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退職は自分で伝えるか退職代行を使うか:費用・手間・リスクの比較

この記事のもくじ
  1. 自分で伝える方法と退職代行の比較表
  2. 自分で伝える3つの方法の進め方
  3. 退職代行を使うときに分かれる点:運営形態と交渉の要否
  4. どちらが合うかを決める判断のチェックリスト
  5. 退職代行を使わない・いらないと決めたときの段取り

退職は、退職代行を使わなくても自分で伝えるだけで成立します。期間の定めのない雇用なら、退職の申入れが会社に届いてから2週間で雇用は終わり、会社の承諾は要件ではありません(民法第627条1項)。退職代行が役に立つのは、上司と連絡を取ること自体が心身の負担になる場合や、有給休暇・未払いの賃金など会社とのやり取りが必要になりそうな場合です。費用・手間・記録の残り方・できないことを並べて、自分に合うほうを選んでください。

自分で伝える方法と退職代行の比較表

まず全体を並べます。自分で伝える方法は3つ、退職代行は運営する主体で3つに分かれます。

比較表:退職の伝え方ごとの費用・手間・記録・できないこと
方法 費用の目安 手間 伝えた記録 できないこと・弱い点
対面・電話で伝える かからない 上司と話す必要がある 残りにくい(後でメールで追認する) 引き止めの場に長くいることになりやすい
メールで伝える かからない 文面を作るだけ 送信日時が残る 「読んでいない」と言われる余地がある
郵送(内容証明+配達証明) 郵便料金に加算1,310円〜(1枚の場合、筆者の計算) 郵便局での手続き 内容と届いた日が証明される 会社からの電話や連絡は止まらない
退職代行(民間企業の運営) 事業者の料金 申込みと情報の提供 業者とのやり取りが残る 会社との条件のやり取り(交渉)は対応の範囲外
退職代行(労働組合の運営) 事業者の料金と組合費の確認が要る 組合への加入手続き 同上 訴訟・労働審判の代理はできない
退職代行(弁護士・弁護士法人) 事務所の料金 委任の手続き 同上 着手金・成功報酬など追加費用の条件を先に確かめる必要がある

郵送の費用は、日本郵便の「国内の料金表(オプションサービス)」(2026年10月23日確認)で、内容証明の加算料金が480円(2枚目以降は1枚ごとに290円増)、内容証明を付けるのに必要な一般書留の加算が480円、配達証明の加算が350円です。1枚の退職届なら、基本の郵便料金にこの3つの合計1,310円が加わります(筆者の計算)。

退職代行の料金は、事業者ごと・雇用形態ごとに違い、変更もあるため、この表には金額を載せていません。運営形態ごとの平均は退職代行の金額の目安:運営形態別の平均と料金に含まれるもので確かめてください。

自分で伝える3つの方法の進め方

自分で伝えると決めたら、伝えた日と内容が後から確かめられる形にすることが一番の要点です。民法第97条1項で、意思表示は相手に届いた時に効力が生じるため、届いた日が2週間を数える起点になります。

対面・電話で伝える場合は、話したその日のうちに、上司と人事にメールで内容を送っておきます。

文例:「本日〇時ごろ、〇〇課長に口頭でお伝えしたとおり、2026年〇月〇日をもって退職いたします。退職届は〇日に提出いたします。有給休暇の残日数と最終出社日についてご相談させてください。」

メールで伝える場合は、宛先に直属の上司と人事の両方を入れ、件名を「退職のご連絡(氏名)」のように一目で分かるものにします。送信済みのメールは、会社のアカウントだけでなく、自分の手元にも控えを残しておきます。文例は退職をメールで伝えてもいい?上司・人事への退職メール例文を参考にしてください。

郵送で伝える場合は、退職届を内容証明郵便と配達証明で送ると、どんな文書をいつ送り、いつ届いたかを証明できます。郵便法第48条は、内容証明の取扱いでは文書の内容を日本郵便が証明すると定めています。会社が受け取りを拒んでも、民法第97条2項は、正当な理由なく到達を妨げたときは通常届くはずだった時に届いたものとみなすとしています。送り方の手順は退職届を郵送で出す方法:受け取ってもらえないときの内容証明にまとめました。

退職代行を使うときに分かれる点:運営形態と交渉の要否

退職代行を選ぶなら、最初に確かめるのは誰が運営しているかです。運営形態によって、会社に対してできることの範囲が違います。

  • 弁護士・弁護士法人:弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で代理・和解その他の法律事務を扱うことを業とすることを禁じています。弁護士はこの法律事務を扱える立場にあり、退職日・有給休暇・未払い賃金などのやり取りも依頼の対象になり得ます(契約の範囲は事務所ごとに確かめます)。
  • 労働組合:労働組合法第6条で、組合の代表者や委任を受けた者は、組合員のために使用者と交渉する権限を持ちます。利用者は組合員として加入するのが前提で、会社は正当な理由なく団体交渉を拒めません(同法第7条2号)。ただし会社が要求に応じる義務まではなく、裁判手続きの代理もできません。
  • 民間企業:本人の退職の意思を伝える役割(いわゆる使者)にとどまります。条件のやり取りが必要になると、対応できる範囲を超えます。

「弁護士監修」「顧問弁護士あり」という表示は、運営主体が弁護士かどうかとは別です。申し込む前に、運営者の名称と所在地、担当する弁護士の氏名と所属弁護士会、または組合の規約を確かめます。違いの詳細は退職代行の弁護士・労働組合・民間企業の違い:交渉できる範囲を比較で扱っています。

どちらが合うかを決める判断のチェックリスト

次の項目に当てはまる数を数えてみてください。上の段に多く当てはまるほど自分で伝えても進めやすく、下の段に多いほど第三者に任せる意味が大きくなります。

自分で伝えても進めやすい

  • 上司か人事のどちらかとは、落ち着いて話せる
  • 有給休暇の消化や最終出社日について、話し合いの余地がありそうだ
  • 期間の定めのない雇用(正社員など)で、退職日を2週間以上先にできる
  • メールや郵送で記録を残しながら進める余力がある

第三者に任せる意味が大きい

  • 上司の顔や声を思い出すだけで、動悸・吐き気・涙が出る
  • 以前に退職を申し出て、強く引き止められたり怒鳴られたりした
  • 有給休暇を拒まれそう、残業代の未払いがあるなど、条件のやり取りが要りそうだ
  • 契約社員などで契約期間の途中に辞めたい

下の段の3つ目・4つ目に当てはまる人は、交渉や法的な判断が関わるので、運営形態を弁護士か労働組合に絞って考えます。パワーハラスメント(パワハラ)の慰謝料まで考えるなら、選び方が変わります。その点はパワハラで退職代行を使うとき:慰謝料も考えるなら選び方が変わるを読んでください。

体調がすでに限界に近い人は、退職の方法より先に受診や休養を考えてください。パワハラで休職したいと思ったらに、休職を考える目安と相談の順番があります。

退職代行を使わない・いらないと決めたときの段取り

自分で伝えると決めた人は、次の順に進めると、話がこじれにくくなります。

  1. 就業規則で退職の申出時期と有給休暇の残りを確かめる(労働基準法第39条により、会社ができるのは年次有給休暇の時季の変更で、取らせないことではありません)
  2. 退職日を日付で決める(2週間より先なら、有給消化と引き継ぎの日程を組みやすい)
  3. 退職届を作る(「退職願」ではなく、辞める意思を通知する「退職届」にする)
  4. 口頭で伝え、同じ日にメールでも送る
  5. 引き止めにあったら、議論せず退職日をくり返す
  6. 受け取ってもらえないときは、内容証明で郵送する

5番の引き止めは、多くの人がつまずくところです。情に訴える、後任がいないと言う、損害賠償を口にするなど、型ごとの返し方は次の記事の退職の引き止めの断り方:パワハラ気味の強い引き止めへの対応で文例つきで扱っています。自分で進めてみて動かなくなったら、その時点で退職代行や外部の窓口に切り替えてもかまいません。それまでの記録は、どちらに進む場合もそのまま役に立ちます。

よくある質問

Q. 自分で退職を伝えたあとで、途中から退職代行に切り替えることはできますか?

できます。申し込むときに、いつ・誰に・どの方法で退職を伝えたか、会社から何と言われたかを時系列で渡すと、やり取りを引き継いでもらいやすくなります。すでに退職届が会社に届いているなら、届いた日がそのまま2週間の起点になるので、その記録も一緒に渡してください。

Q. 退職代行を使わずに辞めた場合、会社から嫌がらせを受けやすくなりますか?

方法によって決まるものではなく、会社や上司によります。自分で伝える場合も、やり取りをメールや書面に寄せ、日付と相手の言葉を記録しておくと、後で相談するときの材料になります。退職を伝えた後の嫌がらせへの備えは、パワハラ退職の仕返しが怖いときの記事で扱っています。

Q. 退職代行の費用はどのくらいですか?

運営形態や対応範囲によって料金の幅があり、同じ事業者でも雇用形態で金額が違うことがあります。比べるときは、基本料金に何が含まれるか、追加費用がかかる場面、返金の条件を公式の料金表で確かめてください。運営形態ごとの目安は、退職代行の金額の目安の記事にまとめています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

退職は2週間で成立する?民法627条・628条と即日退職の考え方

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退職届を郵送で出す方法:受け取ってもらえないときの内容証明

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