相談先と窓口 / Q&A

退職後でもパワハラを相談できる?辞めた後に使える窓口と期限

この記事のもくじ
  1. 退職後でもパワハラの相談はできる:辞めた後に使える窓口
  2. 労働局に相談する:会社との話し合いを労働局を通して持つ
  3. 労災と体の不調の相談:辞めた後も請求できる
  4. 期限の考え方:手段ごとに別々の期限がある
  5. 退職後に相談する前にそろえる物と、窓口での伝え方

退職後でも、パワーハラスメント(パワハラ)の相談はできます。都道府県労働局の総合労働相談コーナーや雇用環境・均等部(室)、弁護士や法テラス、心身を壊したときは労働基準監督署(労基署)の労災の窓口が、辞めた後も使える主な相談先です。気をつけたいのは「いつまでに動くか」で、損害賠償・労災・公益通報など、手段ごとに法律の期限が別々に決まっています。このページでは、辞めた後に使える窓口でできることと、期限の考え方、相談前にそろえる物を順に示します。

退職後でもパワハラの相談はできる:辞めた後に使える窓口

総合労働相談コーナーは、解雇・雇止め・いじめや嫌がらせ・パワハラなど、労働問題のあらゆる分野を対象にした窓口です。学生や就職活動中の人の相談も受けていて、いま雇われている人だけに向けた窓口ではありません。厚生労働省が挙げる個別労働紛争の例にも、解雇・雇止めや、退職に伴う研修費用の返還をめぐる争いが入っていて、辞めることをめぐる争いも相談の対象に含まれています。

辞めた後に「何をしたいか」で、向く窓口が変わります。

早見表:退職後に使える窓口と、そこでできること
窓口 退職後にできること 気をつけること
総合労働相談コーナー(労働局・労基署内など) 経緯を話して、使える制度と手続きを教えてもらう。無料・予約不要 相談だけでは会社に何も求められない
都道府県労働局(助言・指導、あっせん、調停) 会社との話し合いの場を、労働局を通して持つ 相手に参加や受諾の義務はない
労基署(労災の窓口) 心の病気などの労災保険給付を請求する 給付の種類ごとに時効がある
弁護士・法テラス 損害賠償を求めるかどうか、個別の見通しを聞く 法テラスの無料法律相談には収入・資産の要件がある
前の会社の内部通報窓口 罰則のある違反を通報する 保護の対象は退職から1年以内の人

番号と受付時間は、パワハラの相談窓口一覧:電話番号・受付時間・できることの早見表にまとめています。名前を出さずに話だけ聞いてほしいときの使い方は、パワハラを匿名で相談できる窓口:名前を出さずにできること・できないことで扱っています。

労働局に相談する:会社との話し合いを労働局を通して持つ

労働局の制度は無料です。総合労働相談コーナーで話を聞いてもらった後、希望すれば次の手続きに進めます。辞めた後の相談でも、手続きの入口はこの流れです。

  1. 労働局長の助言・指導:争いの問題点を示し、解決の方向を示して、当事者に自主的な解決を促します(個別労働関係紛争解決促進法第4条)。
  2. 紛争調整委員会のあっせん:弁護士や大学教授などの委員が双方の間に入り、話し合いをまとめる手続きです(同法第5条)。非公開で、原則として双方は別室で待ち、顔を合わせません。
  3. パワハラの措置義務をめぐる争い:会社が防止の措置を講じたか、相談を理由に不利益に扱ったかをめぐる争いは、あっせんではなく、労働局長の助言・指導・勧告(労働施策総合推進法第36条)と調停(第37条)で扱います。

どの手続きになるかは、労働局が受付で振り分けます。千葉労働局が公表した令和7年度の施行状況には、上司の暴言でパワハラを受けて退職せざるを得なくなり、会社に解決金を求めて調停を申請した事例が載っています。会社はパワハラの事実は確認できなかったとして当初は支払いを断っていましたが、調停の場で早期解決のために金銭解決に応じる用意があると述べ、調停委員が間に入って、給与3か月分に治療費を加えた支払いと、解決までに時間がかかったことへの口頭の謝罪で合意したとされています。辞めるに至った経緯が調停で扱われた例があるということです。ただし、これは1件の事例で、金額の目安にはなりません。個別に使えるかどうかは雇用環境・均等部(室)が判断します。辞めてから日がたっているほど記録や記憶が薄れるので、早めの相談が要ります。あっせんは相手の会社が参加しなければ打ち切りになり、あっせん案を受け入れるかどうかも当事者の自由です。また、上司や同僚など労働者同士の争いはあっせんの対象外で、手続きの相手は会社になります。

打ち切りになった場合でも、通知を受けた日から30日以内に同じ請求で訴えを起こせば、時効の完成猶予については申請の時に訴えたものとみなされます(同法第16条)。調停の仕組みと流れは労働局の助言・指導と調停:パワハラ・カスハラの紛争を解決する仕組みで詳しく説明しています。

労災と体の不調の相談:辞めた後も請求できる

パワハラでうつ病などを発病した場合、労災保険の給付の対象になることがあります。労働者災害補償保険法第12条の5は、保険給付を受ける権利は「労働者の退職によつて変更されることはない」と定めています。在職中に請求していなくても、辞めた後に請求の手続きを始められます。

労災の窓口は、前の職場を管轄する労基署です。請求の書類には会社の証明欄がありますが、会社が協力しないときの扱いも含め、労基署で手続きを相談できます。認定の要件や、退職後に申請するときの準備は退職後でもパワハラの労災申請はできる?時効と準備することにまとめています。

いま心身の調子が悪く、眠れない・食べられない状態が続いているときは、手続きよりも先に受診と休養を優先してください。電話やLINEで話せる公的な窓口は仕事がつらい・限界のときの相談先:電話・LINEの窓口と受付時間に載せています。

期限の考え方:手段ごとに別々の期限がある

退職後の相談でいちばん大事なのは、期限です。法律の期限は「辞めた日」から一律に数えるのではなく、手段ごとに起点も長さも違います。主な条文の定めを並べると次のとおりです。

手段 条文の定め 起点の考え方
不法行為の損害賠償(加害者・会社) 損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年(民法第724条)。生命・身体を害した場合は3年が5年(第724条の2) 知った時・行為の時
安全配慮義務違反の損害賠償(会社) 行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(民法第166条)。生命・身体の侵害は10年が20年(第167条) 知った時・行使できる時
労災の療養・休業の給付 2年(労災保険法第42条) 給付ごとに行使できる時から
労災の障害・遺族の給付 5年(同条) 同上
公益通報者保護法の保護(退職者) 通報の日の前1年以内に雇われていた人が対象(第2条) 退職した日

どの期限が自分に当てはまるか、いつから数えるかは、出来事の中身で変わり、争いになることもあります。この表は「期限が手段ごとにある」ことを知るためのもので、残りの期間の判断は弁護士に事実を示して確かめてください。時効の条文の読み方はパワハラの時効は何年?損害賠償と労災の期限を条文で確認で詳しく扱っています。訴えることを考えているときはパワハラで退職した後に訴えることはできる?期限と準備も参考になります。

法テラスは、パワハラ・解雇・賃金未払いなどについて、合う窓口や法的な手続きを無料で案内しています。弁護士に相談するお金が心配なときは、法テラスの無料法律相談(収入・資産の要件あり、同じ問題につき3回まで)を使えるか、案内の段階で尋ねられます。

退職後に相談する前にそろえる物と、窓口での伝え方

辞めた後は、社内の資料やメールを見られなくなっています。手元に残っている物から、次の順でまとめます。

  • 在職中に書いたメモ・日記・録音・LINEやメールの画面の控え
  • 出来事の時系列(最初の出来事、最後の出来事、相談した日と相手)
  • 退職の日付と、退職届・退職合意書・離職票などの書類
  • 受診していれば、通院の記録や診断書
  • 相談で何を望むか(話を整理したい、会社に説明を求めたい、労災を請求したい、損害賠償を考えたい)

記録が少なくても相談はできます。辞めた後に証拠を集め直す方法はパワハラで退職した後に証拠を集める:今からできることと限界にまとめています。失業保険の離職理由に納得できないときは、ハローワークでの扱いをパワハラで退職したときの失業保険:特定受給資格者になる場合と確かめ方で確かめてください。

窓口では、最初に「いつ辞めたか」と「何をしたいか」を伝えると、話が早く進みます。

文例:「○年○月末に退職した者です。在職中の○年○月から上司から大声での叱責や人前での否定が続き、体調を崩して退職しました。最後の出来事は退職の2週間前です。前の会社に経緯の説明を求めたいのと、通院の費用について労災が使えるかを知りたくて相談しました。メモと通院の記録を持ってきています。」

労基署と労働局のどちらに行けばよいか迷うときは、前の記事労基署と労働局の違い:パワハラはどちらに相談するのが合うかで整理しています。在職中の人が社内でまず使う窓口については、次の記事社内のハラスメント相談窓口の使い方:相談前の準備と守秘の確かめ方で扱います。

よくある質問

Q. 辞めてから1年以上たっていても、労働局に相談できますか?

相談すること自体はできます。ただ、請求や手続きには法律ごとに期限があり、時間がたつほど使える手段が減ります。相談の場で「いつ辞めたか」「最後の出来事はいつか」を最初に伝えると、間に合う手続きを示してもらいやすくなります。

Q. 退職後に相談したら、前の会社に連絡が行きますか?

総合労働相談コーナーでの相談だけなら、会社に知らせずに話を聞いてもらえます。一方、労働局長の助言・指導、あっせんや調停を申し込むと、会社に手続きのことが伝わり、会社の言い分も聞かれます。どこまで進めるかは、相談の後に自分で決められます。

Q. 退職したあとで、前の会社の内部通報窓口は使えますか?

公益通報者保護法は、通報の日の前1年以内に雇われていた人の通報も保護の対象にしています。消費者庁の指針の解説は、1年より前に辞めた人の通報も受け付ける範囲に入れることが望ましいとしていますが、受け付けるかは会社の制度しだいです。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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