休職と復職 / 悩み整理

パワハラ上司がいる職場に復職するとき:配置の配慮を求める方法

この記事のもくじ
  1. パワハラ上司がいる職場への復職が怖いとき:先に整理する3つのこと
  2. 配置の配慮を求める根拠:パワハラ指針と復職の手引き
  3. 求める配置の選び方:4つの形と代わりの案
  4. 伝え方の文例:人事へのメールと産業医面談
  5. 配慮が得られないとき・戻ってから再び起きたとき

パワーハラスメント(パワハラ)をした上司が残る職場に戻るのが怖いのは、当然の反応です。そのときは**「元の職場に戻るのが当然」と受け入れる前に、配置についての希望を、復職の計画が決まる前に書面で伝えます。** 会社には、パワハラの事実が確認できたとき、被害者への配慮のための措置(例として、行為者と引き離すための配置転換)を講じることが、厚生労働省のパワハラ指針で求められています。職場復帰支援の手引きも、元の職場への復帰を原則としつつ、職場の要因が合わない場合は異動の必要性を検討するとしています。ただし、どの措置をとるかは会社が事案ごとに決めるので、希望の優先順位と代わりの案を用意して臨むことが大切です。

パワハラ上司がいる職場への復職が怖いとき:先に整理する3つのこと

配慮を求める前に、自分の状況を3つの問いで整理しておくと、会社に伝える内容がはっきりします。

  1. 会社はパワハラのことを知っているか。 休職前に相談窓口や人事に相談したか、その結果はどうだったか。
  2. 何が一番怖いか。 顔を合わせること、指示や評価を受けること、二人きりになること、同じフロアにいること、のどれか。
  3. 何があれば戻れそうか。 報告先が変わればよいのか、部署が変わる必要があるのか、在宅勤務など接点自体を減らしたいのか。
状況別:会社への相談の進み具合と、次の一手
会社への相談の状況 次の一手
相談済みで、事実確認や措置が終わっている 措置の内容(どちらが異動するか等)を確かめ、復帰先に反映されているかを聞く
相談済みだが、調査中・結果の連絡がない 結果の見通しと、結果が出るまでの配置をどうするかを聞く
まだ相談していない 社内の相談窓口に正式に相談するかを決める。健康上の配慮は主治医・産業医を通じて求められる
調査の結果、事実が認められなかったと言われた 指針は、事実の確認がつかない場合も再発防止の措置を求めている。理由と今後の対応を書面で聞く

主治医には「戻ったときに上司とどの程度関わるか」が体調に影響することを伝え、診断書の就業上の配慮の欄に意見を書いてもらえるか相談しておきます。医師の意見があると、会社は健康上の必要として検討しやすくなります。

配置の配慮を求める根拠:パワハラ指針と復職の手引き

会社に配慮を求めるときは、「お願い」だけでなく、会社がどんな枠組みで動くことになっているかを知っておくと、話が具体的になります。

資料 書かれていること 求めるときの使い方
労働施策総合推進法 第31条 会社にパワハラを防ぎ、相談に適切に対応する体制などの措置を義務づけ。相談したことや事実確認に協力したことを理由とする不利益な取扱いを禁止 相談したことで復帰先が不利になる扱いを受けていないかを確かめる
パワハラ指針(被害者への配慮) 事実が確認できたら、関係改善への援助、引き離すための配置転換、行為者の謝罪、労働条件上の不利益の回復、心の不調への相談対応などを例として挙げる 「引き離すための配置転換」を含めて検討してほしいと伝える
パワハラ指針(行為者への措置) 就業規則に基づく懲戒などのほか、配置転換、謝罪を例として挙げる 動くのが自分か上司かも含めて検討してほしいと伝える
職場復帰支援の手引き 「まずは元の職場」を原則としつつ、職場の要因と本人の要因が合わない可能性がある場合などは配置転換・異動の必要性を検討する 産業医面談で、職場の人間関係が回復に影響することを伝える

指針が挙げているのは措置の例で、会社がどれを選ぶかは事案によって変わります。「指針があるから異動させてもらえる」とは限らないので、根拠は会社に検討を求める材料として使います。会社の措置義務の全体はパワハラで会社の義務は何?相談したら会社がするべき10の措置で整理しています。

求める配置の選び方:4つの形と代わりの案

求める形は一つに絞らず、第1希望と代わりの案を用意しておくと、「人員の都合で難しい」で話が止まりにくくなります。

形 向いている人 確かめたいこと
自分が別の部署に移る 早く上司から離れたい、仕事の内容を変えてもよい 異動先の業務量、通勤時間、評価の引き継ぎ
上司が別の部署に移る 今の仕事を続けたい 会社の事実確認の結果、異動の時期
同じ部署で報告先と席を変える 異動の時期を待てない 指示・評価を誰がするか、一対一になる場面をどう避けるか
在宅勤務や時差出勤を組み合わせる 顔を合わせる場面を減らしたい 制度の有無、期間、見直しの時期

どの形でも、「誰が指示を出し、誰が評価するのか」「上司と二人きりになる場面はあるか」を具体的に確かめます。復職後しばらくは短時間勤務などの配慮も重なるので、配置の配慮とあわせて期間と見直しの時期を聞いておきます。在職中に異動を申し出る一般的な進め方はパワハラで異動したいとき:異動希望の伝え方と会社が配慮すべきことで扱っています。

伝え方の文例:人事へのメールと産業医面談

配慮の希望は、口頭で伝えたあとにメールでも送り、記録に残します。復職の申し出と同じ時期か、その前に出すのが目安です。

文例(人事・相談窓口へのメール):件名「復職にあたっての配置についてのご相談」/本文「休職の原因となった○○課長の言動については、○月○日に相談窓口にご相談したとおりです。復職にあたり、課長の指示を直接受ける形に戻ることに強い不安があり、主治医からも、当面は課長との接点を減らすことが望ましいと言われています。つきましては、私または課長の配置転換、それが難しい場合は報告先と席の変更を含めて、ご検討をお願いいたします。検討の結果と理由は、書面かメールでお知らせいただけますと幸いです。」

文例(産業医面談で):「仕事そのものより、○○課長と顔を合わせる場面を考えると眠れなくなります。課長の指示系統から外れる形で戻れるよう、配慮についての意見を出していただけないでしょうか。」

文例(回答が口頭だけだったとき):「本日ご説明いただいた配置の内容を、確認のためメールでいただけますでしょうか。復帰後に変更がある場合も、事前にお知らせください。」

返事を急がされても、その場で受け入れる必要はありません。「主治医と相談してから返事をします」と伝え、提示された配置を主治医に見せてから決めます。

配慮が得られないとき・戻ってから再び起きたとき

配置の配慮が得られない、または戻ってから同じことが起きた場合は、次の順に手を打ちます。

  1. 理由を書面で求める。 検討した案と、とれない理由を聞きます。記録は後の相談で使えます。
  2. 社内の相談窓口に正式に相談する。 復職後の言動も、日付と言葉で記録を続けます。相談後に不利な扱いを受けたときはパワハラを相談して悪化したら:報復・不利益な扱いへの対処を参照してください。
  3. 労働局に相談する。 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーでは、匿名でも無料で相談できます。会社との間で解決を求めるなら、労働局長の助言・指導・勧告(第36条)や、紛争調整委員会の調停(第37条)を申し立てる方法があります。仕組みは労働局の助言・指導と調停:パワハラ・カスハラの紛争を解決する仕組みで説明しています。
  4. 戻らない道も並べる。 休職の延長、退職、転職を比べるなら復職したくないときの選択肢:退職・異動・休職延長の比べ方へ進んでください。

上司が処分されるのか、どうなるのかが気になって頭から離れないこともあります。その気持ちとの付き合い方はパワハラ上司の末路が気になるとき:怒りを自分の回復に向ける考え方で扱っています。復職の判断では、相手がどうなるかより、自分が安全に働ける条件がそろっているかを基準にすると、決めやすくなります。

よくある質問

Q. パワハラを会社に相談していなくても、配置の配慮を求められますか?

健康を保って働くための配慮としてなら、主治医や産業医の意見を通じて求めることができます。手引きは、復職の判断で職場の人間関係も評価の対象にしています。ただ、パワハラの事実を確かめて対応してもらうには、社内の相談窓口に正式に相談することが別に必要です。

Q. 復職の前に、上司と話し合う場を設けると言われたらどうすればいいですか?

パワハラ指針は被害者への配慮の例に「関係改善に向けての援助」を挙げていますが、話し合いに応じるかは体調と主治医の意見を踏まえて決めてかまいません。応じる場合は、第三者が同席するか、時間と議題は何か、話した内容を記録に残すかを先に確かめます。負担が大きいと感じるなら、書面でのやり取りにしてほしいと伝える方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

パワハラ休職からの復職:主治医・産業医・会社と進める流れ

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