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弁護士がパワハラに介入したら何が起こる?依頼後の流れと職場での立場

この記事のもくじ
  1. 依頼してから決着までの一般的な流れ
  2. 通知が届いたあと、職場で起こりうること
  3. 在職中に依頼するときの職場での振る舞い方
  4. 依頼をやめたいとき、方針を変えたいとき

弁護士がパワハラに介入すると、まず弁護士が代理人になったことを会社(や加害者)に書面で知らせ、それ以降の請求や話し合いの窓口を弁護士が担います。その後は、会社からの回答をもとに交渉し、合意できれば合意書を交わして終わり、合意できなければ労働審判や訴訟を検討する、という流れが一般的です。在職中に依頼する場合に大切なのは、①通知の前に証拠を確保しておく、②職場での普段の業務連絡と、請求に関するやり取りを分ける、③通知の後に起きた変化を記録し続ける、の3つです。

依頼してから決着までの一般的な流れ

弁護士への依頼は、法律上は委任契約です。民法643条は、委任を、法律行為をすることを相手に委託し、相手がそれを承諾することで成立する契約と定めています。依頼を受けた弁護士は代理人となり、民法99条により、代理人が権限の範囲内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じます。つまり、弁護士が会社に伝えた請求や合意は、本人がしたものとして扱われます。

流れの整理:弁護士に依頼してからの段階
段階 弁護士がすること 本人がすること
1. 依頼(委任契約) 方針・費用・連絡方法の説明、委任契約書の作成 資料の提出、希望(在職か退職か、何を求めるか)の共有
2. 通知 代理人になったことと、求める内容を会社に書面で知らせる(一般に受任通知と呼ばれる) 通知を出す時期を弁護士と決める。その前に証拠を確保
3. 回答と交渉 会社(や会社側の弁護士)の回答を受け、条件をやり取りする 回答の内容を聞き、受け入れられる条件を考える
4-a. 合意 合意書の文案の確認と取り交わし 合意の中身(金額、口外しない約束、退職の有無など)を理解して決める
4-b. 手続へ 労働審判の申立てや訴訟の提起 陳述書づくりへの協力、期日への出席

通知の書き方や、何を求めるかは事案によって違います。内容証明郵便で送ることもあれば、普通の書面やメールで送ることもあります。内容証明の仕組みはパワハラで内容証明を送る前にで説明しています。

交渉で合意に至らないとき、弁護士は裁判所の手続を提案することがあります。労働審判は、裁判所の案内によると第1回の期日が申立てから原則40日以内に指定され、特別の事情がない限り3回以内の期日で審理を終える手続です。合意書の注意点や「解決金」の意味はパワハラの解決金・示談とは?にまとめています。

通知が届いたあと、職場で起こりうること

弁護士からの通知を受けた会社は、人事や法務の担当者、あるいは会社側の弁護士と、対応を検討することになります。その過程で、次のようなことが起こりえます。

  • 会社から事実関係について話を聞きたいと連絡がある
  • 加害者とされた上司との接触を減らすため、席や担当の変更を打診される
  • 会社側も弁護士を立て、以後は弁護士同士のやり取りになる
  • 社内の調査が始まり、同僚が事情を聞かれる

どれも、それ自体が不利益な扱いとは限りません。ただし、通知の後に評価が急に下がった、仕事を外された、配置転換や退職を迫られたといった変化があれば、日付と内容を記録して、すぐ弁護士に伝えてください。労働施策総合推進法31条は、会社にパワハラの相談をしたことや、会社の調査に協力して事実を述べたことを理由とする不利益な扱いを禁じています。また、労働契約法15条・16条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒や解雇を、権利の濫用として無効と定めています。通知の後の変化をどう評価するかは、記録をもとに弁護士と検討する事柄です。

相談の後に職場の扱いが悪くなったときの対処は、パワハラを相談して悪化したらでも整理しています。

在職中に依頼するときの職場での振る舞い方

在職を続けながら弁護士に依頼する人にとって、いちばん気になるのは職場での立場です。次の点を、依頼のときに弁護士と決めておくと、通知の後に迷わずにすみます。

通知の前にすること。 社内のメール・チャット・人事評価など、後から閲覧できなくなるおそれがある資料は、通知の前に保存できる範囲を確かめておきます。何を持ち出してよいかの線引きはパワハラの証拠保全を参考に、弁護士にも確認してください。

普段の業務連絡と、請求の話を分ける。 業務上の指示や連絡は、これまでどおり受けて対応します。パワハラの事実や請求の中身について上司や人事から話を持ちかけられたら、その場で答えず、弁護士を通すよう伝えます。

例:「その件は代理人の弁護士にお任せしていますので、弁護士を通してご連絡いただけますか」

同僚への話し方を決めておく。 依頼したことや交渉の中身を職場で話すと、伝わり方によっては誤解を招き、交渉に影響することもあります。誰に何を話すかは、信頼できる人に限るなど、あらかじめ弁護士と相談しておきましょう。

休職中に依頼する場合。 会社からの連絡(復職の時期・書類の提出など)と、請求に関する連絡が混ざりやすくなります。主治医の意見や休職中の手続は自分で対応し、請求に関わる連絡は弁護士に回す、と線を引いておくと負担が減ります。

依頼をやめたいとき、方針を変えたいとき

依頼後に「やはり在職を優先したい」「交渉ではなく労働局の調停に切り替えたい」と考えが変わることもあります。方針の変更は、まず担当の弁護士に率直に伝えてください。手段の比べ方はパワハラは弁護士と労働局のどちらに相談する?にまとめています。

依頼そのものをやめることもできます。民法651条は、委任は各当事者がいつでも解除できると定めています(相手方に不利な時期に解除すると、やむを得ない事由がなければ損害の賠償が必要になる場合があります。同条2項)。また、648条3項により、委任が途中で終わった場合、弁護士はすでにした仕事の割合に応じて報酬を請求できます。途中でやめたときに何をどう精算するかは、依頼の前に委任契約書の条項で確かめておくと安心です。依頼前に確かめる質問はパワハラを弁護士に相談する前の準備に一覧があります。

退職を選ぶ場合は、退職の手続を弁護士に任せる方法もあります。できることは弁護士の退職代行でできること、弁護士・労働組合・民間企業の違いは退職代行の弁護士・労働組合・民間企業の違いで説明しています。なお、請求を受けた側になった場合の手続きはパワハラで訴えられた側の対応で扱っています。

弁護士の介入は、結果を保証するものではありません。それでも、会社とのやり取りを代理人に任せられることで、本人が一人で交渉を背負わずにすむ点は大きな違いです。心身の負担が強いときは、交渉と並行して医療や相談窓口の支えも使ってください。

よくある質問

Q. 弁護士に依頼したことは、同僚にも知られますか?

弁護士は弁護士法23条により法律に別段の定めがある場合を除き職務上知った秘密を守る義務を負っているので、弁護士の側から同僚に伝わる仕組みではありません。会社の中で誰に共有されるかは会社の対応しだいなので、通知の段階で、関係者以外に広げないよう配慮を求めることを弁護士と相談しておくとよいでしょう。

Q. 依頼したあと、会社の人と直接話してはいけないのですか?

法律で禁じられているわけではありませんが、請求や交渉に関わる話を本人が別に進めると、弁護士の進め方と食い違うおそれがあります。業務の連絡は普段どおり受け、パワハラや請求に関する話を持ちかけられたら「代理人の弁護士を通してください」と伝える、という線引きを、依頼のときに弁護士と決めておくのが一般的な考え方です。

Q. 弁護士が入ったら、パワハラはすぐ止まりますか?

止まるとは言えません。弁護士は会社に対応を求めることはできますが、会社や加害者の行動を直接止める権限を持つわけではありません。介入後も言動が続くときは、その記録が交渉や手続の材料になるので、日時と内容を残し、弁護士に共有してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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