パワハラ防止法はいつから?大企業・中小企業・2026年改正の年表
パワハラ防止法(労働施策総合推進法)のパワハラ防止措置は、大企業が2020年6月1日から、中小企業が2022年4月1日から義務になりました(中小企業は2022年3月31日までは努力義務)。さらに、2026年10月1日からはカスタマーハラスメント(カスハラ)と求職者等へのセクハラ(就活セクハラ)の対策も、全ての事業主の義務です。2026年10月23日の時点で、企業の規模によって義務がない、ということはありません。
パワハラ防止法はいつから:年表で一覧
施行の日付と、何が変わったかを並べます。出典は厚生労働省のページとリーフレット、山口労働局のページです。
| 日付 | できごと | 誰に何が |
|---|---|---|
| 2019年6月5日 | 「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」公布 | 労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児・介護休業法を改正 |
| 2020年6月1日 | 改正法の施行 | 大企業にパワハラ防止措置が義務化。中小企業は努力義務。セクハラ等の防止対策も強化 |
| 2022年4月1日 | 中小企業への適用 | 中小企業の事業主にもパワハラ防止措置が義務化 |
| 2025年6月11日 | 令和7年法律第63号 公布 | 国の啓発の規定(第4条)は公布日に施行。主要部分は2026年10月1日施行と決まる |
| 2026年2月26日 | カスハラ指針(令和8年厚生労働省告示第51号)・就活セクハラ指針(同第52号)公布 | 会社が講じる措置の中身を定める |
| 2026年10月1日 | 主要部分の施行 | カスハラ(第33条)と就活セクハラ(均等法第13条)の措置が全ての事業主の義務に。パワハラの措置義務は旧第30条の2から第31条へ |
| 出来事の時期 | 大企業 | 中小企業 |
|---|---|---|
| 2020年5月31日まで | パワハラ防止措置の法律上の義務なし | 同じく義務なし |
| 2020年6月1日〜2022年3月31日 | 措置義務あり | 努力義務 |
| 2022年4月1日〜2026年9月30日 | 措置義務あり(旧第30条の2) | 措置義務あり(旧第30条の2) |
| 2026年10月1日〜 | パワハラ(第31条)・カスハラ(第33条)・就活セクハラ(均等法第13条)の措置義務あり | 同じ |
| (措置義務の有無は会社の行政上の義務の話。会社の安全配慮義務や不法行為の責任は、別の法律で時期にかかわらず問題になりうる) |
条文の中身と改正前後の条番号の対応は、前の記事パワハラ防止法の条文と2026年10月改正:第31条〜第38条を整理にまとめています。
中小企業の範囲と、自分の会社の区分の確かめ方
2020年6月から2022年3月までの間だけ、中小企業の扱いが違いました。厚生労働省のリーフレットが示す「中小事業主」の範囲は、業種ごとに次の①または②のどちらかを満たす事業主です。
| 業種 | ①資本金の額または出資の総額 | ②常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業(サービス業、医療・福祉等) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種(製造業、建設業、運輸業等) | 3億円以下 | 300人以下 |
どちらか一方を満たせば中小事業主に入ります。たとえば従業員が500人いても、小売業で資本金が5,000万円以下なら、①を満たすので中小事業主です。
自分の会社の区分を確かめるときは、次の順で情報を集めます。
- 業種を確かめる。 会社の主な事業が小売・サービス・卸売・その他のどれかを、会社案内や登記の目的欄などで見ます。リーフレットでは、医療・福祉の事業はサービス業の欄に入っています。
- 資本金を確かめる。 会社のウェブサイトの会社概要、求人票、決算公告などに載っていることが多い項目です。法務局で登記事項証明書を取れば、資本金の額が記載されています。
- 従業員数を確かめる。 会社概要や求人票の「従業員数」を見ます。グループ全体の人数か、その会社だけの人数かを見分けてください。
- 出来事の時期を年表と照らす。 区分が問題になるのは、2020年6月1日から2022年3月31日までの出来事だけです。
時期が古い出来事を相談するときの整理
「数年前のことだが、当時は会社に義務がなかったのでは」と迷う人もいるはずです。整理の仕方を3つに分けておきます。
- 会社の措置義務の話。 年表のとおり、時期と会社の規模で、当時の義務の有無が変わります。当時義務がなかった、あるいは努力義務だった時期でも、指針の考え方は、言動を整理する物差しとして使えます。
- 会社の民事上の責任の話。 労働契約法第5条の安全配慮義務や、民法の不法行為の責任は、パワハラ防止法の施行日とは関係なく問題になりうるものです。仕組みは安全配慮義務とは?パワハラで会社の責任が問われる仕組みの基本で説明しています。
- 請求の期限の話。 損害賠償や労災の請求には期限があります。古い出来事ほど、期限を先に確かめる必要があります。数字はパワハラの時効は何年?損害賠償と労災の期限を条文で確認にまとめています。
相談先に時期を伝えるときは、次のように年月と会社の規模をそろえておくと話が通じやすくなります。
伝え方の例:「2021年10月から2022年6月まで、従業員80人のサービス業の会社で、上司から人格を否定する言葉を繰り返し受けていました。社内に相談窓口があるとは聞いておらず、2022年5月に人事へ口頭で伝えましたが、記録はメモだけです。当時の会社の義務と、今から取れる手段を知りたいです。」
2026年10月以降に確かめたい3つのこと
いま働いている会社については、時期ではなく「義務を果たしているか」を見るほうが役に立ちます。
- 相談窓口が周知されているか。 就業規則、社内ポータル、掲示などで窓口の連絡先が分かるか。措置の全体はパワハラで会社の義務は何?相談したら会社がするべき10の措置で確かめられます。
- カスハラの対処の方針があるか。 接客・営業・医療・介護・教育など顧客と接する仕事では、2026年10月1日から、カスハラへの対処の方針と相談窓口、抑止のための措置が義務になっています。従業員の立場で確かめる点はカスハラ対策義務化で会社は何をする?従業員が確かめたい措置の中身へ。
- 資料の条番号が新しいか。 研修資料や就業規則が「第30条の2」のままなら、改正前に作られた資料です。中身の古さもあわせて確かめるきっかけになります。
公務員については、措置義務や労働局の手続きの適用が第48条で分けられているため、年表どおりにはなりません。会社が義務を守らない場合に行政がとる手段は、前の記事パワハラ防止法に罰則はある?違反した会社への勧告と企業名公表で扱っています。
よくある質問
Q. いま中小企業で働いていますが、会社にパワハラ防止の義務はありますか?
あります。中小企業の事業主も2022年4月1日から措置が義務になっており、2026年10月時点では企業の規模に関係なく全ての事業主が対象です。相談窓口の設置や相談後の対応などを会社に求めることができます。
Q. 2022年3月以前に中小企業で受けた言動は、相談しても意味がありませんか?
意味がないとは限りません。当時の措置義務は努力義務でしたが、会社の安全配慮義務や不法行為の責任は、パワハラ防止法とは別の法律にもとづくものです。時期が古い出来事は請求の期限も関わるので、記録をそろえたうえで労働局や弁護士に相談してください。
Q. カスハラの対策はもう始まっていますか?
2026年10月1日に施行済みです。顧客や取引先などの言動で就業環境が害されることへの対策が、全ての事業主の義務になりました。「これから義務化される」と書かれた資料は、施行前に作られたものです。
出典・参考にした公的な情報
- 職場におけるハラスメントの防止のために(施行の経緯と2026年10月1日の改正)(厚生労働省)
- リーフレット「職場におけるハラスメント防止対策が強化されました」(中小事業主の範囲の表)(厚生労働省)
- リーフレット「パワーハラスメント防止措置が中小企業の事業主にも義務化されます」(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第4条・第31条・第33条・第48条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律について(施行期日・改正の概要)(厚生労働省)
- 職場のハラスメント対策(カスハラ指針・就活セクハラ指針の告示)(山口労働局)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。