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公務員のパワハラは懲戒処分になる?停職・減給・戒告の標準例と令和7年の件数

この記事のもくじ
  1. Q1 公務員のパワハラは、どんな懲戒処分になるのか
  2. Q2 戒告・減給・停職・免職は、法律でどう定められているのか
  3. Q3 処分が公表されるのは、どんなときか
  4. Q4 実際には何人くらい処分されているのか(令和7年)
  5. Q5 地方公務員の加害者は、同じ基準で処分されるのか
  6. Q6 被害者は、加害者の処分に対して何ができるか

公務員のパワハラ加害者は、国家公務員でも地方公務員でも、停職・減給・戒告などの懲戒処分の対象になりえます。人事院の懲戒処分の指針は、パワハラの標準例を「著しい苦痛を与えた場合は停職・減給・戒告」「繰り返した場合は停職または減給」「精神疾患に罹患させた場合は免職・停職・減給」と示しています。ただし、処分を決めるのは任命権者で、被害者が処分を請求する制度ではありません。この記事では、指針の中身、処分の件数、公表の範囲、地方公務員の指針の見つけ方を問いの形で答えます。相談先の全体は公務員のパワハラ相談先と対処:人事院・人事委員会など民間と違う窓口にあります。

Q1 公務員のパワハラは、どんな懲戒処分になるのか

国家公務員法第82条は、職員が法令に違反したとき、職務上の義務に違反したり職務を怠ったりしたとき、国民全体の奉仕者にふさわしくない非行があったときに、免職・停職・減給・戒告の懲戒処分ができると定めています。停職は1年を超えない範囲です(第83条)。処分を行うのは任命権者です(第84条)。

人事院の「懲戒処分の指針について」(平成12年3月31日職職―68、最終改正は令和2年4月1日)は、パワー・ハラスメントを次のように位置づけています。

比較表:指針にあるパワハラの標準例と処分
行為の程度 標準的な処分
パワハラにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた 停職、減給又は戒告
指導・注意等を受けたにもかかわらず、パワハラを繰り返した 停職又は減給
パワハラにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた 免職、停職又は減給

注記として、セクハラとパワハラの処分では、具体的な行為の態様、悪質性などの情状も考慮するとされています。標準例どおりに決まるとは限りません。指針の総則は、処分の量定を、動機、態様、結果、故意か過失か、職責、影響、過去の非違行為などを総合して決めるとしており、標準例と異なる処分もありうると書いています。管理監督者など職責が特に高い人は、重くなりうる扱いです。

Q2 戒告・減給・停職・免職は、法律でどう定められているのか

指針の標準例に出てくる処分について、条文で確かめられる点だけを整理します。

  • 種類は4つだけ。 国家公務員は免職・停職・減給・戒告(国家公務員法第82条)、地方公務員は戒告・減給・停職・免職(地方公務員法第29条第1項)です。訓告や厳重注意はこの中に入りません。
  • 停職の上限。 国家公務員の停職は1年を超えない範囲で、人事院規則で定めます(第83条)。
  • 処分する人。 国家公務員の懲戒処分は任命権者が行います(第84条)。地方公務員の手続きと効果は条例で定めます(地方公務員法第29条第4項)。
  • 処分された本人の救済。 懲戒などの不利益処分には処分事由を書いた説明書が交付され、国家公務員は人事院に、地方公務員は人事委員会・公平委員会に審査請求ができます。

加害者側にも不服申立ての道があるため、処分は慎重な手続きで進みます。被害者から見て「結論が遅い」と感じる理由の一つです。

Q3 処分が公表されるのは、どんなときか

人事院の公表指針では、次の処分が公表の対象です。

  1. 職務遂行上の行為、またはそれに関連する行為に係る懲戒処分
  2. 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職または停職

公表する内容は、事案の概要、処分量定、処分年月日、所属・役職段階などで、個人が識別されない内容を基本とします。パワハラの懲戒処分は、職務に関連する行為なので、公表の対象になります。ただし実名は基本的に出ません。

被害者に「処分の結果を教えてもらえるか」という点は、国家公務員では人事院の運用通知の別紙(苦情相談への対応の指針)が、苦情相談に関して具体的にとられた対応は相談者に説明する、と定めています。処分の中身そのものまで知らされるかは、個別の事案で扱いが変わります。相談した窓口に、対応の結果をどのような形で知らせてもらえるかを、最初の段階で聞いておいてください。

Q4 実際には何人くらい処分されているのか(令和7年)

人事院の令和7年(2025年1〜12月)の一般職の国家公務員の懲戒処分の発表では、処分を受けた人は249人で、前年より36人減りました。在職者の0.08%にあたります。内訳は、免職16人、停職57人、減給120人、戒告56人でした。

処分の事由にパワー・ハラスメントを含むものは12人で、前年より6人減っています。セクハラは15人で、31人減りました。この数字は暦年の集計で、人事院の苦情相談の件数(年度)とは数え方が違うため、単純に割り算することはできません。「相談したら処分される」という期待より、「事実が確かめられ、悪質性などが認められたときに処分される」仕組みだと理解してください。

Q5 地方公務員の加害者は、同じ基準で処分されるのか

地方公務員は、国の指針をそのまま使うとは限りません。懲戒の事由と手続きは条例で定められ(地方公務員法第29条)、処分の量定の基準を「懲戒処分の指針」として公表している自治体があります。指針があるかどうか、パワハラの標準例がどう書かれているかは、自治体ごとに確かめる必要があります。

自分の自治体の指針は、次の手順で探せます。

  1. 自治体のサイトで「懲戒処分の指針」「懲戒処分 公表」を検索する。
  2. 見つからなければ、人事課に「パワハラの懲戒の基準を定めた文書はありますか」と聞く。
  3. 同じ自治体の過去の公表事例も、ページにまとまっていることがある。

地方公務員の被害者が使える窓口は、地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求にまとめました。

懲戒処分は、任命権者が組織の秩序のために行うもので、被害者への補償や賠償ではありません。人事院の苦情相談でも、損害賠償や謝罪の要求は対象外とされています。被害者が損害賠償を求めるときは、民事の手続きになります。窓口では求められない内容なので、法律相談の入口をパワハラを弁護士に無料相談するには:弁護士会・自治体の法律相談で確かめてください。

処分の結果を待たずに、自分が職場を離れる選択もあります。辞職の手続きは公務員がパワハラで退職するとき:辞職願の出し方と承認の流れにあります。

Q6 被害者は、加害者の処分に対して何ができるか

最後に、被害者ができることを整理します。

よくある質問

Q. 加害者への厳重注意は、懲戒処分ですか?

国家公務員法が定める懲戒処分は、免職・停職・減給・戒告の4種類だけです。訓告や厳重注意は、法律上の懲戒処分ではありません。地方公務員も、懲戒は戒告・減給・停職・免職の4種類です。上司から「厳重注意にした」と聞いた場合は、それが懲戒処分か、それ以外の指導かを、人事担当に確かめてください。

Q. 被害者が、加害者を処分するよう請求できますか?

人事院の懲戒処分の指針は、任命権者が処分の量定を決めるときの参考で、被害者が処分を請求する制度ではありません。人事院の苦情相談でも、他の職員の懲戒処分の実施を求めることは対象外とされています。相談員への相談や所属府省の調査を通じて、事実が認められたときに、任命権者が判断します。

Q. 加害者の名前は公表されますか?

人事院の公表指針では、公表内容は事案の概要、処分量定、処分年月日、所属・役職段階などで、個人が識別されない内容を基本としています。加害者の実名が公表されるとは限りません。地方公務員の公表は自治体ごとに指針が違うので、自治体のサイトの懲戒処分の公表ページで確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

公務員のパワハラ相談先と対処:人事院・人事委員会など民間と違う窓口

国家公務員のパワハラ:人事院規則10-16と人事院への苦情相談

地方公務員のパワハラ:人事委員会・公平委員会への相談と措置要求

公務員がパワハラで退職するとき:辞職願の出し方と承認の流れ