にだけ渡すと決めた
よくある質問
Q. 電話を録音していることを、上司に伝えないといけませんか?
伝えるかどうかは、使う方法で変わります。iPhoneの標準の通話録音は、始めると音声の通知で相手にも知らされるため、知らせずに録ることはできません。Appleのユーザガイドも、録音して問題ないかを通話相手に確認するよう案内しています。相手に知らせずに録るなら、スピーカー通話にして別の機器で録る方法になります。どちらでも、録ったものを公開したり関係のない人に聞かせたりしないことが大切です。ばれたときの備えは、録音がばれたときの記事を読んでおきます。
Q. 録音を忘れて切ってしまった電話は、もう証拠になりませんか?
録音がなくても、着信履歴の画面、通話直後に書いたメモ、要点を確認するメールの3つがそろえば、いつ・どれくらいの長さで・何を言われたかを示す材料になります。次の電話から録音できるよう準備しつつ、今回の通話はその日のうちにメモに起こしてください。
Q. 社用携帯にかかってきた電話も、私物のスマホで録音してよいですか?
社用携帯の中に録音ファイルを残すと、会社の管理下の端末に記録が置かれることになります。スピーカーにして私物の録音機で録る方法もありますが、社用端末の使い方は就業規則や情報管理の規程で決められていることが多いので、先に規程を読んでおくと安心です。
出典・参考にした公的な情報
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。