新人へのパワハラ:教えない・放置・雑用が続くときの確かめ方と相談先
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新人への厳しい対応がパワーハラスメント(パワハラ)に当たるかを考えるとき、まず見るのは教えられたうえで叱られているか、教わらないまま責められているかです。ここでは、新人に起こりやすい4つの型ごとに何を確かめるか、新人ならではの記録の残し方、試用期間中に「本採用しない」と言われたときの考え方、相談の順番をまとめます。「毎日怒られる」ときの内容と言い方の見分けは新人の指導とパワハラの境目:毎日怒られるときに確かめることで扱います。
新人に起こりやすい4つの型
厚生労働省のパワハラ指針は、優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害されるものをパワハラとしています。新人は、上司だけでなく先輩との間にも、教わらないと仕事が進まない関係が生まれやすい立場です。次の表は、新人の場面を指針の類型に当てはめた早見表です。
| 型 | 新人の場面 | 指針でそれに近い類型 |
|---|---|---|
| 教えない | 手順を聞いても「自分で考えて」で終わり、できないと責められる | 過大な要求(必要な教育を行わないまま到底対応できない目標を課す) |
| 放置 | 業務を与えられず席に座るだけの日が続く/連絡が回ってこない | 過小な要求、人間関係からの切り離し |
| 人前での叱責 | 朝礼や会議で名指しで怒鳴られる | 精神的な攻撃(面前での大声の威圧的な叱責の繰り返し) |
| 雑用 | 先輩の私用の買い物、飲み会の幹事、無関係な作業ばかり | 過大な要求(業務と関係のない私的な雑用の強制) |
指針の例は限定列挙ではなく、頻度、継続性、本人の問題行動の有無、指導のやり方などを総合して見るとされています。例と少し違うからといって、当たる・当たらないが決まるわけではありません。
教えないまま責められるとき
手順を聞いても答えてもらえず、ミスをすると責められる形です。ここで確かめたいのは、同じ時期に入った人にも同じ接し方か、そして質問に答える時間が与えられているかです。一度も教えられていないことを「できて当然」と責められる場合は、教育が先にあったかどうかが争点になります。
放置されるとき
仕事の指示が何日もない、会議や連絡網から外される、といった形です。新規採用者の育成のために短期間、別室で研修をすることは指針の該当しない例なので、期間と目的の説明があるかを見ます。説明がないまま続くなら、日付ごとに「指示なし」と書いて残します。
人前で叱責されるとき
内容が仕事の誤りでも、他の人がいる前で大声で繰り返される形は、指針の該当例に近づきます。内容は受け止めつつ、場所を変えてほしいと頼む方法は、新人の指導とパワハラの境目の文例にあります。
雑用ばかり任されるとき
業務と関係のない私用の買い物や、拒みにくい飲み会の手配などです。繁忙期に業務上の必要で通常より多めの作業を頼まれるのとは違い、業務との関係があるかで分かれます。頼まれた日時と内容、断れる雰囲気だったかを書いておきます。
記録の付け方:新人は「教わった内容」も残す
新人の場合、「教えていないのに怒られた」ことを示せるかどうかが重要です。相手の言葉だけでなく、何を教わり、何を教わらなかったかを対で書きます。
| 日時 | 自分の作業 | 教わったこと・聞いたこと | 相手の言葉(そのまま) | 場所・周りの人 |
|---|---|---|---|---|
| 例:10/14 10:20 | 見積書の入力(初めて) | 手順書の場所を聞いたが「自分で探して」と言われた | 「こんなこともできないなら辞めろ」 | フロア・〇〇さん、△△さん |
| 例:10/15 全日 | 席で待機 | 午前・午後とも仕事の指示なし | 声をかけたが「今は何もない」 | フロア・同じ課の全員 |
指示を受けたメール、チャット、マニュアルの有無、研修の予定表も保存しておきます。自分に関わる範囲に限り、会社の機密情報を持ち出さないよう注意します。記録の基本の項目はパワハラの記録の書き方:日時・言葉・場所・目撃者を残す記入例つきで確かめられます。
試用期間中に「本採用しない」と言われたとき
新人がいちばん言い返しにくいのが、「試用期間だから、このままだと本採用しない」という言い方です。次の三つを知っておくと、慌てて返事をせずに済みます。
- 試用期間でも、会社が自由に辞めさせられるわけではありません。 労働契約法第16条は、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効としています。本採用の拒否も解雇として、この考え方で見られます。
- 14日を超えて働いた人には、解雇の予告が要ります。 労働基準法第21条は、試用期間中の人に第20条の予告の規定を適用しない場合を、雇い入れから14日以内としています。14日を超えれば、原則として30日前の予告か、予告に代わる手当が必要になります。
- その場で署名や返事をしない。 退職届や「合意書」への署名を求められても、持ち帰ってよいのが普通です。辞める意思がないなら、日時と言われた言葉を記録して、相談窓口に持っていきます。
個別の事案で有効かどうかを決められるのは、裁判所などです。ここでは仕組みの説明にとどめます。
相談の順番と、そのまま使える文例
最初から「パワハラです」と言う必要はありません。仕事を覚えるうえで困っていることとして伝え、会社にしてほしいことを添えると、受け止められやすくなります。
- 直属の上司、または指導担当とは別の上司
- 人事・総務、社内のハラスメント相談窓口(社内のハラスメント相談窓口の使い方)
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー
文例(上司への相談):「業務を覚えるうえでご相談があります。〇〇さんに手順を質問しても『自分で考えて』と言われることが多く、分からないまま作業してミスが重なっています。記録を付けています。教わる方法について、相談させてください。」
文例(教え方の変更の依頼):「先日ご相談した件で、お願いがあります。手順書を共有していただくか、質問できる時間を週に決めていただくことは可能でしょうか。難しい場合は、確認の担当を別の方に代えていただけませんか。」
事実が確認できた場合に会社が取る配慮の例として、指針は、関係改善の援助や、引き離すための配置転換などを挙げています。会社が何をするかは事案ごとに決まります。社内で動かないときは、労働局のハラスメント相談窓口:雇用環境・均等部(室)でできることや、紛争調整委員会の調停(第37条)という方法があります。仕組みは労働局の助言・指導と調停で確認できます。
辞めるか迷う20代へ:早期離職の不安と、次の探し方
入社して間もない時期に辞めることへの不安は大きいものです。期間の定めのない雇用なら、退職の申入れから2週間で雇用が終わるとされています(民法第627条1項)。伝え方と時期は退職は2週間で成立する?民法627条・628条と即日退職の考え方に整理しました。心身の不調が続くなら、辞めるより先に休むことが優先です。
次を探す場合は、同じ状況に当たらないよう、確かめる点を決めて動くのが安全です。第二新卒や未経験を対象にした転職支援を使う方法もあります。
確かめたい点は、新人への研修と教育係の体制、入社1〜3年目の定着の様子、配属後に相談できる窓口、残業や休日の実際です。面談で自分から質問する内容を、紙に書いて持っていくと、条件の話に流されにくくなります。進め方はパワハラで転職するときの進め方:在職中に探すか辞めてから探すかにまとめています。看護の職場で新人が受ける場合は看護師のパワハラ:師長・先輩からの被害を記録して相談する方法も参考にしてください。内定の段階から嫌がらせがあった場合は内定者へのパワハラ:入社前の研修や連絡で嫌がらせを受けたときをご覧ください。
よくある質問
Q. 試用期間中でも、パワハラの相談をしてよいのでしょうか?
パワハラ指針でいう「労働者」は、正規・非正規を問わず雇用されて働くすべての人です。第31条2項は、相談したことを理由に解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。試用期間かどうかで、相談できる範囲が変わる書き方にはなっていません。
Q. 「まだ新人だから」と言われると、何も言えなくなります。
指針は、育成のために少し高いレベルの仕事を任せることはパワハラに当たらない例とする一方で、必要な教育を行わないまま到底対応できない目標を課し、達成できないと厳しく叱責することは当たる例に挙げています。新人であること自体が、叱責の理由にはなりません。教え方と叱り方の中身で見ます。
Q. 先輩が怖くて、朝になると体が重いです。
眠れない、動悸がする、出勤前に涙が出るといった状態が続くなら、記録や相談より先に休むことや受診を考えてよい段階です。休む連絡の仕方と相談先の順番は[パワハラ上司が怖い・出社できないとき:休む連絡と相談する順番](/joushi-kowai/)にあります。
出典・参考にした公的な情報
- 事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット(パワハラ指針 令和8年10月1日適用時点の本文を収録)(厚生労働省)
- 労働施策総合推進法 第31条・第36条・第37条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働契約法 第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第20条・第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第627条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。