パート・契約社員でも休職できる?傷病手当金の対象を確認
この記事のもくじ
パートや契約社員でも、休職できる場合があり、傷病手当金も受け取れる場合があります。ただし、この2つは決まり方が別です。休職できるかは会社の就業規則(休職規程)で決まり、傷病手当金を受け取れるかは、勤務先の健康保険に被保険者として入っているかで決まります。2026年10月1日から適用されている改正後の同一労働同一賃金ガイドラインは、パート(有期雇用でない短時間労働者)には正社員と同じ病気休職を、契約社員などの有期雇用の人にも契約が終わるまでの期間を踏まえた病気休職を認めるよう求めています。
休職は「規程」、傷病手当金は「健康保険」で決まる
正社員かどうかで一律に決まるものは、実はほとんどありません。自分に当てはまるかは、次の表の「確かめる書類」で調べます。
| 知りたいこと | 何で決まるか | 確かめる書類・場所 |
|---|---|---|
| 休職できるか・期間はどれくらいか | 会社の就業規則(パート用の規程が別にある会社もある)と雇用契約 | 就業規則の休職の条文、雇用契約書・労働条件通知書 |
| 休職中に給与が出るか | 就業規則・賃金規程 | 賃金規程の休職中の賃金の条文 |
| 傷病手当金を受け取れるか | 勤務先の健康保険に被保険者として入っているか | 資格情報のお知らせ、資格確認書、給与明細の健康保険料の控除欄 |
| 傷病手当金の額 | 標準報酬月額(パートでも計算式は同じ) | 標準報酬月額の決定通知、人事への問い合わせ |
労働基準法89条は、会社が全員に適用される定めをする場合は就業規則に書くよう求めており、106条は就業規則を労働者に周知するよう定めています。休職の条文がどこにあるか分からなければ、「就業規則を見せてください」と人事に頼んで構いません。休職の手続きの全体はパワハラ休職手続きの流れ:就業規則の確かめ方で扱っています。
パート・契約社員の休職:2026年10月の改正ガイドラインで変わった点
厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドライン(パートタイム・有期雇用労働法8条などの考え方を示す指針)は、令和8年10月1日から改正後の内容が適用されています。病気休職(療養に専念するための病気休暇を含む)について、改正後の文言の要点は次の3つです。
- 短時間労働者(有期雇用でない人)には、通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。
- 有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。
- 通常の労働者に病気休職中の給与の保障をしている場合、契約の更新を繰り返しているなど相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者にも、同一の給与の保障を行わなければならない(改正で加わった部分)。
ガイドラインは「問題とならない例」として、契約期間が1年の有期雇用労働者について、病気休職の期間を契約期間が終わる日までとしている例を挙げています。逆に「問題となる例」として、正社員には休職中の給与の保障があるのに、更新を繰り返してきた有期雇用の人には保障がない例を挙げています。自分の会社の規程がどちらに近いかは、正社員用とパート用の規程を並べて比べると見えてきます。
正社員との違いに納得できないときは、パートタイム・有期雇用労働法14条2項により、待遇の違いの内容と理由の説明を会社に求められます。説明を求めたことを理由に解雇などの不利益な扱いをすることは、同条3項で禁じられています。
人事への質問の例:「〇〇課の〇〇です。体調不良で休む必要が出てきたため、パートタイマーの休職制度について教えてください。①休職の対象になるか、②休職できる期間、③休職中の給与の扱い、の3点です。正社員の休職制度と違う点があれば、その内容と理由もあわせて説明していただけますか。」
傷病手当金の対象になるか:健康保険の加入の基準
傷病手当金は健康保険法99条の給付で、受け取るのは「被保険者」です。雇用形態の名前ではなく、勤務先の健康保険に入っているかどうかが分かれ目になります。日本年金機構の案内(2026年10月1日更新)をもとに、加入の基準を整理すると次のとおりです。短時間労働者の賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されています。
| 働き方 | 勤務先の健康保険に入るか |
|---|---|
| 1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上 | 入る(正社員と同じ扱い) |
| 4分の3未満で、厚生年金保険の被保険者数51人以上の会社(特定適用事業所)。週の所定労働時間20時間以上で、学生ではない | 入る(短時間労働者として) |
| 4分の3未満で、上の会社の規模に当たらない | 現在は入らない。会社の規模の基準は令和9年10月から36人以上に広がり、その後も段階的に広がる |
| 2か月以内の期間を定めて雇われ、その期間を超えて働く見込みがない人など | 入らない |
勤務先の健康保険に入っていない場合、加入先は主に国民健康保険か、家族の健康保険の被扶養者のどちらかです。被扶養者は被保険者ではないので、傷病手当金は出ません。国民健康保険では、傷病手当金は市区町村が条例で定めたときに支給できる給付(国民健康保険法58条2項)という位置づけなので、住所地の国保の窓口で制度の有無を確かめます。
被保険者であれば、パートでも計算式は正社員と同じです。たとえば標準報酬月額が12か月とも16万円なら、16万円÷30=5,333.3円を10円単位にそろえて5,330円、その3分の2で1日あたり3,553円になります(筆者の計算。端数の処理は健康保険法99条2項による)。要件と計算の詳しい説明は休職中の傷病手当金:受け取る条件・金額の計算・期間にまとめています。
派遣社員・契約社員が気をつける3つの点
**派遣社員の雇い主は派遣元です。**労働者派遣法2条は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者」を他人の指揮命令の下で働かせることと定めています。休む連絡、休職の扱い、傷病手当金の申請書の事業主欄は、派遣先ではなく派遣元の担当者に頼みます。派遣先でのパワハラの相談先は派遣社員のパワハラ相談先:派遣元・派遣先それぞれの責任、パート同士や社員からの嫌がらせはパートのパワハラの相談先で扱っています。
**契約期間の終わりと療養が重なることがあります。**改正ガイドラインの例のように、有期雇用の病気休職は契約の終わりまでとされることがあります。契約が終わって健康保険の資格を失った後も傷病手当金を受け取るには、退職日(資格を失う日の前日)まで継続して1年以上被保険者だったことなどが条件です。条件の細かい点は休職から退職後も傷病手当金を受け取る条件で確かめてください。
**有給の使い方も正社員と同じ考え方です。**パートや契約社員にも所定の日数に応じた年次有給休暇があり、有給の日も待期の3日に数えます。順番の組み立て方は、前の記事のパワハラ休職の前に有給を使う?傷病手当金との順番を参照してください。
よくある質問
Q. 週3日のパートで、社会保険に入っていません。傷病手当金はもらえませんか?
傷病手当金は健康保険の被保険者に出る給付なので、勤務先の健康保険に入っていなければ、協会けんぽや健康保険組合からは出ません。国民健康保険に入っている場合、傷病手当金は市区町村が条例で定めたときに行える給付(国民健康保険法58条2項)なので、住んでいる市区町村の国保の窓口に、制度があるかを問い合わせてください。
Q. 派遣先でパワハラを受けて休むとき、誰に連絡すればいいですか?
雇い主は派遣元(派遣会社)なので、休む連絡、休職の手続き、傷病手当金の申請書の事業主欄は、派遣元の担当者に頼みます。パワハラの事実は派遣元にも派遣先にも相談でき、派遣先にも措置を講じる責任があります。相談の順番は、派遣社員のパワハラ相談先の記事で詳しく整理しています。
Q. 契約期間の途中で休んだら、次の更新はされないのでしょうか?
更新するかどうかは契約と個別の事情で決まり、休んだことだけで結論が決まるわけではありません。改正ガイドラインは、有期雇用の人にも契約が終わるまでの期間を踏まえて病気休職を認めるよう求めています。更新の判断に納得できないときは、記録をそろえて総合労働相談コーナーなどに相談できます。
出典・参考にした公的な情報
- 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内(2026年10月1日更新)(日本年金機構)
- 同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)(令和8年10月1日適用)(厚生労働省)
- 同一労働同一賃金ガイドライン等の改正内容について(令和8年6月作成)(厚生労働省)
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第8条・第14条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 健康保険法 第3条・第99条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国民健康保険法 第58条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第39条・第89条・第106条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働者派遣法 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。